日本共産党資料館

中国はベトナムにたいする侵略行動をただちに中止せよ

1979年2月18日 日本共産党中央委員会常任幹部会

 十数万にのぼる中国軍の大部隊は十六日夜半から十七日未明にかけて、一千キロ以上にわたる国境線の全域で、ベトナム領内にたいするきわめて大規模な侵入・攻撃作戦を開始した。
 ベトナム社会主義共和国政府は十七日夜、中国側がベトナムにたいしてしかけてきた侵略戦争をきびしく非難し、全世界に向けて、中国の侵略行為に抗議するよう訴えた。
 中国側はその軍事攻撃を「自衛の反撃」などと称して理由づけようとしているが、国境の全域で、砲兵部隊、戦車部隊、戦闘機部隊を大量に投入して侵入を開始した侵略者が、中国自身であることは、明々白々な事実である。このことは、わが党機関紙「赤旗」の現地特派員によっても確認されている。紛争解決のための話し合いを拒否して武力に訴える侵略の手法は、カンボジアの旧ポル・ポト政権が、中国の支援のもとにベトナムにたいしておこなった侵略攻撃の手法と、まったく軌を一にするものである。
 さらに「制裁」をうんぬんする中国側の主張についていえば、わが党がすでに鄧小平の東京での発言にたいしてきびしく指摘したように、その主張自体が、みずからを世界の審判官になぞらえる覇権主義的な発言で、アジアと世界の平和、諸民族の主権にたいする乱暴きわまる挑戦であり、武力に訴えても他民族を自国に従わせようとする侵略的な覇権主義を暴露したものである。それは、日中平和友好条約における「覇権を求めない」という誓約にもあきらかにそむくものである。
 社会主義ベトナムにたいする中国の今回の攻撃行動は、アジアと世界の平和をおびやかすものであるとともに、社会主義の大義とまったく無縁のものであり、社会主義の威信を傷つけるものである。わが党は国連憲章をふくめ国際法のすべての原則をふみにじったこの侵略行動を、世界の平和と民族自決の名において、また社会主義の事業の名において、きびしく糾弾するものである。
 わが党は、中国がそのすべての侵略行為を即時中止し、全部隊をベトナムからただちに撤収することをつよく要求する。国境紛争をふくめ両国間の問題は、武力に訴えることなく平和的な話し合いを通じて解決すべきである。
 わが党は、日本政府にたいし、この立場に立って、中国政府に侵略の中止を要求することをはじめ、必要な措置をとることをつよく求めると同時に、日本の民主勢力が、中国の侵略行動に反対し、中国側が紛争の平和的解決という当然の立場にもどるよう要求する世論を高めるため、緊急な行動を起こすことを、つよく呼びかける。
 わが党はまた、国連安全保障理事会をはじめ、世界の平和と民族自決を擁護するすべての政府、すべての勢力が、中国の侵略行動をやめさせるために、効果的な措置をとることを訴えるものである。

(「赤旗」一九七九年二月十九日))