日本共産党資料館

民主主義否定は明白

1978年1月14日 国際・外交委員会責任者代理 立木洋(談話)

 、アメリカ政府は十二日国務省声明を発表し、イタリア共産党の政権参加問題を焦点として大きな政局の転換点をむかえているイタリアについて「われわれは、最近のイタリアの事態に懸念を深めている」とのべ、「われわれは西欧諸国での共産党の政権参加に不賛成であり、共産党の影響力が減少することを望んでいる」、「アメリカ、イタリア両国は、深い民主的価値と利益を共有しているが共産党はこれを共有していないと信じる」との立場を明らかにした。この声明は単にイタリア共産党にたいする攻撃というものではなく、イタリアの世論を脅迫し直接影響力を行使しようとするものであり、イタリア外相やキリスト教民主党までも批判的態度を表明しているように、これほどあからさまな内政干渉や民主主義否定はない。
 今日、イタリアの深刻な危機から国の民主的再生をかちとるための共産党の政権参加は国民多数の声となっており、すでに昨年七月には共産党をふくむ主要六政党のあいだで政策協定がむすばれているが、キリスト教民主党単独内閣はこの政策協定の履行を怠り、また、同党の一部もふくめ主要政党の要求する共産党の入閣も拒否してみずから危機におちいっている。こうしたなかでおこなわれたアメリカ政府の声明はイタリア国民の自決権にたいする許しがたい挑戦であり干渉である。

 、アメリカ政府はみずからの主導のもとに世界支配体制を維持するために、とりわけ発達した資本主義国での救国と国政の民主的刷新をめざす各国の勤労人民と革新勢力の先頭に立つ共産党の進出を阻止するために全力をあげていることは周知の事実である。一九七六年六月イタリア総選挙で共産党が躍進した直後、フォード政権がプエルトリコ・サンファンの先進国首脳会議で、共産党が政権参加した場合イタリアへの借款を停止するという秘密の申しあわせを英、仏、西独とおこない、圧力をかけたこともそのあらわれであった。
 今回の声明は、カーター政権が、みずから公約していた「不干渉の原則」をかなぐりすて、フォード、キッシンジャーの政策をひきつづき追求することを公然と宣言したものである。このことは「自由、人権、民主主義」を口にするカーター政権の帝国主義的、反民主主義的本質を示すものである。一切の他国への内政干渉は民族自決権の否定であり、民主主義とまったく相いれないものである。

 、国の主権の確立をめざし、自由と民主主義を保障し、民主主義的な道にそって国政革新のたたかいをすすめているわが党は、この不当な干渉を黙過することはできない。わが党は干渉をきびしく批判するとともに、イタリア人民の民族自決権と民主主義的自由を擁護する闘争への固い連帯を表明するものである。

(『赤旗』一九七八年一月一五日)