日本共産党資料館

わが党の当面の要求


(一一月二八日採択)

   第一の課題

  日本の真の独立、安全、中立化のために

 (1)安保条約をはじめ行政協定、MSA協定、日米通商航海条約、そのほかいっさいの売国的条約、協定を破棄する。アメリカ帝国主義との侵略的軍事同盟から離脱し、いかなる軍事同盟にも参加しない、日本の平和・中立化の政策とその国際的保障をかちとるためにたたかう。
 サンフランシスコ「平和」条約の売国的条項を破棄し、サンフランシスコ体制を打破して、日本の真の独立を達成する。
 (2)全アメリカ軍の撤退と軍事基地の一掃を要求する。原子力潜水艦「寄港」、FD水爆戦闘爆撃機の配備、核兵器、ミサイルのもちこみ、アメリカによる日本本土、沖縄、小笠原の侵略基地化と核攻撃基地化、軍事基地の拡張に反対する。
 (3)沖縄、小笠原の軍事占領・属領化、沖縄県民への植民地的抑圧、沖縄の核ミサイル化に反対し、沖縄、小笠原の無条件の返還のためにたたかう。沖縄本土間の渡航制限の撤廃と往来の自由、縄における米大統領行政命令の撤廃、布令政治の廃止、沖縄県民に選挙権・被選挙権をはじめ憲法に保障された民主的諸権利の即時実現、小笠原島民の小笠原群島への復帰・往来の自由、居住権の保障、土地および漁区の返還を要求する。

   第二の課題

  アジアと世界の平和を守り、社会制度の異なる諸国の平和共存をかちとるために

 (1)アメリカ帝国主義を盟主とする世界の反動勢力がおこなっている世界各地でのいっさいの侵略政策、核戦争のいっさいの準備に反対する。アメリカ帝国主義の「中国封じ込め」政策とアジア侵略政策、インドシナ侵略戦争に反対し、全アジアからのアメリカ軍の撤退を要求する。インドシナ侵略をはじめアメリカ帝国主義の侵略政策への日本政府の協力に反対し、日韓会談を粉砕し、東北アジア軍事同盟の成立を阻止する。
 (2)自衛隊の増強と核ミサイル化、自衛隊の基地、演習場拡張、第二次、第三次防衛力整備計画に反対する。防衛庁の国防省昇格、海外派兵と徴兵制復活、米「韓」「台」など外国軍隊との共同演習に反対する。自衛隊を解散させ、自衛隊員の平和産業への就職を保障する。自衛隊の宣伝をはじめ、いっさいの軍国主義賛美と戦争宣伝を禁止する。
 (3)世界の平和と社会制度の異なる諸国の平和共存、核兵器の使用、実験、製造、貯蔵の全面禁止とそのためのすべての国の政府が参加する国際会議の開催、全般的軍縮協定の実現、すべての軍事ブロックの廃止とすべての在外基地の撤去を要求し、アジア・太平洋非核武装地帯の設置、アジア・太平洋における全般的集団安全保障体制の確立のためにたたかう。
 (4)わが国の売国的反動勢力の対米従属的、反共的、侵略的外交政策に反対する。日ソ平和条約の締結を要求し、中国敵視政策、「二つの中国」の陰謀に反対する。日台条約を破棄し、中華人民共和国との国交を回復し、中国の国連における正当な地位の回復のためにたたかう。朝鮮民主主義人民共和国、ベトナム民主共和国、モンゴル人民共和国、アルバニア人民共和国、ドイツ民主共和国との国交正常化を要求し、南朝鮮からの米軍撤退と朝鮮の自主的民主的平和的統一、ジュネーブ協定にもとづくベトナムの民主的平和的統一を支持する。
 在日朝鮮人および在日中国人の外国人としての正当な権利の獲得、その就職、教育、生活と権利への圧迫に反対する闘争、祖国への復帰・往来の自由を要求する運動を支持してたたかう。
 またすべての国と平和五原則にもとづく友好親善関係を樹立することを要求する。社会主義諸国との貿易および往来にたいする制限を廃止し、平等互恵の原則にもとづくすべての国との自由な経済、文化、技術、科学の交流を促進する。

   第三の課題

  全世界の人民と被抑圧民族が帝国主義に反対し、人類の進歩のためにおこなっている闘争と連帯し、これを支持してたたかうために

 (1)南ベトナム人民の解放闘争、ラオス人民の独立、平和、中立、統一の闘争、カンボジア人民の中立を守り侵略に反対する闘争、アメリカ帝国主義の植民地支配に反対する南朝鮮人民の闘争、「マレーシア」計画の粉砕と北カリマンタンの独立のためにたたかう北カリマンタン、インドネシア、マラヤ、シンガポール人民の闘争をはじめ、アジア諸国人民の闘争を支持する。
 (2)新旧植民地主義に反対してたたかっているアラブ人民、民族独立をかため防衛しつつあるアフリカ新独立諸国人民、コンゴ、アンゴラなど、民族独立のためにたたかっているアフリカ諸国人民の闘争を支持する。南アフリカ共和国その他におけるいっさいの人種差別に反対する。
 アメリカ帝国主義の植民地主義に反対し、主権擁護のためにたたかっているキューバ人民、アメリカ帝国主義の主宰する米州機構や「進歩のための同盟」に反対し、民族独立のためにたたかっているベネズエラをはじめ、ラテンアメリカ諸国人民の闘争を支持する。アメリカ合衆国の人種主義と差別に反対し、対等な権利を求めてたたかっているアメリカの黒人を支持する。
 (3)帝国主義と反動勢力の戦争と抑圧、反動と搾取の政策に反対し、平和と民族独立、民主主義と社会主義のためにたたかっている資本主義諸国の勤労人民の闘争を支持する。
 (4)世界平和と植民地の解放、社会主義と共産主義の勝利のためにたたかっている社会主義諸国の人民の闘争を支持する。
 (5)国際平和運動、国際民主運動の統一と団結を支持し、アメリカを先頭とする帝国主義に反対する民族解放と平和の国際統一戦線の強化のためにたたかう。

   第四の課題

  軍国主義復活とすべての反動政策に反対し、人民の民主主義を守り拡大するために

 (1)憲法改悪に反対し、そのためのいっさいのくわだてを粉砕する。憲法の平和的民主的諸条項のじゅうりんに反対し、その完全実施を要求する。憲法に違反し、人民の民主的権利を侵害するあらゆる法律、命令、条例などを撤廃し、人民の権利を具体的に保障する立法を要求する。
 (2)アメリカ軍のいっさいの治外法権を廃止し、アメリカ軍人、軍属などの犯罪にたいする日本の完全な裁判権を要求する。アメリカ軍の飛行機、自動車、演習その他による日本人民の殺傷および生活と権利にたいするいっさいの侵害、アメリカ軍人、軍属による殺人、強盗、傷害、暴行その他の犯罪にたいする処罰とそれによるいっさいの被害にたいする完全ですみやかな賠償を要求する。
 (3)言論、出版、放送、集会、示威、結社、渡航の自由を守り、団結権、ストライキ権、団体行動・交渉権、生活権、労働権、教育権、請願権、公務員の罷免権を保障する。公務員法その他の労働法を改正し、団結権、ストライキ権その他の労働基本権を全面的に回復する。思想、信仰、性、年齢、人種その他によるいっさいの差別待遇、共産党員と共産党への政治的圧迫と差別を廃止するためにたたかう。
 (4)軍国主義復活のための国家機構の反動的再編成に反対する。
 議会制度の改悪に反対し、議会制度の民主化、国会の行政調査権の大幅拡大、請願を国会審議に反映する具体的措置とその保障を要求する。条約、協定、合意書、覚え書きなど国の独立と安全、人民の権利にかかわる外国とのすべてのとりきめは、国会の決議を必要とする立法を要求する。政党の政治活動、選挙活動を規制する政党法の制定に反対する。小選挙区制など選挙制度の改悪に反対し、全国一選挙区による比例代表制、さしあたり有権者数に比例する議員定数の改正を要求する。選挙運動にたいする不当な制限を廃止し、共産党にたいする報道機関の差別を撤廃させ、買収、腐敗選挙を絶滅する。国の重大問題はかならず総選挙に問うことを法制化し、満十八歳以上の男女に選挙権、被選挙権をあたえる。
 防衛庁の国防省昇格、総理大臣に権力を集中する内閣府の設置、内政省の名による内務省の復活など、行政機構の反動化に反対する。警察、検察の強化と裁判所の反動化をめざす司法制度の改悪に反対する。行政機構、司法機構の民主化、汚職の一掃と厳罰を要求する。府県連合、道州制など地方制度の改悪に反対し、地方制度の民主化と地方自治権の確立を要求する。教育委員会などいっさいの行政委員会の任命制に反対し公選を要求する。
 (5)労働運動、民主運動への弾圧、スパイ活動を禁止し、破防法、公安条例、新暴力法、刑事特別法、MSA秘密保護法など、いっさいの弾圧法規を撤廃する。軽犯罪、道交法、鉄道営業法、広告条例などの不当な適用による民主運動の弾圧に反対する。刑法刑事訴訟法、労働法、少年法の改悪および防諜法、青少年保護育成条例などの治安立法の制度に反対し、憲法を破壊する「国防基本法案」「治安行動草案」を粉砕する。警備公安警察、公安調査庁をはじめとするいっさいの政治的秘察警察を廃止し、米日スパイ機関を一掃する。国家警察を解体させ、公安委員会を公選にする。下級警察官の団結権の保障を要求する。鉄道公安官など特別司法警察を廃止する。自衛隊の治安出動に反対し、地方自治体の隊員募集代行事務をやめさせ、自衛隊協力会、少年自衛隊を解散させる。いっさいの反動的暴力団体、軍国主義団体を禁止し、右翼テロを根絶する。すべての弾圧裁判の即時中止と犠牲者の即時釈放、政治的謀略とでっちあげの責任者の厳罰と犠牲者への完全賠償を要求する。(6)社会の諸方面にのこっているすべての半封建的なのこりものを一掃する。未解放部落住民にたいする就職、結婚、居住など、いっさいの半封建的な身分差別を根絶する。

   第五の課題

  人民の生活向上と経済の自主的平和的発展のために

  [労働者のために]

 (1)労働者の犠牲による「合理化」に反対し、首切り、賃金引き下げ、労働強化に反対する。低賃金を打破し、安定賃金、職務給に反対し、賃金の大幅引上げ、同一労働同一賃金のためにたたかこう。ニセ最低賃金法を粉砕し、真の最低賃金制を確立する。労働時間の延長、休憩時間の切りつめ、交代制の強化などに反対し、週四十時間労働制のためにたたかう。労働基準法の完全実施と改善を要求する。労働災害の労働者への責任転嫁、「安全」の名による労働強化に反対する。労働災害・職業病の絶滅、災害、疾病にたいする完全補償と予防の完全実施、その他労働条件の改善を要求する。すべての労働者に、賃金、社内預金、退職金の優先支払いの完全実施を要求する。
 (2)零細企業、農漁業労働者、出かせぎ労働者、家内労働者その他すべての労働者に一般労働法の適用を要求する。あらゆる差別待遇に反対し、臨時工、社外工、臨時職員制度を廃止し、組制度その他の半封建的搾取制度を一掃する。
 (3)不当処分と弾圧に反対し、いっさいの不当処分のとりけし、犠牲者の即時釈放を要求する。反民主的労務管理制度に反対し、職場の内外における労働組合活動、政治活動の自由、労働者の基本的人権を確立する。寮制度、寄宿舎制度の民主化を要求し、人権侵害に反対する。
ILO条約の即時無条件批准を要求し、これを口実にした国内法の改悪に反対する。公務員、公共企業体、電力などをふくむすべての労働者の団結権、ストライキ権、団体行動・交渉権などの労働基本権の完全回復を要求し、いっさいの反労働者法を廃止する。
 (4)日本経済の自主的平和的発展によって雇用を拡大し、すべての失業者と失対労働者に仕事と生活を保障し、国家負担による職業教育の民主的実施を要求する。
 (5)国家と資本家負担による低家賃住宅の大量建設と安価な住宅用地の保障を要求する。
 (6)公共料金、独占価格のつりあげによる物価の引上げと大衆課税に反対し、勤労者にたいする所得税の撤廃のためにたたかう。

  [農民のために]

 (1)アメリカ軍と自衛隊、「地域開発」「新産業都市建設」などによる土地と水の強制取上げに反対し、アメリカ軍と自衛隊の基地、演習場の撤去を要求する。
 (2)日本農業の自主的発展をさまたげるアメリカの資本や農産物の輸入に反対し、日本農業の保護政策と自主的貿易政策の確立を要求する。大多数の農民の土地を収奪し、経営を犠牲にする「農業構造改善」政策に反対し、貧・中農の生活と経営の安定向上を要求する。
 (3)食糧管理法の改悪に反対し、すべての農産物の再生産を保障する価格を実現するためにたたかう。米麦をはじめ青果物などの二重価格制度を確立して、消費者価格のすえおきまたは引下げと安定とを要求する。農産物流通機構を米日独占資本本位に再編成することに反対し、農産物市場の民主的管理の確立、農用資材の独占価格の引下げを要求する。農民にたいする諸税、諸負担の減免のためにたたかう。
 (4)系統農業協同組合を貿易・為替の「自由化」と「構造改善」の道具にすることに反対し、これを徹底的に民主化する。貧・中農の機械・施設などの共同利用、共同出荷などの自主的な農業協同組合の民主的運営とそれにたいする国家の援助を要求する。
 (5)富農的、資本家的経営に土地を集中するための農地法改悪に反対し、貧・中農の土地を守るためにたたかう。小作地の取上げ、やみ小作料に反対し、残存小作地は所有農民の納得できる価格で買い上げ、現耕作者に無償で譲渡する。山村住民と農民を林野からしめ出す「林業構造改善」政策に反対して、国有・公有・大山林所有者の林野の農用適地を農民に解放し、農民と山村住民の林野利用権を守り確立するためにたたかう。共有林野の利用と管理の民主および実情に応じて民主的に分配することを要求する。国庫負担による大規模な開拓、干拓と、入植、営農のための十分な援助とを要求する。開拓農民の国からの借金の棒引きと国家補助金の増額のためにたたかう。
 (6)農山村労働者、貧農、二、三男に土地と仕事の保障、一般労働法の適用を要求する。とくに、農民と農村住民が必要とする道路整備、河川改修、水利その他の農業用施設などの建設事業をおこなって、地元での仕事を保障することを、国と自治体に要求する。いっさいの農業、農山村の労働賃金を引上げ、最低賃金制を確立する。
る。出かせぎ者の賃金と労働条件、留守家族の保護に地方自治体が責任をもつよう要求し、失業保険法の改悪に反対して失業保険の適用範囲の拡大のためにたたかう。
 (7)土地改良事業による国からの借金の未納金を棒引きにし、農民負担のない国庫負担による大規模な土地改良の実施、農民が要求する中小規模土地改良への十分な援助を要求する。また、全額国庫負担による農業災害補償制度を確立する。
 (8)貧・中農の経営改善のための長期低利の融資、各種の補助金の増額と、融資条件の改善のためにたたかい、農協などの金利を引下げ、これにたいする国家の利子補給を要求する。
 (9)農村に医療施設、乳幼児保育施設、学校、郵便局、電話などの増設、交通機関の拡充など、社会施設の整備をおこなうよう、国、自治体に要求する。農村青年婦人運動、公民館運動など文化運動への官僚統制に反対し、その民主的運営と発展のためにたたかう。

  [漁民のために]

 (1)アメリカ軍と自衛隊の演習場の廃止と、いままでの損害の補償を要求し、漁業の自由をうばい、漁民を生命の危険にさらす公海での原水爆実験、アメリカ原子力潜水艦による漁場、沿海の汚染に反対する。
 (2)独占資本の利益のための干拓、埋立、または工場汚水などによる沿岸漁場の荒廃に反対してたたかい、政府と独占資本の負担で、損害を補償し、汚水浄化のための完全設備をつくることを要求する。
 (3)漁業・漁村にのこっている半封封的な遺制を一掃し、歩合制度の根本的改善、固定給制度の確立、全額国庫負担による遭難、海難漁船の救助と漁業災害補償制度の確立、貧漁民と漁業労働者に仕事を保障し、最低賃金制の確立と一般労働法の適用を要求する。失業保険法の改悪に反対して、失業保険の適用範囲の拡大のためにたたかう。
 (4)零細漁民の経営と生業をうばう「漁業構造改善」政策に反対し、漁業協同組合の民主化のためにたたかい、漁民による漁場の自主的、民主的な管理を要求し、沿岸漁民に長期低利の融資と船具、漁具など資材の保障を要求する。
 (5)沿岸漁民および人民の生活をささえる水産資源の保護と培養を要求し、漁業独占資本のための漁業許可制を廃止して、沿岸底曳漁業禁止区域の拡大のためにたたかう。
 (6)日・米・加漁業条約の破棄と「李ライン」の撤廃を要求し、隣接諸国との平等互恵の原則にたって魚族資源保護のための協定締結のためにたたかう。

  [勤労市民のために]

 (1)米日独占資本の圧迫と「近代化」政策による営業と生活破壊、官僚統制による営業の自由の妨害に反対し、手工業者、小商人、自由業者その他の勤労市民に安定した営業と仕事を保証し、生活水準を大幅に引上げる。下請工賃の切り下げ反対、小売マージン(手数料)の改善、米日大資本のスーパーマーケット進出に反対し、大百貨店の拡張の規制を要求する。政府保証による長期低利融資の大幅増額とその手続きの簡素化、公営小口金融機関の増設と融資の拡大を要求する。
 (2)貧困者、生活保護世帯、母子世帯、心身障害者、被爆者、老人世帯などに生活、医療、老齢保障の完全実施を要求する。生活保護の打切り、引きしめ、官憲の干渉に反対し、保護基準の大幅引上げと適用の拡大、世帯更生資金、母子福祉資金、養老施設、心身障害者施設など社会福祉の拡充を要求する。
 (3)勤労市民のために全額国と自治体の負担による国民健康保険国民年金の拡充、公害と交通災害の防止と被害にたいする完全補償を要求する。国と自治体による低家賃住宅の大量建設と宅地の保障を要求し、家賃、地代の不当な値上げに反対する。
 (4)所得税の免税点を大幅に引上げ、事業主および専従家族の自家労賃を控除し、配偶者控除額などを引上げる。売上税などの創設に反対し、物品税を引下げ、事業税を撤廃し、固定資産税、住民税の増税に反対し、控除額の大幅引上げ、国税通則法の廃止、税制と税務行政の民主化を要求する。
 中小企業基本法など零細業者の切りすてや官僚統制の強化をめざす法律の撤廃を要求する。
 (5)生活協同組合にたいする国の援助の増大と、零細業者の自主的な協同事業、従業員の福祉施設にたいする国と自治体の大幅な援助を要求する。
 (6)すべての勤労市民の団結権と団体交渉権を法律によって保障する。

  [中小企業家のために]

 (1)アメリカ独占資本の資本、技術、商品の無制限輸入と、米日独占資本の資金、資材、価格、販路の支配と中小企業市場への進出に反対し、中小企業にたいする資金、資材の保障と独占価格の引下げ、内外市場の拡大を要求する。
 (2)中小企業基本法を廃止し、独占資本の系列化、合理化、切り捨てに反対し、下請単価切下げ、代金、検収の遅延防止など、政独占資本による中小企業への収奪と圧迫を排除し、中小企業の民主的な協同化を促進する。
 (3)米日独占資本のための租税特別措置を廃止し、法人税を累制にして中小企業にたいする税率を引下げる。
 (4)中小企業にたいする政府保証による長期低利融資の大幅増額を要求する。
 (5)中小企業の自主的平和的な貿易を促進する。社会主義国との貿易を全面的に拡大し、アメリカによる貿易制限を撤廃する。
 (6)中小企業団体にたいする官僚支配に反対し、中小企業の自主的組織化と中小企業団体の民主化のためにたたかう。

  [青年、学生のために]

 (1)青年を軍国主義の道具にし、従順で安あがりな労働力とする「人づくり」政策に反対し、青年の民族的民主的自覚をたかめ、青年に明るい未来と豊かな生活を保障する。
 (2)少年法改悪、青少年保護育成条例に反対し、青年、学生の民主的な組織、サークルなどの活動の自由を保障し、それらにたいする政府、自治体、独占資本の圧迫と干渉を排除する。
 (3)青年にたいするいっさいの差別待遇に反対し、同一労働同一賃金を要求する。農山漁村の出かせぎ青年、日雇い、商店の店員に労働法、社会保障を適用し、労働および社会生活における青年の地位の向上をはかる。
 (4)文化とスポーツの軍国主義化、反動化に反対し、大衆的民主的文化・スポーツの普及をはかり、文化・スポーツの施設の開放と拡充を要求する。
 (5)学生の授業料、入学金の引上げに反対し、奨学金、研究費の大幅増額と勉学条件の根本的改善をおこなう。大学の軍事研究、自衛官の大学入学に反対し、学生の思想調査、就職差別をやめ、大学の自治と学問の自由を保障する。

  [婦人のために]

 (1)性と年齢によるいっさいの差別待遇に反対し、同一労働同一賃金を実施する。職業訓練を平等にうけ、婦人がえらんだ職業に自由につけるようにし、雇用、昇進、解雇におけるいっさいの差別をなくし、若年定年、結婚・出産による強制退職、既婚者の首切りなどいっさいの職場しめだしに反対し、働く婦人の権利を保障する。母性にたいする全面的な配慮と保護を要求し、生理休暇、出産休暇、育児時間などを有給で実施する。身体検査制をはじめ、人権を無視する監視制度に反対する。キーパンチャー、バス車掌など、婦人労働者の職業病をなくし、公費による治療と補償を要求する。
 (2)婦人の地位の向上をさまたげ、さまざまな差別のために利用されているすべての半封建的なのこりものを一掃する。
 (3)働く母親のために、学童保育、乳幼児保育のための施設の増加と保育内容の改善、保育料の引下げを要求する。母子世帯にたいする生活と仕事と住宅の完全な保障といっさいの差別の廃止を要求する。
 (4)貧困、失業、災害、病気、事故、出かせぎなどによる家庭の破壊に反対し、その法的保護を要求する。
 (5)婦人組織にたいする政府、資本家の圧迫、干渉を排除し、その民主的自主的な発展をはかる。

  [こどもを守るために]

 (1)児童憲章を完全に実施し、こどもの生命と健康、しあわせな成長を保障する生活環境を確保し、こどもの権利を守る。
 (2)小児マヒをはじめ伝染病の予防と病気にかかった児童、小、中学生の治療にたいして国家が保障し、精薄児童などすべての心身障害児のための養護施設、こどものための遊び場、児童図書館、夏季施設などこどもの健康と福祉その他のための社会施設の増加拡充、内容と設備の改善を要求する。
 (3)こどもの自主的で健全な発達をさまたげ、反動思想を吹きこむ教育の軍国主義化に反対し、戦争と暴力の賛美をうえつけるマンガ、よみもの、映画、テレビ、ラジオ番組などに反対する。
 (4)民主的な少年少女の組織の自由な活動を保障する。

  [総合的社会保障制度確立のために]

 (1)すべての人民に完全な医療保障を実現する。健康保険、共済組合、国民健康保険、日雇健康保険など各種医療保険の給付を改善拡充し、本人、家族に十割給付を要求する。制限診療と差額徴収、自己負担の増加、療養費払い制に反対し、適正な診療報酬を保障する。被保険者の保険料の引下げと、国家と資本家による全額負担を要求する。
 (2)拠出制国民年金に反対し、最低生活を保障する総合的無拠出制年金制度を確立する。厚生年金など各種労働者年金の改悪に反対し、その内容を改善し、既得権を保障する各種年金の通算措置を実施する。年金積立金を独占資本のために投融資することを禁止し、給付金の大幅引上げと一部を被保険者の福祉、住宅、医療、養老施設のために使用することを要求する。
 (3)失業保険の受給制限に反対し、失業保険の適用範囲を拡大し、給付金の増額と期間延長をおこなう。失業期間中も既得の社会保険にたいする諸権利を継続する。失業したすべての労働者に、再雇用されるまでの生活保障、医療保障、職業訓練をおこなう失業手当制度の実現を要求する。
 (4)労働災害補償保険をすべての労働者に適用し、労働災害と職業病にたいする給付の改善と本人および家族にたいする完全な補償を要求する。
 (5)医療機関、医療制度、看護制度の改悪に反対し、独占薬価を引下げ、医療従事者の待遇改善と充足をはかり、医療制度の民主化と医療内容の向上と改善を要求する。医療の軍事化に反対する。
 (6)伝染病と保健衛生対策の強化、公衆衛生施設の拡充、公害の根絶を要求する。全額国庫負担による生活保障をふくめた総合的な、結核対策、精神病対策、ハンセン氏病対策を確立し、原爆症患者の医療と生活にたいする国家の完全な保障を要求する。
 (7)児童福祉法および身体障害者福祉法の完全実施と改善、全額無料の老人の健康管理と医療保障の実施、保育所、無料老人ホームなど社会福祉事業施設の拡充と運営の民主化を要求する。
 生活保護法を改善し、その適用範囲の拡大をおこない、扶助基準額を大幅に引上げ、社会保障による生活保障を最低賃金制にみあう適正な水準とすることを要求する。
 今日なお苦しんでいるいっさいの戦争犠牲者の生活にたいする国家の完全な保障を要求する。
 家族が普通の生活を継続し、こどもの教育ができる家族手当制度を、政府と資本家の負担で実現することを要求する。
 (8)健康保険や各種年金などの基金・積立金の管理と運用に被保険者代表を参加させることを要求する。

  [日本経済の自主的、平和的発展のために]

 (1)対米従属の「日米経済協力」と「貿易・為替の自由化」、「開放経済」、経済の自主的発展をさまたげる外資導入、原料、技術、市場などの対米従属、依存に反対し、アメリカによる貿易制限、日本独占資本の帝国主義的対外進出を打破し、中国その他の社会主義国との貿易を全面的に拡大し、すべての国との平等互恵の経済関係をうちたてるためにたたかう。
 (2)対米従属下の軍国主義、帝国主義復活をめざす軍需産業の拡大、経済の軍事化、兵器の製造と輸出、独占資本の「高度成長政策」、諸種の「構造改善事業」に反対し、失業と貧困、低賃金を打破し、人民の生活と権利の根本的な向上を中心とした、つりあいのとれた経済の発展のためにたたかう。物価値上げに反対し、物価を引下げるために、その根本原因である日米独占資本の独占価格、公共料金の引上げ、財政・金融上のインフレーション政策とたたかう。また生活必需品にたいする間接税を廃止し、主食には食管制度の強化、生鮮食料品には二重価格制の採用によって、生産者、消費者にともに有利な価格を設定し、中小企業の生産する消費材の価格と料金の値上がりは中小企業への低利融資、減税などにより解決する。
 (3)日米軍事同盟にもとづき日本の軍国主義復活をすすめるための軍事費の増大に反対する。軍事費、警察費、財政投融資をはじめ、独占資本のためにつかわれる国家資金を徹底的に削減し、社会保障、公務員の賃金引上げ、農業の振興、災害復旧と人民にたいする補償、教育・文化の発展、中小企業の経営の改善などのための国家支出を大幅に増額する。低家賃の公営勤労者住宅の大量建設、住・宅用土地の大量造成、住宅環境の徹底的改善、公園、文化・スポーツ・児童用施設の増設のための国家支出を大幅に増額する。土地投機を禁止し、地価を引下げ、地代家賃・間代の不当な引上げに反対し、居住権の確立と公営公団住宅の入居資格制限の廃止のためにたたかう。
 (4)独占資本のための公共投資、「地域開発」、「新産業都市建設」、電力、工業用水による農業用水、水資源の略奪などをやめさせ、公共事業費などの国・地方費を勤労者のための住宅建設、人民のための道路交通、上下水道、用水、治山、治水の整備、「公害」自然災害の防止、健康で文化的な都市・農村計画の実施にまわすためにたたかう。
 (5)所得税、住民税の免税点を大幅に引上げ、生活必需品にたいする間接税、入場税、中小零細企業にたいする事業税を廃止し、固定資産税の引上げと生活に必要な土地、家屋への課税に反対し、売り上げ税と付加価値税の新設に反対するなど、いっさいの大衆課税、反人民的課税を廃止する。アメリカ資本と日本独占資本・高額所得者にたいするすべての減免税措置をやめる。中央と地方をふく税制を民主的に改正して所得税中心の高度累進課税を基本とする。国税通則法を廃止し、自主申告制とする。民主団体にたいする不当課税、徴税強化に反対する。すべての税外負担を廃止する。
 (6)日本経済にたいするアメリカ資本のいっさいの支配の排除をめざし、アメリカ資本がにぎっている企業にたいする人民的統制と国有化を要求してたたかう。
 現在の国有企業と国有林野の管理の民主化のためにたたかい、さらに独占資本にたいし人民の利益の立場から制限と統制を要求する。独占資本にたいする人民的統制をつうじて、独占資本の金融機関と重要産業の独占企業の国有化への移行をめざし、必要と条件に応じて一定の独占企業の国有化とその民主的管理を提起してたたかう。

   第六の課題

  教育、文化、科学の民主的発展のために

  [教育]

 (1)教育の軍国主義化と官僚統制の強化に反対し、民族的民主的教育の確立のためにたたかう。
 (2)教育基本法の改悪に反対し、その民主的条項の完全実施を要求する。日米教育文化合同会議の廃止を要求する。教育委員会の任命制を廃止して公選制を復活し、教員にたいする勤務評定をやめさせる。教員養成制度の改悪に反対し、教員定数の大幅増加を要求する。教科書の国家統制に反対する。
 差別と受験本位のテスト教育、学力テストと能研テストに反対し、初、中教育における基礎学力、体力、芸術、技能の充実のためにたたかう。
 (3)教育予算の大幅増額と教科書、給食、教材、保健、修学旅行など義務教育の全額国庫負担を要求し、父母負担を廃止させる。すしづめ教室、危険校舎をなくし、一学級を四十人以下にするとともに、施設、設備、資材の充実をはかる。地方自治体の負担軽減をはかり、へき地教育と分校設備の充実を要求する。学齢前教育施設の大幅増設と内容の充実を要求し、父母負担を軽減する。公立高校の増設と希望者の全員入学をはかり、学区制を維持する。定時制高校と全日制高校との教育、就職などにかんするあらゆる差別を解消させる。心身障害者の教育と職業指導のための施設とその保障を要求する。
 (4)大学管理制度の改悪に反対し、大学の自治と学問の自由を守る。大学に格差をつくり、教員養成大学を分離する大学制度の改悪に反対する。国立学校特別会計制度を廃止する。国立大学の施設収容能力の拡充と内容の充実をはかる。学生生活を破壊する授業料値上げに反対し、学生厚生施設の充実と育英資金のワクの大幅拡大を要求する。私学にたいするひものつかない国庫補助の増額を要求する。
 (5)社会教育法を民主的に改正し、社会教育の充実と民主化、青年学級、勤労学級の民主的運営をめざす。大学を独占資本の支配下におく「産学協同」に反対し、国庫と資本家負担による技術、職業教育の充実を要求する。
 (6)教職員組合運動にたいする政府、教育委員会の干渉に反対し、教職員の民主的活動の自由のためにたたかう。民間教育研究運動の自由を守り、ひもつき「研究団体」の育成に反対する。

  [文化・科学]

 (1)アメリカ帝国主義の文化侵略に反対し、米日独占資本の退廃文化、反民族的軍国主義的宣伝、反共宣伝に反対する。日本文化の価値ある民族的遺産を継承し、科学、文化、芸術その他文化の民族的民主的繁栄と発展につとめ、その中核としての革命的民主的文化の成長のためにたたかう。すべての民族的文化財の保護を要求する。
 広範で多様な人民の文化的要求をとりあげ、大衆的文化活動の民主的発展のためにたたかい、この活動にたいする米日反動勢力の側からするあらゆる圧迫と干渉に反対し、それを排除するためにたたかう。
 (2)原子力をはじめ、すべての科学、技術を米日反動の利益に奉仕させ、軍事的侵略的目的に利用することに反対し、その平和目的の自主的民主的研究と、人民の福祉と安全を保障するためにたたかう。原子力の平和利用と自主、民主、公開の三原則の厳守を要求する。
 対米従属の科学技術政策に反対し、日米科学委員会の廃止を要求する。アメリカ財団資金の受入れに反対し、アメリカのひもつき「研究センター」に反対する。学術の官僚統制の中枢である科学技術会議を廃止し、日本学術会議の民主的強化と権限の拡大を要求する。科学者、技術者の生活、研究条件の大幅改善、研究活動の自研究成果の公表の保障、大学、国公立研究機関の充実と民主化を要求する。
 (3)科学、技術、芸術、文化の発展のための国家予算の大幅増額、文化・研究施設の増設、充実を要求し、その配分と運営を民主化する。入場税その他の文化課税や文化団体にたいする法人税をはじめ、団体、個人にたいするいっさいの不当課税を撤廃する。
 (4)文化と思想にたいする官僚統制、検閲制度の復活に反対する。とくに、テレビ、ラジオ、新聞、映画などにたいする政府、独占資本の統制と進歩的な思想、文化のしめだし、放送法、映画法、出版法、著作権法などの改悪や制定に反対し、報道と表現、思想の自由、芸術文化の創造の自由を守るためにたたかう。
 (5)憲法に保障されている信教の自由、政教分離の完全実施を要求し、宗教法人法の改悪、国家神道の復活、宗教教育のおしつけおよび宗教の反動的利用に反対する。
 (6)不平等な学術研究、文化協定を廃止し、社会主義国をはじめすべての国との自由な文化交流を要求する。

日本共産党第九回大会