日本共産党資料館

春日庄次郎の反党的裏切り行為について

野坂議長の談話 一九六一・七・九

 一

 春日庄次郎は、七月八日夕刻東京本郷の旅館に新聞記者をあつめ、脱党を声明した。かれの離党届なる文書は、この記者会見がおこなわれてまもなく党本部に郵送されてきた。
 かれのこの破廉恥きわまる反党的・反階級的行為が二心的な行動による計画的なものであることはまったく明白である。
 党規約によれば、離党は党の承認によってはじめて認められるものであるにかかわらず、かれは離党届が党にとどけられるまえに、離党を党外に発表し、そのなかで党にたいするひぼうと中傷、攻撃をくりかえしている。かれはまた、離党するむねを大会議案に反対意見をもつ亀山幸三同志に電報で通信し、亀山同志はこの記者会見の席にあらわれている。これら一連の行動は、春日の反党的活動が分派活動として計画的にすすめられていたものであることを明白に示している。

 二

 かれは、脱党声明と離党届のなかで、事実をワイ曲し、あるいはありもしないことをならべたて、党を攻撃、中傷し自己の綱領上の見解が不当に抑圧されてきたかのようにえがきだしている。だが、事実はあきらかである。第七回党大会後の綱領討議にあたってかれは綱領問題小委員会の一員として、これに参加し、二十九回にわたるこの委員会で十分な発言の機会をあたえられてきた。二十数日間ひらかれた十六中総においても、発言の機会は数多くあたえられ、自己の意見を十分にのべてきた。このように発言の機会が保障されたことは、かつて類例がないくらいのものである。
 かれが草案にたいする反対意見をのべた意見書についても、反対意見を提出した他の中央委員もふくめ、十七中総においてはかれを除くほとんど全員がその書き変えの必要をみとめたような内容のものであった。十七中総では、提出された反対・保留意見の取り扱いについて決定し、意見書の発表のかわりに、党報の内容を収録したアカハタ号外に「十六中総の発言内容にかんして」が発表された。そのなかでは、反対・保留意見の紹介は半分ちかくの紙数をしめている。
 それでは、なぜかれの意見書が全文発表できなかったか。かれの意見書の内容は、十六中総における発言とかけはなれ、とくに政治報告草案にたいする意見として、第七回党大会後の党の活動を誤りの累積であるかのようにえがき、全党の奮闘と成果を全面的に否定する立場で意見をのべている。十六中総の討議では、かれは、政治報告についてわずかの発言しかしておらず、この意見書に書いたようなことはなにものべていないし、かれが列席する常任幹部会においても、かつてこのような見解を表明したことはなかった。かれは、意見書の発表を党をひぼう、攻撃する機会に意識的に利用しようとしたのである。もし中央委員会が、このような論文を発表する無原則的態度をとっていたならば、中央委員会自体が自由主義、分散主義の誤りにおちいっていたであろう。中央委員会は党の原則をまもって、十七中総においてあのような決定をおこない、かれの反党活動に舞台を提供することを未然に防ぐことができたのである。かれの意図が、このような論文を全党に発表させることによって、党の混乱をねらった陰謀であったことは、今回のかれの行動をみれば、まったく明白である。
 統制委員会は、この論文をみて、かれを除く全員が、かれの態度がまったく誤りであることを批判した。そしてちかく幹部会は統制委員会と合同会議を開いて、かれの意見書について討議することになっていた。しかしかれは病気と称して出勤せず、そのためにこの会議は今日まで開くことができずにいた。この間に、かれは今日明白になったような分派活動を準備していたのである。
 しかも、幹部会は、提出された意見書は義務的に発表はしないが投稿あつかいとして必要によって発表することがあるという十七中総の趣旨にもとづきかれの意見書の綱領問題の部分を『前衛』に発表することにし、かれにその旨を連絡した。ところがかれは、あの意見書は意をつくしていないから、といって、発表をことわってきた。かれの「官僚的統制」うんぬんなどというのは、ごまかしの口実以外のなにものでもない。自己の意見を発表したいのなら、このような党の措置をうけいれるのが当然である。自己の意見が党大会前の全党の討議で孤立しているのを合理化するために、このような見えすいた口実をでっちあげているのである。しかも、党大会で大会役員は、代議員であるとないとにかかわらず、党大会の構成員として、大会の幹部団の承認のもとに意見をのべる機会をもっている。
 かれはまた、幹部会の独裁とか、少数個人の独裁とか、いいたてているが、かれは統制委員会議長として幹部会にも、中央委員会に出席して発言し、問題を提起する機会はいくらでもあたえられている。かれが党指導や党の路線に意見があるならば、当然自己の職責にしたがって問題を提起すべきにもかかわらず、かれ自身がいっているように、みずからそれをやらなかった。かれは「幹部会での君との討論は無益と思っている」(「離党届」)とさえ公言している。これは共産主義者として党にたいして不忠実であっただけでなく、二心的な態度で党内民主主義、党の民主集中制をみずからふみにじるものである。
 しかし、かれのこのような二心的な態度は理由のあることである。問題の本質は、かれが第七回党大会の決定とそれにもとづく中央委員会の政治路線、組織路線に反対しながら、表面は主として綱領上の意見の相違の範囲だけであるかのようによそおい、たえず二心的な行動をとってきたところにある。かれは参議院選挙直後、勝手に自分の見解を『前衛』に発表し、批判をうけて自己批判したことがあるが、第七回党大会できめた党の路線に反対しながら表面をとりつくろってきたのである。そして、第八回党大会を前にして、全党の圧倒的多数が中央委員会の草案を支持する状況のなかで、かれの二心的立場は破局に達したのである。かれは自己の見解が党にうけいれられなくなると、党と階級の利益、党の原則の立場にたってみずからを処することができず、党の上に個人をおく小ブルジョア個人主義のみにくい姿をあからさまに示したのである。自己の意見がいれられなかったからといって、かれがあのような行動にでることは、みずから党内民主主義をもじゅうりんし、党と人民をぎまんするものにほかならない。

 三

 かれは党指導部をひぼう中傷し、わが日本共産党への不信をまきちらし、「新しい基礎の上に真に戦闘的革命的な共産主義の「党を建設する」(「離党届」)と称して、かれの脱党の影響力をみて、裏切り的な私党を結成する意図をあらわしている。こうしたいい分はすべての裏切り者とまったくおなじものである。また、かれは兄弟党とわが党との関係を中傷、離間する意図を表明して、モスクワ声明にしめされた国際共産主義運動の団結をも破壊しようとしている。かれは、トロツキストや修正主義者とおなじように、党への攻撃によって党の混乱と分裂をねらっている。かれが七月八日の夕刻という時間に脱党を発表したのは偶然ではない。九日には多くの府県で大会準備の党会議がおこなわれる予定になっていた。また、アカハタのしめきり時間をすぎた時間であった。しかし、こんな見えすいた小手先細工でどうにもなるものではない。党の断固たる態度は幹部会声明として七月九日付のアカハタに掲載され、各地方党組織からの幹部会声明への支持はつぎつぎと表明され、党の団結の強固さは見事に示されている。
 「官僚的統制」とか「党の腐敗」というような、反動勢力や裏切者が使ってきた言い分を、かれの場合も多聞にもれずくりかえしている。このような口実で党を裏切り、党から逃亡していったものが、どのような運命をたどったかは、革命運動の歴史のいくたの教訓がはっきり示している。右翼社会民主主義者はさっそくかれへの声援をくりかえしているではないか。
 すくなからぬ同志諸君は、統制委員会議長という重責にあるものが、なぜこうなったかに疑問をもつだろう。第七回党大会にあたって、党中央は、党の団結の立場から、かれを統制監査委員にえらぶことに賛成したが、それは、かれが偏向や欠陥のない人間であったことを意味しない。
 六全協後かれは中央委員の重責にありながら、一九五〇年問題当時のかれの意見書を勝手に党内に配布して批判をうけたことがある。最近では、さきにのべたように参議院選挙後、中央委員会の総話もまたず、勝手に個人的評価による論文を書いて発表し批判をうけ、かれ自身も一応重大な自由主義的な誤りであることをみとめざるを得なかった。このような個人主義的自由主義的傾向はかれの過去の党活動においても根づよく、このようなことはけっして偶発的なものではなかった。にもかかわらず、第七回党大会では党の団結の立場から統制監査委員に選出され、その議長となっていた。第七回党大会に志田重男が私行上の問題で党から責任を追及され、党から逃亡し除名されたが、春日の場合は、自己の反党活動をいろいろな理屈をつけて美化し、自分を英雄にしたてあげていることがちがっているだけで本質はまったく同じである。責任ある地位にいるものが党機関に秘密にブルジョア新聞の記者を集めて声明を発表し党への攻撃を商業新聞を利用しておこなうというような事例はいままで党の歴史に例をみない裏切り行為である。

 四

 春日を中心とする党の分裂と破壊の活動は、第八回党大会前に党を混乱させることを直接ねらっている。商業新聞を動員して、自己の脱党の原因が党中央委員会幹部会の指導と措置の誤りにあるかのように党内外におもいこませ、党を分裂と混乱にみちびこうとした。
 全党が中央委員会のもとに堅く団結して、このような陰謀をうち破ることは、全党員に課せられた重大な責任である。党はいま、かたい団結のもとに、目前にせまった第八回党大会を成功させるために奮闘し、大会準備を着々とすすめている。中央委員会は、春日次郎の反党的反階級的裏切り行為にたいして近く正式に断固たる措置を決定するが、全党員がいっそう党の統一と団結をかため、このような陰謀を粉砕するために決意をあらたにしてたたかわなくてはならない。

(『アカハタ』一九六一年七月十日)