日本共産党資料館

西園寺公一の除名処分について

一九六七年二月十三日 日本共産党中央委員会書記局

 統制委員会は、一月二十七日、北京在住の西園寺公一の規律違反を審議し、党規約にもとづいて、除名処分に付することを決定した。

西園寺公一の除名処分の決定

統制委員会

 西園寺公一は、一九五七年中国からの招待で中国に渡り、中国で日本共産党に入党した。わが党は、中国において「平和活動家」として活動したいという本人の希望も考慮して、これまで西園寺がわが党の党員であることを公表しなかった。そして、西園寺が、日本共産党員としての自覚と規律のもとに、党の方針にもとづいて、日中両国人民の友好関係を発展させ、また平和運動などの分野では日本平和委員会や日本アジア・アフリカ連帯委員会などの方針にもとづいて活動をおこなうよう任務をあたえてきた。
 ところが、西園寺は、かねてから日本共産党員としての自主独立的立場をうしなった言動をおこなう傾向がつよく、党中央は再三注意をあたえてきたが、とくにかれは昨年来、特定の外国の一部勢力に盲従して、わが党およびかれがその一員である日本の民主団体、民主的運動にたいする、もっとも卑劣な分裂と破壊活動に狂奔しはじめた。
 中国で入党し、基本的な党生活を経験する機会をまったくもたなかった西園寺が日本の実情とわが党の政治路線をよく理解していないことをも考慮して、党中央はこれらの言動をやめるよう、これまでくりかえし説得をおとなってきた。だが西園寺は、いささかも反省せず、特定の外国の一部勢力にひたすら盲従して、わが党を「修「正主義」とののしり、公然と反党活動をおこなうことを宣言した。そして、かれはあたかもかれが日本の民主勢力、日本人民の北京における代表であるかのような顔をして、日本人民を欺まんし、日本向け北京放送や新華社通信などをつうじて、しばしばわが党と日本の民主的運動にたいする許すことのできないひぼう、中傷をおこない、分裂活動を組織することをよびかけている。また最近、かれは、総選挙の終盤戦において、日本向け北京放送をつうじて、「自主独立」は「反中国」の「かくれみの」であるなどといって、わが党をはじめとする日本の自覚的民主勢力の活動にたいする悪質な選挙妨害をおこなった。
 西園寺が、わが党のかれにたいする配慮にもかかわらず、それを無視し、わが党とわが国の民主運動に敵対して、公然たる破壊と分裂の活動をますます露骨化している以上、わが党が、反党、反人民の裏切り分子としてのかれの正体をあきらかにし、断固たる処分をおこなうことは、きわめて当然のことである。
 西園寺の恥ずべき転落は、かれがもともと日本の勤労人民としての生活経験をもたず、中国においても、社会主義国の政府によってあたえられている特恵的な生活環境になれて、日本の労働者階級と勤労人民の革命の事業に奉仕する共産主義者としての自己改造をまったくおこなってこなかったことに原因がある。そして、昨年来、自主、平等、相互の内部問題不干渉の原則をふみはずした大国主義的おしつけや不当な干渉によって日中友好運動や日中交流運動にさまざまな困難が生まれてきたとき、かれは自己の特恵的生活に執着し、それをつづける保障をえようとして、みずからがその一員であったはずの日本共産党と日本の民主団体を裏切り、特定の外国の一部勢力に盲従する卑劣な裏切りの道をえらんだのである。
 マルクス・レーニン主義とプロレタリア国際主義にもとづく自主独立の立場を堅持し、自主・平等、相互の内部問題不干渉の基準をまもって、わが党およびわが国の民主運動にくわえられている一部外国勢力の不当な干渉、破壊活動に反対してたたかうことは、外国に在住する日本共産党員の当然の任務である。西園寺の行動は、まっとうからこの任務を裏切ったものである。
 (イ) かれは昨年八月十二日、北京の人民大会堂において、一部外国勢力に追従、同調して、第十二回原水爆禁止世界大会でわが党幹部と日本原水協指導部が日本人民と全世界の戦友を敵に売りわたし、日本原水協の光栄ある伝統をふみにじったなどと攻撃し、日本人民にわが党およびわが国の民主勢力とたたかうよう公然と呼びかけた。
 (ロ) さらに、昨年八月、中国を訪問した日本共産党員にたいし、わが党をののしり、早く党からぬけよなどといい、党破壊活動をそそのかした。
 (ハ)昨年十月に北京を訪問した日本アジア・アフリカ連帯委員会訪中代表団にたいして、かれは党の方針に反しまた日本アジア・アフリカ連帯委員会の方針に反して、早く日本アジア・アフリカ連帯委員会を分裂させよとのべ、すでに除名された反党分子板井庄作らを激励して分裂活動を組織した。
 (二) 同じく昨年十月、広州交易会のために中国を訪問した日本の商社員にたいし、かれはわが党とわが国の民主団体にたいする根拠のないひぼうをまきちらし、わが党と日本の民主運動を攻撃した。
 (ホ) 砂間一良同志が、党中央の帰国指示をかれに伝えたが、かれはこれを拒否し、すでに党から除名された反党対外盲従分子らと共謀して反党活動をますますつよめ、また北京放送を通じてわが党とわが国の民主運動のかくらんを呼びかけた。
 (ヘ) 昨年十一月二十四日、砂間同志から査問の通知をしたが、かれはこれを拒否し、さらに十二月二十六日には、党とはもはや縁もゆかりもないとし、逆に砂間書記局員を脅迫する手紙を送りつけた。
 十一月二十八日、砂間同志が、処分にさきだち弁明の機会をあたえるから出頭するように指示したが、かれはこれをも拒否した。
 西園寺のこれらの行動は、規約前文(三)、(四)、第二条(一)、(二)、(五)、(七)、(九)、第十四条(五)に違反する重大な規律違反である。
 よって規約第五十九条、第六十条にもとづき、西園寺公一を除名処分に付する。

(「赤旗」一九六七年二月十五日)