日本共産党資料館

第十三回臨時党大会決議
金権・戦犯・売国政治の根絶、国政の革新を日本共産党の躍進と統一戦線の結成で

一九七六年七月三十日採択


 一、三悪政治と国政の民主的転換

 一、一九七〇年にひらかれた日本共産党第十一回大会は、七〇年代に民主連合政府を樹立して国政の革新を実現することを、党と日本人民の歴史的任務として提起した。昨年八月、終戦三十周年を迎えるにあたって、わが党は、日本の現状の危機的状態を警告して、「救国と革新」の国民的運動をよびかけたが、七〇年代後半にはいった今日、情勢はいっそう深刻となり、わが党の指摘の正確さを裏づけた。とくにロッキード疑獄事件は、永年にわたる日米反動勢力の支配の反国民的性格を白日のもとに引きずりだし、金権・戦犯・売国の政治の根絶と政治の民主的革新がさし迫った課題となっているという自覚を、急速に国民のあいだにひろげている。今年中におこなわれる総選挙が、国民自身のこの問題にたいする審判と新しい方向の選択をしめすものとして、歴史的意義をもつものとなることは確実である。
 こうした情勢のもとで、本年秋に予定された定期党大会を来年に延期して、第十三回臨時党大会が開催された。この臨時党大会の任務は、科学的社会主義の理論と実践を日本において自主的、創造的に発展させている党として、当面しているいくつかの理論問題を解決して綱領、規約の一部改正をおこなうこと、その路線をさらに明確にした「自由と民主主義の宣言」を採択すること、そして歴史的な総選挙戦に勝利するために必要な政策と方針をさらに充実したものとし、全党の総決起の態勢を確立することにある。臨時党大会開催という、戦後はじめての措置がとられたのは、今日の情勢が特別の重大性をもち、しかも全党の決意にみちた奮闘があるならば、国政革新への道をきりひらきうるあらたな可能性と展望もまた生まれているからである。全党は、大会の諸決定にもとづき、その態勢を政治的、組織的にも、思想的、理論的にも大いに強化し、迫りつつある総選挙での躍進をかならずかちとらなければならない。

 二、一昨年の田中内閣の崩壊以後、急速に深まった自民党支配の危機は、ロッキード疑獄事件でさらに新しい局面に移行した。
 ロッキード事件は、アメリカ帝国主義の政府・軍・多国籍企業と、日本の政府・自民党・財界・自衛隊首脳部との醜悪諸関係、CIA(米中央情報局)による戦犯右翼、戦犯政治家の秘密利用と日本の政治にたいする介入、日米「韓」ぐるみの金権汚職など、占領と日米軍事同盟のもとでの戦後三十年余にわたる自民党政治の犯罪的構造をあきらかにした。とくに重要なのは、この事件の主役の一人が、A級戦犯容疑者だった児玉誉士夫であり、その最初の暗躍が同じA級戦犯の岸首相時代にはじまったことがしめすように、戦後の日本における戦犯政治の継続という異常な事態である。第二次世界大戦後、戦犯を首相にした国は、日本以外にない。その戦犯政治が、大資本奉仕の金権政治と、占領にもとづく対米従属政治とからみあって、今日の日本の政治の根深い後進性を形づくってきた。対米従属と大資本奉仕の自民党政権による三悪政治――これこそ、戦後三十一年間、多くの国民が求めた日本の独立、平和、民主主義、繁栄という進路をふみつぶし、今日の国民の苦しみを生みだしている元凶である。すでに歴史的にも法的にも決着をみた戦前の日本共産党のスパイ調査問題を国会でとりあげ、治安維持法を当然視して、国民の権利と民主主義に重大な攻撃をくわえようとした春日違憲質問、稲葉違憲答弁も、戦犯政治の継続という同じ根から出たものである。

 三、金権戦犯・売国の三悪政治が生みだしている今日の危機の特徴は、それが一時的、部分的なものでなく、政治はもちろん、経済、文化と道徳、教育にもおよぶ全般にわたる構造的な危機となっていることにある。
 通貨危機と石油危機、資源問題と南北問題の激化にみられるような、資本主義世界経済の戦後のわく組みや新植民地主義体制の根本的動揺という国際的背景のもとで、対米従属と大資本奉仕の「高度成長」が破たんした結果、日本の経済的危機は、特別にするどい形をとって国民生活を直撃している。生産の落ちこみ、企業倒産数、失業者数とも最高という戦後最大の不況にくわえて、インフレーション、農業危機、エネルギー危機、中央と地方の財政危機、環境危機が複合的に同時に進行している。最近の景気回復も、一部の大企業の輸出ののびを中心にしたきわめてアンバランスなものにとどまり、依然として企業倒産は六月までに連続十ヵ月毎月一千件をこえる記録的倒産がつづき、失業の高水準もつづいている。しかも卸売物価と消費者物価のはげしい上昇があらわれており、五十一年度予算によるインフレの促進と福祉の切り下げや、七六年春闘で賃上げが低くおさえられたこととあいまって、国民の購買力はますます低下し、中小企業と勤労人民の生活と営業の困難はたえがたいものとなっている。
 民主主義の危機、国民の文化的、道徳的生活における危機も深まっている。多くの民間大経営では、労働者の自由と権利にたいする反憲法的な抑圧が公然とおこなわれている。暴力事件の続発、犯罪、とくに青少年犯罪の増加、一部にみられる文化の退廃、教師と父母の努力にもかかわらずひろがりつつある教育の荒廃などは、民族の未来にかかわる重大問題となっている。

 四、放置することのできないこうした危機の深化に直面して、国政の進路をめぐる二つの道の対決がいよいよ鮮明に浮かびあがってきた。
 一つの道は、自民党、財界などがめざしている反動的、反国民的な道であり、もう一つの道は、国政の民主的転換による革新の道である。
 反動勢力が田中内閣退陣にさいして採用した手段は、「対話と協調」をかかげる三木内閣の起用によって、国民の不満と要求をしずめつつ、動揺する支配体制をたてなおすことだった。かれらは若干の欺まん的政策によって野党の一部をひきよせつつ、日米「韓」軍事同盟の強化や新日米軍事機関の発足による日米共同作戦態勢の本格的強化、公職選挙法と政治資金規正法の改悪を強行し、さらに小選挙区制の実現で自民党の絶対多数支配を再建することをめざしてきた。最近、松野政調会長は、自民党の総選挙公約に小選挙区制をもりこむことをきめたと報道されている。この方向は、危機のたびごとにめざされてきた日本型ファシズムへの道にほかならない。
 反動勢力、とくにロッキード疑獄の追及で疑惑の集中している自民党内のもっとも反動的な部分は、その窮地を打開すべく、あらたな策謀に訴えている。
第一は、政府、自民党幹部の逮捕や「灰色政府高官」名の公表を阻止するために、民社党など 反共勢力を利用して野党を分断しつつ、世論と国会決議に挑戦し、ロッキード疑獄自体をもみ消すことである。真相究明を求めた国会決議じゅうりんと国会「空白」、自民党・民社党による密約と共、社、公三党を排除した予算審議の強行、一部の野党の国会解散要求をも利用してたくらまれた「三木追い落とし」と早期解散による「ロッキードかくし」の陰謀、国会議員など「政府高官」の証人喚問拒否という国会の国政調査権にたいする干渉、「灰色高官」問題での後退などがそれである。その圧力で、三木内閣自身が、五党党首会談での合意を裏切った「ロッキードかくし」をおこなう危険もつよまっている。こうしていわゆる「保守本流」内閣をつくって総選挙態勢を再建し、財界資金による党営選挙と小選挙区制で強権政治を確立し、いっきょに自民党支配の危機を乗りきることが計画されている。第二は、国民にたいするあらたな攻撃である。政府、自民党は、財界の要求に応じて、労働者、農漁民、勤労市民、中小企業に犠牲を負わせ、資本主義的「合理化」と資本の集中、独占価格の強化を追求し、国の財政・金融政策をそのために最大限に動員している。公共料金の大幅引き上げ、ぱく大な赤字公債の発行、地方財政しめつけなどによって特徴づけられる五十一年度予算と、春闘にたいする独占資本と政府の強圧的対処は、こうした政策の最悪のあらわれであった。
 これらの手段が支配層内部の混乱と矛盾を深めているところに、今日の深刻な構造的危機のもとでの特徴がある。たとえば、「派閥解消と近代化」を旗じるしにした「ロッキードかくし」の陰謀は、自民党の多数派工作をめぐるみにくい内部矛盾と派閥抗争をかつてなく拡大し、世論の怒りを大きくしている。河野新党の小分裂につづいて、捜査がいよいよ「政府高官」に及ぶ状況のもとで、政権工作をめぐる派閥対立は、収拾のつかない様相をみせはじめ、自民党の危機をさらに深刻なものとしている。
 しかし、それにもかかわらず、反動勢力のすべての策謀がかならずしも失敗するとはかぎらない。政治的力関係、とくに統一戦線が結成されていないことが、「ロッキードかくし」や自民党内の政権たらいまわし、大資本本位の不況対策などに、一時的な成功をおさめる余地をのこしているからである。

 五、民社党、公明党は、自民党、財界がねらう危機からの脱出に、自民党ではできないやり方で積極的に手を貸している。
 これらの反共野党勢力は、「野党即革新」という国民の一部にある幻想を利用し、「保革逆転」論、「反共保革連合」論などで自民党の日本型ファシズム路線の危険をおおいかくし、革新統一戦線結成阻止に狂奔することによって自民党支配の延命を助けている。
 右翼社会民主主義政党として、反共分裂主義をすべてに優先させている民社党は、昨年の大会で、自民党政府の外交・安保政策の継承を決定し、ますます公然と日米軍事同盟擁護、さらに日米「韓」一体化の促進に乗りだした。ことしに入ってからは共産党のスパイ調査問題を国会にもちだし、前の治安維持法を当然視するなど、憲法に敵対する戦犯的体質を暴露するとともに、自民党と密約を結んで国会運営を妨害し、あるいは早期解散を叫んで「ロッキードかくし」の策謀にも事実上加担した。民間大経営のなかでは、独占資本の労働者にたいする自由と権利の抑圧にも公然と協力している。
 民社党は、「反共保革連合」論をも運用しながら、自民党政権への参加をめざす方向をしだいにあらわにしつつあり、その実態はすでに、「自民党春日派」として三悪政治への積極的協力者以外のなにものでもなくなっている。
 公明党は、昨年、共産党と創価学会との十年協定を敵視し、その内容を破壊するために必死の策動をおこない、大会では共産党を事実上ファッショ政党と規定するなど、反共主義をいっそう露骨におしすすめた。さらに、アメリカとの合意にもとづく廃棄という形で安保条約現状維持の容認に後退した点でも、自民党勢力に門戸をひらく「反共保革連合」論をあきらかにした点でも、公明党の反共・反革新の立場は、路線上、民社党のそれにますます接近してきている。わが党にたいする攻撃もますます陰湿さをくわえている。
 民社党、公明党は、今日の危機にさいして、社会党江田派をくわえた「江公民連合」を結成し、「新しい日本を考える会」を利用した政権の「受け皿」づくりなるものを共同で策している。いわゆる「江田構想」にみられるように、江田派の社会主義とは、「現実的改革」の「ながい終着駅のない道程」という、行方不明の「改良」なるもののつみかさねにすぎず、社会主義とはなに一つ共通点のないものである。そして「考える会」が分派活動でわが党を追放された反党分子か「健全な二大政党」論をかかげる財界の一部にいたるつながりをもち、反共だけが明確なその政権構想が社会党からの江田派の分裂を予想していることなどにあきらかなように、「江公民連合」は、今日、反動勢力の期待にこたえて、共、社両党をふくむ革新統一戦線結成阻止の主要な道具となっている。
 反共「中道」政権は、ヨーロッパの戦後の政治史のすべての経験がしめすように、なんら革新の名に値せず、独占資本の政権としての役割しか果たしえない。日本の「江公民連合」は、フランスやイタリアで反共中道政権が破たんして、共産党の参加する政権以外に国政の革新がありえないことがあきらかになった時期に登場した。時代おくれのこの路線が、自民党を補う「保補路線」にすぎないことを実証し、ヨーロッパ以上に早く、みじめに破産せざるをえないことは、日本の危機の深さと二つの道の対決のするどさからいっても、確実である。

 六、危機打開の唯一の道は、すべての革新勢力の統一戦線結成と民主連合政府の樹立による国政革新である。戦後三十年の経過そのものが、この道による民主的活路以外に今日の日本の危機を打開し、救国と革新の国民的事業をなしとげることができないことを示している。
 そのために現在もっとも緊急に求められているものは、日本共産党が提唱しつづけてきた革新三目標にもとづく統一戦線の結成であり、今日具体的にいえば、日本政治の構造的な後進性と腐敗の源である戦犯性、金権性、売国性にきびしく反対し、ロッキード事件の徹底的な究明と政治の民主的転換のためにたたかう統一戦線の結成である。戦後日本の本来の志向であるべき民主的平和的方向を、いまこそ真剣に追求、実現し、日本の民主的再生をかちとろうとするこの三悪政治打破の統一戦線こそ、戦前は侵略戦争と暗黒政治によって、戦後は三悪政治によって苦しめられ、切実な要求や権利をおしつぶされてきたすべての国民を結集しうる展望をもつ救国と革新の統一戦線である。
 もしもいま、中央、地方を問わず全国各地で、職場で、地域で、学園で、農漁村で、統一戦線組織が結成され、ロッキード事件の追及と国民生活防衛、民主主義、平和と中立をかちとることをめざす国民的運動を展開し、統一戦線に参加した政党間の適切な選挙共闘がすすむならば、自民党独裁を打破して、総選挙で議席の過半数を獲得し、民主連合政府を樹立することも不可能ではない。民主連合政府は、国民の信頼をになって、今日の危機を打開し、平和と中立をかちとり、国民の利益をまもる新しい政治を実行することができるであろう。

 七、このような情勢のもとで、四月八日、日本共産党宮本幹部会委員長と日本社会党成田委員長との会談で合意された統一戦線問題についての協議は、広範な国民の期待にこたえるものとして重要な歴史的意義をもつものとなった。日教組、国鉄労組、国公労連をふくめ百をこえる労働組合がこの合意を評価し、民主団体、学者、文化人など各界から合意を支持するあらたな運動がひろがっている。
 その後社会党成田委員長が提唱した、共社公三党の協議と選挙協力構想にたいしても、わが党は積極的な態度をとり公明党をふくむ統一戦線問題の協議を拒むものでないことを表明した。わが党のこの態度とは対照的に、公明党は共社両党の合意を攻撃し、成田提案をも拒否して、共産党との政権共闘は絶対にありえないとくりかえしている。これこそ、公明党の反共・反革新の実態をかさねて鮮明にしたものである。
 統一戦線問題にたいする社会党の動向にも、複雑な状況がある。江田派などの反共的潮流は公然とこの合意を批判しており、民社党をふくむ「全野党共闘」の路線も公式に廃棄されていない。こうした障害を克服して、共・社両党をふくむ統一戦線結成に前進するためには、わが党をはじめ広範な民主勢力のいっそうの奮闘が必要である。

 八、そのためにも、諸要求の実現をめざす各分野の大衆運動を強化し、統一戦線の結成を要求する国民的運動をさらに強化することが必要である。
 深刻な危機のもとで、切実な諸要求をかかげて大衆闘争はあらたな高まりをみせているが、その要求の獲得が三悪政治の打破と国政革新の歴史的事業ときりはなせないことが、ますます広範な大衆の体験となってきている。
 反動勢力の本格的な攻撃に直面している労働組合運動は、大きな闘争エネルギーにもかかわらずそれを有効に発展させえなかったため、重大な転機に立つにいたり、国民春闘の再構築問題が議論されている。そのなかで、「高度成長」時代の企業主義経済主義の克服、特定政党支持義務づけの一掃、全革新勢力の統一闘争、統一戦線結成への努力との結合の必要がひろく指摘されている。一部の反共右翼幹部は、「江公民」路線と結びついて、労働戦線の右翼的再編のあらたな試みに出ているが、総評をはじめ多くの労働組合は、スト権問題をはじめとする民社党の露骨な反労働者路線の批判をつとめている。労働戦線統一のためにも、労組の機関決定による「特定政党支持」義務づけ体制の克服はいよいよ緊急の課題となっている。これは、現在、労働組合運動に一党支配をもちこむ政党が、将来、民主主義社会、社会主義社会を建設する資格があるかどうかを問われる重大問題である。
 この問題とも関連して、職場における自由の確立がつよく求められている。わが党は「自由と民主主義の宣言」(案)につづき、「職場に自由と民主主義を」という全労働者へのよびかけを発表した。すべての企業内に、憲法で保障された基本的人権を確立することは、労働組合の「資本からの独立」、その階級的、民主的強化にとっても不可欠の前提である。
 自民党のもっとも重要な政治的基盤とされている農村では、自民党政府の農業政策の破たんがあきらかになるにつれて、自民党政府、独占資本と広範な農民とのあいだの矛盾がさらに激化している。
 物価値上げ反対、重税反対、社会保障の拡充、低所得者、貧困者層の権利と生活の擁護、公害反対、教育、道徳問題、公正民主的な同和行政の確立をはじめ、多様な大衆運動が全国的にひろがっている。市民、知識人、青年、学生、婦人、中小零細業者など国民各層の運動も、ロッキード事件にたいする糾弾とむすびついて、政治革新の展望を求める方向に前進している。
 わが党は、あらゆる分野の大衆運動のなかで、それぞれの諸要求実現のたたかいの先頭に立ち、昨年来全党的にひろげてきた救国と革新の国民的合意をめざす運動を、今日の情勢に即して発展させるとともに、三悪政治に反対する革新統一戦線の結成こそ、要求実現のもっともたしかな保障であることを広範な国民のあいだにあきらかにし、統一戦線結成をめざす国民的運動の発展をうながすよう、あらゆる努力をはらわなければならない。

 九、統一戦線結成という歴史的事業実現のために、なによりも必要なことは、統一戦線の推進力としての日本共産党の躍進と強大化を急速になしとげることである。
 前回総選挙以来、国会で野党第二党の地位を占めているわが党は、三悪政治との闘争においても、政局の民主的打開においても、もっとも重要な役割を果たしてきた。長期にわたった国会の「空白」を打開して審議を正常化するさいにも、ロッキード問題の調査と徹底的追及でも、また自民党内の反動派による「ロッキードかくし」の策謀の糾弾にあたっても、わが党と機関紙「赤旗」は、しばしば決定的なイニシアチブを発揮してきた。春日反共質問についても、国会でその違憲性を多面的にするどく追及し、国民の権利と民主主義をまもりぬくために奮闘した。これらの成果は、五十九人の国会議員と三十八万余の党員、三百万をこえる「赤旗」読者をもつにいたった党の躍進によって可能となったものである。
 情勢は、わが党がさらに躍進し、さらに強大な存在になることをつよく求めている。共産党の躍進を恐れる反動、反共勢力は、ますます必死になってわが党にたいする反共攻撃を強化している一方、危機の深化、とりわけロッキード事件によって、自民党支配の危機はますます深まり、今後の事態の進行によって政局がさらに激動する可能性もつよまっている。反共攻撃を粉砕し、全党が奮闘するならば、党があらたな躍進をとげる客観的情勢もまた生まれつつある。とくにロッキード疑獄の解明は、日本共産党こそが清潔な正義の党であり、日本の政治の浄化と刷新をなしうる党であること、国民の苦しみの元凶である三悪政治に一貫して対決してきた、真に国政をにないうる政党であることをあらためて鮮明にするであろう。

 十、こうして今日、危機打開をめぐる二つの道の対決は、ロッキード疑獄の真相究明か、それとももみ消しか、そしてロッキード疑獄を究明して国会解散、総選挙で国民の信を問うか、それとももみ消し解散総選挙を許すかという対決を、当面の最大の焦点とするにいたっている。
 ロッキード疑獄の徹底的追及は、刑事責任の追及だけでなく、いわゆる「灰色高官」公表をふくむ政治的、道義的責任をあきらかにすることであり、またトライスター、PXL問題だけでなく、第一次、第二次FX問題、CIAの介入、米日「韓」の黒い関係など、戦後史全体にかかわる事件の全ぼうを解明することである。それは金権・戦犯・売国の三悪政治の国民的糾弾というその本質から、独立と平和、民主主義、生活向上という国民の基本要求と結びつき、発展する闘争とならざるをえない。この闘争は、かつての安保闘争、小選挙区制反対闘争、狂乱物価と石油危機から国民生活をまもる闘争などをひきついだ、国民的闘争となるべきものである。わが党をのぞくそれぞれの野党が、ことあるごとに国会早期解散総選挙をくりかえし要求してきたことは、実際には三木内閣に国会決議と議長裁定の実行を迫る闘争を放棄して、ロッキード疑獄の真相究明をうやむやにした総選挙への道をひらこうとする反動勢力の策謀に呼応するものであった。三木内閣が政権延命のために党内多数派と妥協し真相もみ消しの主役を演ずるならば、これも同罪であって全ぼうの解明を要望する国民世論にたいする許すことのできない背反である。
 わが党は、広範な国民とともに、こうしたいっさいの策謀と徹底的にたたかい、国民生活防衛の闘争とむすびつけてロッキード事件の徹底的解明を要求する闘争をおしすすめ、世論の勝利による国会解散と総選挙をかちとるために奮闘しなければならない。

 二、歴史的な総選挙の意義と任務

 一、前回一九七二年の総選挙は、米中接近とインドシナ侵略戦争の凶暴な拡大が同時に進行し、また、対米従属、大企業奉仕の「高度成長」政策の破たんが深化しているとき、田中内閣が「日本列島改造」論をかかげて登場するという複雑な情勢のもとでたたかわれた。
わが党は、この選挙で国政革新をめざす「五大基本政策」をかかげてたたかい、広範な国民の支持をえて、革新共同候補をふくめ四十議席を獲得し、議席、得票、得票率とも大きな躍進をかちとった。わが党のこの躍進は、政治の真の革新を求める広範な国民にあらたな勇気と確信をあたえただけでなく、たたかうベトナム、ラオス、カンボジア人民をはじめ、国際的な反帝民主勢力から熱烈な祝福をうけた。
 野党第二党となった日本共産党・革新共同議員団は、一昨年の参議院選挙での前進で衆参両院あわせて五十九名となり、国会運営の民主化と国民要求の実現に主導的役割を果たし、科学的社会主義にもとづくすぐれた先見性ある諸政策をかかげて国民生活擁護、民主主義と平和のためのたたかいで豊富な多面的実績をあげてきた。
 国政革新の推進力としてのわが党の姿とともに、二つの道の対決がいっそう鮮明になっている今日、全党組織と党員が精力的なたたかいを展開するならば、きたるべき総選挙でわが党があらたな躍進をかちとりうる可能性は大きくひらかれている。

 二、きたるべき総選挙は、激動する情勢のもとで七〇年代後半の政治全体の方向を左右する全国的な一大政治戦である。〝史上最大の激戦〟の一つとなるであろうこの重大な政治戦において、わが党が全党の英知によってその路線、政策をいっそう充実させ、わが党の総力量を最大限に発揮して、勝利と躍進をかちとることは、わが党に課せられた歴史的使命となっている。
 日本共産党の躍進と現実政治への影響力の拡大をなによりも恐れている自民党は、この総選挙でわが党の進出を阻止し、さらにわが党を弱小勢力におしとどめることに最大の努力を傾注している。同時に、反共諸党、とくに公明党は革新統一戦線の妨害、野党第二党の地位奪還を期してその攻撃をわが党に集中し、民社党は反共分裂主義を唯一の存在理由とする党としてもっぱらわが党への攻撃を選挙戦の最大の任務としている。
 きたるべき総選挙でひろく内外から注目されている焦点の一つは、ロッキード疑獄に集中的にみられるように、戦後三十余年にわたって三悪政治をつづけてきた自民党を、国民の審判によってどれだけ追いつめ、後退させるかということである。この点では、三悪政治に真に対決してたたかってきたわが党の前進こそが、自民党にたいするもっとも大きな痛打となるものである。
 もう一つの焦点は、自民党と呼応してわが党を追い落とそうとする「江公民」勢力、とくにわが党から野党第二党の地位を奪い返そうとする公明党の必死の反共策動を許すかどうかということである。前回総選挙でわが党が公明党、民社党を追いぬき、野党第二党に躍進したことによって、民主的な国会運営や政局展開において、わが党が果たす役割は格段に大きくなった。たとえば野党間の書記長・書記局長会談、党首会談などにおいても、共、社両党の会談が主導的役割を果たし、公明、民社など反共勢力の策動を封じこめてきたことが少なくない。この関係を逆転させ、社会党をひきこむことによって「江公民」勢力が主導権をにぎろうとする公明党の攻撃を絶対に許してはならない。
 このいずれもが、七〇年代後半の政治的展望、とくに国政革新をめざす運動の方向に重大なかかわりあいをもつものである。党はすべての支持者、読者、後援会員の積極的な協力をえて奮闘し、自民党に大きな打撃をあたえ、反共諸党派をおさえ、かならず党と革新共同のあらたな躍進をかちとって、いっそう強力な発言権をもった国会議員団を確立しなければならない。そのことによって、わが党の役割はいちだんと強化され、三悪政治の一掃、国民の諸要求の実現のうえでも、国会活動のうえでも、新しい段階をきりひらき、革新統一戦線結成への障害を突破し、わが国の政治の民主的再生という歴史的事業の速度を速めることができるであろう。 
この光栄ある任務を深く自覚し、党は、全国的規模においても、都道府県、選挙区別規模においても、議席、得票、得票率のすべてにわたってかならず勝利し、躍進しなければならない。現有議席を絶対に確保することはもちろん、あらたに議席を獲得すべき責任をもつ選挙区ではかならず当選をかちとり、全国的に議席の増大を実現するとともに、今回はまだ議席獲得は困難な党組織でも、この次の選挙ではかならず議席を争うことができるよう、いっさいの消極的傾向を一掃し、全選挙区で得票と得票率の大躍進をなしとげるため、全力をあげて奮闘することが重要である。
 国政選挙の結果が、その党の総力量をしめす客観的指標とされていることからも、すべての選挙区、すべての党組織が全国的視野に立って奮闘し、全国的にも、地方的にもその政治目標を実現することが重大な責務である。それとともに、議席増大のために全党的立場からあらゆる相互支援、協力を展開することは、わが党によってこそなしうる活動として重要である。

 三、金権・戦犯・売国の自民党政治にたいする国民の怒りのなかで、わが党の先駆的な政策と積極的活動、輝かしい歴史と伝統は、いっそう広範な国民のあいだにわが党へのあらたな期待と信頼を急速にひろげており、反共反動勢力にうちかってわが党が飛躍する好機をつくりだしつつある。しかし同時に、わが党が勝利と躍進を現実にかちとることはけっして容易でないことをも、直視する必要がある。全党がいっさいの主観主義や安易感、そこから生ずるあらゆる消極的傾向を克服し、事態を主体的にきりひらく科学的で戦闘的な立場を確立して奮起することによってはじめて、勝利は現実のものとなる。
 前回の七二年総選挙で、わが党は飛躍的な前進をかちとったが、こんどの選挙戦を単純にその延長線とみなして、今日における諸党派間の闘争のはげしさ、とくに日本共産党に攻撃を集中した反共布陣のきびしさから目をおおい、前回なみの成果はすでに保障されているかのように安易に考えることは、きびしくいましめなければならない。
 もとより当面する情勢のきびしさは、前回の総選挙でわが党の前進以来、危機感をいちだんと深めている財界と自民党が、あらゆる反動、反共勢力を動員してその支配の維持に必死となっていることのあらわれにほかならない。それは、広範な国民の政治的自覚のたかまり、わが党と革新統一勢力の着実な前進を背景とした、日本の進路をめぐる二つの道の対決のいっそうの先鋭化、激烈化を反映したものである。したがってそれは他面では、党が国民のあいだでも、反共勢力にたいしても、全面的に積極的攻勢に出て、大きな陣地を築きうる客観的条件が現実にきりひらかれつつあることをもしめしている。その条件を現実に党の成果、陣地の強化となしうるかどうかは、こうした情勢のきびしさの内容と性質を正しく理解し、革命的気概をもって全党がどれだけ本格的に選挙戦にとりくむか、その奮起いかんにかかっている。

 四、総選挙戦をかちぬくうえで、きわめて重要な課題となっているのは反共攻撃にたいするたたかいである。自民党はもとより、民社、公明などの反共諸党派は、理論、政策論争ではわが党にまともにこたえられず、春日違憲質問その他にみられるように、憲法違反、人権侵害など手段をえらばぬ卑劣、陰湿な反共攻撃をおこなっている。
 これら一連の攻撃は、たんにわが党にだけむけられているものではない。内外の経験がしめすように、反共は「貧困とファシズム、戦争への道」である。現在の反共攻撃も、自民党支配の危機のなかでの、まさに自由と民主主義、国民にたいする挑戦であり、それゆえに民主主義のもっとも勇敢な戦士である日本共産党にその攻撃を集中しているものである。全党は、この攻撃にたいしては、ばかげた内容のものでも過小評価せず、機敏な反撃を攻勢的におこない、自民党、民社党、公明党などこそ、自由と民主主義にたいする敵対者にほかならないことを大衆的にあきらかにしなければならない。こうした攻勢的反撃が効果的におこなわれるかいなかは、総選挙の全局面に直接かかわるものである。
 臨時党大会に提案される「自由と民主主義の宣言」は、自由の問題を理論的にも、歴史的にも明快に解明し、過去、現在、未来をつうじてこの問題にたいするわが党の立場と政策をくわしくあきらかにした画期的な文献である。したがってこの宣言は、反共攻撃にたいしても有力な武器となるものであり、広範な国民がわが党の路線と真の姿をいっそう深く理解するうえでも大きな役割を果たすものである。
 戦前戦後をつうじ、自由と民主主義、国民主権と平和の一貫したまもり手としての輝かしい伝統をもち、反共攻撃にうちかって今日、三十八万余の党員と三百万をこえる機関紙読者を擁する党として、三悪政治一掃の先頭にたっているわが党が、精力的活動を全国的に展開するならば、国民の利益をまもる政権担当能力をもつ真の革新の党、日本共産党への国民の支持を、あらゆる分野とあらゆる層にひろげることができるであろう。

 五、選挙活動の方針については、第八回党大会以来十数年の選挙戦の教訓もふまえ、昨年の全国いっせい地方選挙の総括にもとづいてあきらかにした六中総と、それにつづく七中総、全国活動者会議、八中総でくわしくしめされている。これらにもとづいて活動をいちだんと強化するとともに、選挙戦の勝利を確実なものにするうえでつぎの諸点の遂行がとくに重要である。

  (1)正確な政治作戦計画と攻勢的宣伝

 政治情勢と政局の激動にともない、自民党とその各派閥の動揺と矛盾の深刻化、「江公民」勢力などの反共・非革新の体質の露呈などあらたな変動が生じている今日、それぞれの地域、選挙区での政治的焦点や、他党派と切りむすぶ政策上、理念上の問題を明確にした政治作戦の計画をもつことは決定的に重要である。この正確な政治作戦計画をすべての党機関、党組織が確立し、宣伝活動を攻勢的に展開しなければならない。とくに政局の民主的打開をリードし、三悪政治に真に対決して国政革新のためにたたかうわが党の活動、国会議員団の実績宣伝などをおこない、同時に反共主義にたいする反撃と自由、民主主義をはじめとするわが党の理念、政治姿勢の積極的宣伝を強化することが重要である。パンフレットをはじめ各種の出版物、『日本共産党紹介』や『文化評論』の積極的普及、掲示板の拡大と活用などに、いっそう積極的にとりくむ必要がある。

  (2)確立した計画の確実な遂行

 すべての党機関は我流を排し、それぞれの選挙区における現状と到達点を科学的に分析し、これまでのとりくみのなかのゆがみやおくれなどの問題点を明確にし、各選挙区がめざす政治目標をかならず達成するという見地から「逆算」して、密で具体的な、政治作戦計画をねり上げ、いつまでになにをやり抜くかという目標にそった活動を確実に遂行しなければならない。
とくにいまの時期、総選挙をめざして後援会員を拡大し、おう盛な後援会活動を展開することは、もっとも重要な選挙の組織的課題である。「赤旗」読者をはじめすべての党支持者はもちろん、救国と革新の国民的合意のよびかけや、躍進して以来の党国会議員団の実績などもあいまって、日常、接触のないところにも党の影響が大きくひろがっていることに着目し、後援会員をひろげる活動を目的意識的に展開し、急速に後援会員を拡大することが重要である。
 多くの党員が同時に後援会員であることからも、後援会活動によって、読者をはじめ多くの党支持者と党員とのむすびつきをつよめ、後援会員を拡大する活動をふくめてそのなかで、党員や読者を拡大することができる。また、大衆的、民主的運営をいちだんと重視し、会員の要求や関心にこたえ、レクリエーション活動もふくむ多面的な行事を展開するなど、生きいきとした活動をふだんに発展させなければならない。後援会活動では、地域や職場、学園の単位後援会とともに、分野ごとあるいは大衆団体の線にそったタテ線の後援会・活動をとくに重視し、全国的にそのとりくみをいっそう強化する必要がある。
 これらの活動とあわせ、党支持拡大運動の速度を早め、勝利の土台をきずくことが急務となっている。

 六、中間地方選挙の一つひとつにたいして必要な力を集中してたたかい、かならず勝利することは、総選挙の全国的躍進のためにも決定的に重要である。今日、はげしい反共包囲下にあって、三千二百人をこす地方議員を擁するわが党が、さらに大きく前進するには、いっそうの努力と奮闘を必要としている。そのためにも少なくとも一年以上前から準備をすすめ、たちおくれることなくとりくまなければならない。七、全党は、わが党の政策と理念を前面に、労働者、農民、漁民、勤労市民、中小企業家、婦人、青年、学生、知識人、文化人のすべての分野、階層のなかで積極的な運動を展開するときである。いまこそ自由と民主主義の旗手である日本共産党の躍進のため、すべての党員はそれぞれの部署で支持者とかたく団結し、そのエネルギーを完全燃焼させて、この総選挙を大衆的規模でたたかいぬく必要がある。このことに成功するならば、わが党は、広範な国民の期待にこたえ、勝利への展望をかならずきりひらくことができるであろう。
 全党は、「日本共産党とともに、日本を救おう!」を合言葉に、勝利と躍進にむかって国民とともに前進しなければならない。

 三、全党員一人のこらず総決起を

 一、歴史的な総選挙での勝利と躍進の原動力は、なによりもまず、政治的自覚と革命的気概にみちた全党組織と党員の総決起である。
 全党員一人ひとりが第八回党大会以来、わが党がなしとげてきた大きな成果に確信と誇りをもち、その条件と能力を最大限に生かして決起しなければならない。
 自主独立の立場を確立し、第八回党大会で綱領を採択して党と統一戦線勢力が、国会で多数を獲得することによって民主主義革命をなしとげる路線を確定して以来、わが党は新しい大衆的前衛党として着実な前進をとげてきた。とくに科学的社会主義の理論を自主的、創造的に具体化し、その理念と原則をまもりながら、独立、民主の日本においても、社会主義の日本においても、自由と民主主義が確実に保障されること、日本共産党が労働者階級の前衛党であるとともに、民族の党、国民の党であることをあきらかにするなど、理論、路線、政策のうえで、先駆的な創造をつみかさねてきた。自民党政治の反動化とたたかい、国民の利益を一貫してまもってきた党は、第十二回党大会では民主連合政府綱領提案を採択し、国政革新の展望を全国民のまえにしめした。国民に信頼される党をめざす確固たる方針のもとで、わが党はこの十数年間に党員は数万から三十八万余に、「赤旗」読者は数万から三百万をこえる党に成長してきた。この党勢その躍進を土台に、すべての選挙で前進をかちとり、今日、五十九名の国会議員と三千二百名余の地方議員をもつにいたっている。とくに「赤旗」は、日本の現実政治にぬきがたい影響力をもつ新聞となり、その読者数は、世界の資本主義諸国の共産党のなかで、第一位の地位をしめ、わが党の機関紙活動は、国際的にも大きな注目をあつめている。
 この勝利と前進の歴史は、全党組織と党員が一貫して党勢拡大党員と読者の拡大を独自の課題として追求して、あらゆる困難をのりこえ、戦闘的な活動に持続的にとりくんできた結果にほかならない。
 いま総選挙戦を目前にひかえ、全党員は、この輝かしい歴史と伝統に確信をもち、配慮ある党、魅力ある党となることをめざし、大きな飛躍をとげなければならない。

 二、総選挙での勝利と躍進の保障は、党の主体的力量の強化であり、そのかなめはいうまでもなく、党員の拡大と空白における党組織の建設である。
 総選挙をめざす活動のなかで、読者、後援会員をはじめ、党に協力し、支持をよせている人びと、三悪政治に反対し、国政の民主的転換をねがう広範な人びとに、党の戦列への参加を大胆に訴えることを前提に、全党員が一人のこらず、一名以上の入党対象者をもち、機関と支部、党員相互の同志愛にみちた協力によって、この任務をやりとげなければならない。
 八中総決定が指摘した総選挙での勝利と躍進という政治目標を全国的に達成することをめざして、人口比、有権者比、世帯でたちおくれている党建設の分野での急速な前進をかちとり、また、空白職場、地域を克服するため、すべての党組織が奮闘することが重要である。とくに、職場、地域、農村学園で責任をもった政治単位としての支部活動と党建設強化することは、総選挙での全国的な勝利と躍進にとって決定的な課題である。
 すべての経営支部は、職場の支配体制の変化から生まれている、労働者のあらゆる層の多様な要求と気分にこたえる、積極的な政策宣伝や「自由と民主主義の宣言」をひろげ、職場での自由を拡大し、民主主義を確立するための活動を展開しなければならない。とくに自由と民主主義が圧迫されている職場では、当該支部だけにまかせるのではなく、各級党機関が責任をもち、全党的な力でこれを突破することが重要である。「職場に共産党があってよかった」といわれるように党の権威をたかめ、労働者のなかでの党勢の拡大をち密な計画にもとづきねばりづよくすすめなければならない。
 農漁村での党建設は、前進しているとはいえ、まだ党議席空白や党組織空白町村ものとされている。ここに党を建設し、農漁村を自民党の強固な地盤から党と統一戦線のとりでに変えるように奮闘しなければならない。
 中小零細企業、勤労市民、低所得者、貧困者のなかにおける党活動は、営業と生活をまもる切実な要求の実現をめざす運動の発展の面でも、大きな役割を果たしつつある。この分野で、党員の拡大をすすめることは、経営、農村での党建設とならび、政治革新のうえでますます重要な課題となっている。
 青年層や婦人層の動向は、総選挙の結果に重大な影響をおよぼすだけでなく、国政革新の未来にかかわる重要性をもっている。多面的要求にもとづく婦人運動のなかで、党員の果たしてきた役割をたかく評価するとともに、各級機関がいっそう配慮ある指導と援助をつよめ、広範な婦人層のなかに党勢力を拡大することが必要である。また、青年・学生のなかでの党員の拡大に、すべての党機関がひきつづきとりくむとともに、党支部に対応する民青同盟班の建設など、民青同盟にたいするゆきとどいた指導と援助をおこなうことが急務である。
 わが国は、高度に発達した資本主義国として知識層の比重が国際的にも高く、この分野での党の活動の強化はいっそう重要となっている。

 三、機関紙「赤旗」読者は、総選挙での勝利と躍進の重要な保障であるとともに、国政革新の不可欠の力である。
 今日「赤旗」は、国政革新の原動力としての役割を現実に果たしつつあり、到達した三百万余の読者は、党にとって貴重な宝であり、力である。しかし、総選挙での勝利、政治革新の国民的事業の見地からみるなら、今日の到達点はけっして満足すべきものではない。全党はひきつづき機関紙活動に精力的にとりくみ、総選挙での勝利に必要な読者数をすべての党組織がもつために、この分野での停滞やたちおくれを生みだすことは、党にとってきわめて重大な危険と損害であることを銘記して、三ヵ年計画の実現のために不撓不屈の気概でとりくまなければならない。どの地方党組織、どの支部も機関紙活動を党活動の中心にすえ、それにふさわしい幹部活動家の配置、配達、集金体制の強化、分局の強化と指導、読者との結合にいたるまで、配慮と責任ある指導をつらぬかなければならない。

 四、総選挙での勝利と躍進の保障の一つである財政活動では、全党員の自覚ある活動を基礎に、その基盤を大きくひろげ、広範な支持者にまもられる財政活動をさらに強化することが重要である。

 五、激動する情勢のもとで、わが党の進出をおそれるさまざまな反動、反共勢力の策謀、右翼暴力団などのしゅん動が露骨化してきている。かれらの暴力、テロ攻撃を許さず、スパイ・挑発者から党を防衛する問題をひきつづき重視しなければならない。

 六、選挙戦をたたかいぬくうえでも、党建設をすすめるうえでも、必要不可欠の問題は、わが全党員の学習、教育活動の強化によって理論上政策上の水準をたかめ、「知を力」とし、革命的気概をもって活動と組織の量的拡大をはかることである。 すべての党員が、党の綱領と党大会の決定をはじめ、党の路線、理論、政策、方針を深く理解し、わが党の真の姿を国民にあきらかにする力をもち、宣伝と説得活動であらたな威力を発揮することが、つよく求められている。

 七、わが党は、五十四年の輝かしい不屈の歴史と、革命的伝統、科学性と先見性につらぬかれた政策と方針、日本の過去、現在、未来に責任を負う自主独立の立場、わが党の組織原則である民主集中制を基礎に全党員の自発性と統一と団結をつよめた党の姿と活動など、広範な国民を結集しうる党、労働者階級の前衛党であるとともに、民族と国民の党として前進してきた。
 いま、戦後三十年つづいている自民党の三悪政治への国民の怒りはたかまり、これを打破し、国政革新をのぞむ世論は大きくひろがっている。しかし、国政革新をになう革新統一戦線はいまだ結成されていない。このとき、国政革新、統一戦線の推進力であるわが党の拡大、強化はまさに急務となっている。
 一貫して主権在民と侵略戦争反対、自由と民主主義のために、苦難のなかでたたかいつづけてきた日本共産党は、日本の他のどの政党よりもかたく団結した党であり、もっとも民主主義的に組織された政党である。党組織はつねに一人ひとりの党員への配慮と援助につとめ、同時に広範な人びとにたいして、配慮と責任、市民としての連帯感をもって接し、あたたかい協力関係の前進のために努力し、さらに圧倒的多数の国民の支持をうるよう、いっそう努力しなければならない。
 全党員は、科学的社会主義の思想と理論のゆたかさ、わが党の確固たる路線と政策の優位、強大な大衆的前衛党をめざす党建設の方針を深く身につけ、いまこそ勇躍して、真に国政革新をにないうる強大な党、知恵と行動力を統一した党、総選挙勝利と躍進を保障する党の建設をめざして奮闘しよう。歴史的な総選挙を迎えて、救国と革新、日本の政治の民主的転換という光栄ある事業の成否は、なによりも全党員の総決起にかかっている。