日本共産党資料館

神山茂夫、中野重治の除名にかんする決議

一九六四年九月二十五日 日本共産党第十一回中央委員会総会

 去る八月二十二日、中央委員会幹部会は、神山茂夫の重大な規律違反容疑を糾明するため、かれを査問に付し規約第五十九条二項にもとづき、同日より三ヵ月間、規約第三条の党員の権利を停止する処置を決定した。この決定は、八月二十三日からひらかれた第十回中央委員会総会で中野重治を除く出席中央委員の全員一致で確認された。また十中は中野重治の規律違反容疑問題を糾明するため、かれを査問に付し、規約第五十九条二項にもとづき、三ヵ月間、規約第三条の党員の権利を停止する処置を決定した。
 かれらの規律違反容疑の内容はつぎのようなものであり、たしかな根拠にもとづくものであった。
 神山茂夫は、党中央委員、本部勤務員でありながら、昨年五月いらい数回にわたって、党にかくれて地方に旅行し、分派的な集会をひらき、また、かれの派閥的グループに属する若干の党員と連絡しながら、反党的な分派活動をおこなってきた。かれは志賀一派とも早くから連絡をとってきた。しかもかれは、これらの事実にたいする幹部会の調査を拒否した。
 中野重治は、党中央委員でありながら、新日本文学会グループとして党の方針を貫徹するためにたたかわず、とくに今年の新日本文学会の大会では、積極的に党の方針に反対する行動をとった。中野は、十中総で、神山茂夫にたいする前記の措置が、かれを除く出席中央委員の全員一致で確認されたとき、「自らの同意しない決定にはしたがわない」「今後は党規約に拘束されず自由な行動をとる」など公然と党規律を否定し、党とたたかうことを宣言した。
 神山茂夫、中野重治は党中央の決定にしたがわず、十中総後も党機関の査問に応ずることを拒否した。それだけでなく、両名は、共謀して、九月一日、ダイヤモンドホテルにおいて記者会見をおこない、連名で「党内外のみなさんに」と題する反覚的な声明を発表し、ブルジョア報道機関を通じて公然と党を攻撃し、党を裏切った志賀義雄、鈴木市蔵、春日庄次郎、内藤知周ら一連の反党修正主義者と連携して、党破壊活動をおこなう意図をあきらかにし、その第一歩をふみだした。
 神山茂夫は、雑誌「世界」(十月号)「潮」(十月号)などに党を攻撃する文書を発表し、またラジオ記者との一問一答に応じて党を攻撃するなど公然たる党破壊活動をつづけている。また、中野重治も「日本読書新聞」(九月七日付)などに党を攻撃する談話を発表し、党破壊活動をおこなっている。
 さらに、かれらは連名で、かれらが八中総、九中総、十中総などでおこなった発言内容と称する文書や、神山が以前に提出していた中央委員会幹部会あての意見書、かれらの反党声明を批判したアカハタ九月七日付論文にたいする反論、査問のため党本部への出頭を求めた書記局の指示を拒否する「覚書」などを含む文書を大量に印刷し、党内外に発送し、党にたいするひぼう(誹謗)とかく乱に狂奔している。
 さきに、第十回中央委員会総会で確認および決定されたかれらにたいする査問と三ヵ月間の党員の権利停止は、かれらの党規律違反容疑問題を糾明するための措置であって規約上の処分ではなかった。だが、その後かれらがおこなった前記の行為は、論議の余地のない明白かつ重大な党規約のじゅうりんである。
 中央委員会の決定に反して、意識的に査問を拒否することは、規約第二条第五項「地位のいかんにかかわらず、党の規約と規律をかたくまもる」および第二条第七項「党にたいして誠実であり、事実をかくしたり、ゆがめたりしない」に違反する行為であり、神山茂夫、中野重治が共謀して分派をつくり、記者会見、その他「反党声明」をはじめとする各種の文書によって、党の決定や指導にたいするひぼうと中傷をおこなっていることは、規約前文第四項「また党規律をみだし、決定を実行せず、統一をやぶり、派閥をつくり、分派活動をおこなうことは、党を破壊する最悪の行為である。党内では、党の政治方針や組織原則をそこなうような行動はゆるされない」および第二条第一項「全力をあげて党の統一をまもり、党の団結をかためる」同条第九項「党の内部問題は、党内で解決し、党外にもちだしてはならない」および第十四条第五項「党の決定は、無条件に実行しなくてはならない。個人は組織に、少数は多数に、下級は上級に、全国の党組織は、党大会と中央委員会にしたがわなくてはならない」などわが党の民主主義的中央集権制の組織原則に関する規約の重要な条項をふみにじる行為である。これらの明白で、重大な規律違反行為は、どのような口実によっても合理化することは許されない。
 しかもかれらは、その共同声明「党内外のみなさんに」および記者団との一問一答において、今後「何ものにも妨げられず」志賀一派や春日庄次郎、内藤一派とも連携して党破壊活動をおこなうことを公然と宣言している。このことは、かれらが規約第一条に規定された共産党員の資格をみずから否定し、この立場から党規約を乱暴にふみにじり、分派をつくり、恥ずべき党破壊分子に転落したものであることを疑う余地なく証明している。かれらは、このような憎むべき党破壊の意図をいだきながら、党をあざむき、志賀一派と連絡をとり、党内で分派をつくり、内外呼応して、党を現代修正主義の道に引入れようと策動してきた。そして、かれらの分派活動による規律違反の事実が、党機関によって摘発され、正規の査問に付されるという事態にたちいたって、かれらはその正体をあきらかにし、公然たる反党活動をはじめたのである。
 かれらの意識的な党規律のじゅうりんと公然たる反党活動の事実は、かれらの規律違反容疑が確実な根拠のあるものであり、十中絵のかれらにたいする措置が適切なものであったことを、かれらみずから証明するものである。また、かれらこそ、志賀一派や内藤一派から「党内にふみとどまって、党の正しい方針を守ろうとする同志たち」と呼んで期待をかけられていた当の本人であることを暴露している。
 かれらが、このような二心者、反党分子に転落していった根底には、根深い小ブルジョア的な個人主義の思想がある。この点について、われわれは、機会あるごとにかれらを批判し、正しい党的態度にたつよう努力してきた。だが、かれらは同志的な批判をうけいれようとせず、党の上におのれをおく態度を改めなかった。そして複雑な内外情勢の発展のもとで、アメリカ帝国主義とも日本独占資本とも本質的にたたかわない現代修正主義の道に決定的に転落したものである。
 マルクス・レーニン主義の革命的原則とモスクワ宣言・声明の革命的原則を守り、これを日本に創造的に具体化し、アメリカ帝国主義と日本独占資本―二つの敵の支配に反対する日本人民の闘争を強力に発展させ、国際共産主義運動の正しい団結と前進のために奮闘するというわが党の路線、党の綱領と規約を堅持するわが党を、かれらは、分派活動によって裏切り、特定の外国の党の修正主義的路線への盲従という自主性のない現代教条主義の立場から、志賀一派や春日庄次郎、内藤一派など各種の売党的、反党的修正主義の諸集団と共同して、わが党にたいする破壊活動を公然とおしすすめ、さまざまの売党・反党分子を結集して現代修正主義の腐敗した「新しい」徒党をつくることをめざしている。
 だが、これらの売党反党分子やこれと通謀した一部の外国勢力が、どのような党破壊とかく乱の策動をおこなおうとも、わが党に打撃を加えることは不可能である。四十二年にわたる革命的伝統をもち、労働者階級と人民の闘争に依拠して、あらゆる反党集団の裏切りを粉砕して発展、強化してきたわが党は、これらひとにぎりの党破壊分子の策動を徹底的にうちくだいて、前進するであろう。
 第十一回中央委員会総会においてかれらの規律違反問題を審議する場合、党規約にもとづき、中央委員会総会で両名それぞれに弁明の機会をあたえるため、二人に出頭するよう求めたが、かれらはそれに応じなかった。第十一回中央委員会総会は、神山茂夫、中野重治の前記のような重大な党規約のじゅうりんと悪質な党破壊行為を審議し、党規約にもとづいて、つぎのように決定する。

 決定

一、神山茂夫
 党規約、前文第四項、第一条、第二条一項、五項、七項、九項および第十四条五項違反により、規約第五十九条、第六十三条にもとづいて日本共産党から除名する。
二、中野重治
 党規約、前文第四項、第一条、第二条一項、五項、七項、九項および第十四条五項違反により、規約第五十九条、第六十三条にもとづいて日本共産党から除名する。
一九六四年九月二十五日日本共産党第十一回中央委員会総会

(『アカハタ』一九六四年十月二日)