主張 ソ同盟共産党第二〇回大会

 一

 ソヴェト同盟共産党第二〇回大会の諸成果は、ソヴェト同盟共産党だけでなく、全世界の共産主義運動に大きな意義をもつものである。また、それは世界のすべての独立、平和、民主主義をめざす諸勢力にとってひじょうに大きな意義をもつものである。
 フルシチョフ同志によっておこなわれたソヴェト同盟共産党中央委員会の活動報告とそれにもとづく決議は、人類史上の新しい情勢と事件の正しい分析に立って、当面の任務をあきらかにさし示し、マルクス・レーニン主義の創造的発展を生きいきと具体化している。「プラウダ」および「恒久平和のために、人民民主主義のために!」に報道されているソヴエト同盟共産党の諸同志の報告および討議は、中央委員会の報告および決議を理解する上に重要な意義をもっている。ソヴェト同盟共産党中央委員会の報告と決議は、資本主義世界の情勢の特徴を分析したのち、社会主義陣営が有利な、根本的歴史的変化が生まれたことの世界史的意義をあきらかにした。ソヴェト同盟、中華人民共和国など一三ヵ国、九億の人類が社会主義の道をあゆみ、社会主義が世界的な体制になっているという事実は、人類の歴史に新しい画期的な時代のおとずれを示すものである。そして、まだ資本主義から解放されない国ぐにでも、社会主義をのぞんでいる労働者、農民はじめ、すべての人びとを加えるならば、社会主義社会の歴史的勝利のおとずれについて、われわれはいよいよ無限の確信をふかめる。大会で全面的にあきらかにされた第六次五ヵ年計画の壮大で着実な展望はいよいよこれを保証する。
 社会主義への移行の多様な形態についての大胆で原則的な新しい解明は、今後の社会主義運動にとって重大な意義をもっているものである。それは世界的規模での、社会主義と平和の勢力の新しい有利な情勢にもとづいて提起されたものである。しかし、この多様な形態のどの道を進むかは、その国の階級関係なかんずく支配権力の性質にかかるところが大きい。

 二

 これらの平和愛好社会主義世界と、帝国主義の軍事ブロック政策に参加しないヨーロッパとアジアの平和愛好諸国を加えて一五億の人類、すなわち世界人口の過半数をもつ広大な「平和地域」が生れたという事実は、全世界の平和擁護者にとってはかり知れないはげましとなっている。資本主義が存在するかぎり、戦争をひきおこそうとする反動勢力の試みはつづけられるだろうが、戦争は宿命的に不可避的なものではなく、これを阻止できる強力な社会的政治的勢力が存在する。このことの新しい確認は、三〇〇〇万の原水爆反対署名の力をもつわが国の平和運動の未来を一層あかるくてらし出す煙火となろう。
 レーニンは「闘争の結末は、けっきょくのところ、ロシア、インド、中国などが住民の絶大な多数をなしていることにかかっている。ところがまさにこの住民の多数が、近年にいたり、異常なはやさで、その解放のための闘争にひきいれられ、したがって、この意味で、世界的闘争の最後的解決がどのようになるかということについて、すこしも疑問はありえない。この意味で社会主義の最後的勝利は、完全にまた無条件的に保証されている」(『数は少くとも、よりよく』一九二三年三月二日)といった。
 大会は世界人口の半分である一二億の人類が、植民地体制のくさりをたちきり、帝国主義の植民地体制が大きく崩壊しつつあることをはっきり指摘した。この世界史的動向は、今日アメリカ帝国主義の従属下におかれているわが日本国民にとって、大きな教訓と勇気をあたえるものである。わが日本民族は、偉大な中国、インドその他すでに独立した東方諸民族との友好を深めつつ、あくまで祖国の独立のための不屈の闘争に最後の勝利をめざしてたたかうであろう。
 そのために、われわれは綱領と六全協決議の示す民族解放民主統一戦線のための巾広い精力的な活動をますますつよめ、民主主義と独立を求めるすべての人びととの統一戦線の結集のために努力しなければならない。党は六全協において「平和と独立と民主主義のために社会党、労農党との統一行動を実現するようにつとめなければならない」と決議した。ソ同盟共産党第二〇回大会の決議は、「労働者階級運動における分裂状態を克服し、共産党と社会党その他、平和を支持し、帝国主義の圧迫とたたかい、自国民の民族的利益と民主主義と独立をまもろうとする諸政党と実務的な接触を確立することがきわめて重要である」と指摘している。また戦争に反対するすべての勢力の結集をよびかけている。改良主義が労働者階級のなかに生みだす幻想とねばり強く批判的にたたかう自由を失うことなく、すべての民主的政党や民主団体との共同戦線の結集のために努力することは、わが国でもますます重要である。それはわが国を対米隷属と軍国主義化にますますしばりつけつつある米日反動勢力への重要なたたかいの道である。

 三

 報告と決議は、共産主義社会の勝利的建設の一層の躍進を、マルクス・レーニン主義にもとづく党の前進の課題と固く結合している。党生活のマルクス・レーニン主義的な基準を完全に回復し、集団主義指導にもとづく固い団結に立ったソ同盟共産党中央委員会の賢明な指導が、ソ同盟の内外政策の偉大な勝利をみちびいた。党の上に個人をおく個人崇拝の漫延にたいしてたたかう大会の態度は、歴史における個人の役割をあきらかにするだけでなく、党と大衆の役割、党内集団指導の役割について正当な評価の基礎をあきらかにしたものである。わが党は六全協によって、家父長的個人中心的指導を排し、集団指導に第一義的重要性をおき、それにしたがって各級機関の民主的選挙と機関の集団指導体制の確立をはかってきた。われわれは、この点で大会決議の精神に十分の共感をもつことができる。
 われわれが、とくに深い関心をそそられるのは、七二一万の強大な前衛党であるソ同盟共産党が、なおかつ「大会は若干の党組織で党員数の増大をはかる問題にたいして、関心がよわまっているのはあやまりであると考える」として、労働者、農民を中心とする先進分子の党への採用をよびかけていることである。
 有能で熟練した人材によって地区組織を強化することを大会が強調し、また「党全体と個々の党組織がひろく勤労者とのむすびつきをつとめることは、党が当面する諸課題を立派に遂行するための最高の条件である」と強調したことはわが党の現状と課題にとってもきわめて教訓的である。中央委員会の報告、決議だけでなく、重要諸演説がひとしくマルクス・レーニン主義の創造精神にもとづく理論、イデオロギー活動の豊富化をつよく要望していることは、わが党にとって、とくべつに教訓的である。

 四

 ソ同盟共産党第二〇回大会の成果は、偉大なソ同盟共産党とその中央委員会が、大きな勇気と率直さをもって、マルクス・レーニン主義の道をますます勝利のうちに前進していることを知らせている。前大会以後、ソ同盟共産党が内外政策と党生活においてたたかいとったすばらしい成果は、われわれにソ同盟共産党とマルクス・レーニン主義の不滅の力への信頼をふかめるものである。
 わが党員はみな、ソ同盟共産党第二〇回大会の巨大な世界的意義から十分に深く学ばなければならぬ。ソ同盟共産党中央委員会の報告とそれにもとづく大会決議はもちろん、監査委員会の報告、大会審査委員会の報告、および「恒久平和のために、人民民主主義のために!」紙上で系統的に紹介されている諸同志の演説その他大会の全内容をできるだけ詳しく研究し、学習する必要がある。ソ同盟共産党第二〇回大会の偉大で豊富な諸成果を学ぶことは、わが党の戦列を理論的実銭的につよめるのに大きな力となろう。
 わが党は、六全協によって、それまでの党の政策および組織上のあやまりを克服し、この数年間の党の状態がもたらした多くの複雑な困難と障害を突破して前進しつつある。アメリカ帝国主義と日本の反動勢力は、六全協によるわが党の画期的な転換が終らないうちにわが党に打撃をあたえようとして、新しい弾圧政策とスパイ政策をみがきつつある。
 しかし、わが党中央委員会は、敵の陰謀の意図を見ぬき、民族解放民主革命のための各分野の諸闘争と党生活のマルクス・レーニン主義的確立をめざす党建設を深く統一してすすむことが今日の急務であることを全党によびかけてきた。六全協の決議の基本精神もまたここにあることは明白である。
 このような任務に立っているわが日本の共産主義者にとって、ソ同盟共産党第二〇回大会の豊富な諸成果は、いよいよわれわれに共産主義の未来にたいする深い確信と、平和と独立と民主主義のための闘争の不屈の決意をかためる力をあたえるものである。

(『前衛』115号[一九五六年四月])