日本共産党資料館

アフガニスタンの事態について

1980年1月10日 日本共産党中央委員会常任幹部会

 、昨年末にアフガニスタンでおこった政変およびソ連軍出動は、国際的に大きな波紋をひきおこしている。日本共産党は、アフガニスタンでの事態を事実にもとづいて正確に評価するために、その重要な問題点について、独自の調査と分析をおこなってきたが、ここに、アフガニスタン問題についてのわが党の見解と態度をあきらかにする。
 、その国が世界のいかなる地域に属しようと、その国と民族の進路は、それぞれの国の人民自身が選択し決定する問題である。世界のいかなる国も、民族の進路を自分で決定する他民族の自決の権利を侵犯することは許されないし、いかなる理由や名目によろうと、他の民族や国家にたいする主権侵害や内政干渉の行為を正当化することはできない。わが党は、諸民族のこの民族自決の権利を、諸国家、諸民族の関係を律する国際関係のもっとも根本的な原則の一つであると同時に、科学的社会主義の大義が厳粛に要求するものとして一貫して擁護してきた。

「社会制度を自由にえらぶ権利をふくめて諸民族の自決権の確立は、現代の世界史的課題の一つである。いうまでもなく、それぞれの国における階級闘争、革命運動も、各国の革命はその国の人民の事業であるという民族自決の原則を前提の一つとしてこそ成功するものであり、これによって、はじめて平和と社会進歩、諸民族の解放をめざす共同の事業における労働者階級と被圧迫民族の真の国際連帯が強化される」(第十一回党大会決議)

 この基本的見地からみて、アフガニスタンにたいするソ連軍の出動に同意することはできない。アフガニスタン人民が帝国主義勢力による侵略や干渉とたたかうことは当然であり、アフガニスタン人民のこの闘争を、正当な方法で支援することは、世界の反帝民主勢力の課題である。しかし、わが党は、事態の全体を原則的に判断する立場にたって、ソ連軍のアフガニスタン出動と介入を是認しない態度を表明するとともに、アフガニスタン領内からソ連軍が早急に撤退すべきことを、主張する。
 、ソ連政府は、今回のソ連軍出動について、それが、一九七八年十二月にアフガニスタンとソ連のあいだに結ばれた「友好・善隣・協力条約」にもとづく措置であり、アフガニスタン政権の要請をうけておこなわれたものとして、発表したが、この説明も、ソ連軍出動の正当性についてわれわれを納得させるものではない。
 日本共産党は、日本自身の進路の問題としては、いかなる外国とも軍事同盟を結ばない非同盟の立場を将来にわたって堅持する方針を明確にしている。また世界平和の保障の問題についても、この地球上からいっさいの軍事同盟、いっさいの軍事ブロックを廃止する目標を一貫してかかげてきた。もちろん、わが党は、だからといって、帝国主義の侵略的な軍事ブロックが現実に存在し、アメリカ帝国主義が「力の政策」にもとづく反動的干渉政策を公然ととっている世界の現状のもとで、あれこれの社会主義国や反帝民族解放をめざす諸国が、自国の主権と安全をまもるために、現存の条約にもとづいて他国との軍事協力をよぎなくされる場合もありうることを、否定するものではない。
 しかし重要なことは、その場合でも、内政干渉や主権侵害が容認されるものではけっしてないということである。わが党は、アフガニスタンにおける今回の事態について、ソ連軍の出動と旧政権責任者アミンの「処刑」、カルマル新政権の樹立等の時間的な関連や経過もふくめ、独自の調査をおこなったが、ソ連軍のアフガニスタン出動を、ソ連、アフガニスタン両国間の「友好・善隣・協力条約」の正当な行使とみなしうる根拠はえられなかった。
 、アフガニスタン人民の民族自決の権利は、同時に、帝国主義勢力の反動的干渉のくわだてにたいしても、擁護されなければならない。
 アフガニスタンでは、一九七八年四月のいわゆる「四月革命」いらい、封建制の一掃と民族主権の確立をめざす民族的民主的変革の課題が、政治・社会生活の中心問題として日程にのぼされてきた。「四月革命」によって成立した人民民主党政権自体も、党内部での抗争や政変など一連の曲折をへてきたが、打倒された旧支配層は、民主的変革に反対する武装反乱活動を各地で組織し、これらの地域では、政府と反政府勢力との闘争が軍事的形態をもとっておこなわれてきた。
 とくに重視すべきことは、反政府の武装反乱活動が最初から、民族的民主的変革を敵視する帝国主義勢力の外部からの干渉のくわだてと密接に結びついてきたことである。反政府ゲリラの根拠地が、アフガニスタンと国境を接し、アメリカと軍事同盟を結んでいる隣国パキスタンの領土内にもうけられており、またアメリカのカーター政権は「四月革命」の直後から、反政府反乱組織への支援などアフガニスタン問題への反動的介入にのりだしてきた。さらに、中国指導部も、アフガニスタンの反政府反乱組織を支援するなど、アメリカ帝国主義に同調する策動をおこなってきた。アメリカ帝国主義などによる反政府勢力への支援は、民族主権確立の運動がつよまっている中東地域を、帝国主義の勢力範囲としてあくまでにぎりつづけようという意図のもとに、アフガニスタン人民の民族自決の権利に正面から挑戦した行動であり、イランにたいする強圧的態度とともに、この地域における軍事的・政治的緊張の重大な根源の一つとなってきたものである。
 帝国主義の干渉勢力は、昨年末の政変とソ連軍出動を絶好の機会として、その干渉政策をいっきに正当化し、さらに、アフガニスタン人民の民族主権の擁護者であるかのような装いのもとに、反政府反乱勢力への支援などを大規模に拡大しようとのくわだてをいっそう露骨にすすめている。しかし、「世界の憲兵」として世界各地で反動と反革命の干渉をくわだて、当のアフガニスタンでも同じ役割を果たしてきたアメリカ帝国主義が、アフガニスタンの民族主権の擁護者としてふるまうわけにゆかないことは、明白である。
 わが党は、アメリカをはじめ、これまで外部から反政府反乱組織を支援してきたすべての関係諸国にたいして、これらの干渉行為からただちに手を引くべきことを、主張するものである。
 、日本外交の問題としては、もっとも重大な問題は、日本政府が、この問題でも、自主性のない対米従属の姿勢をとっていることにある。大平首相は「アフガニスタン内部の状況は明らかになっていない」(四日の記者会見で。「朝日」五日付)とのべながらも、もっぱらアメリカへの迎合の見地から「不快感」の演出につとめている。はては、「対ソ制裁」の一環としてベトナムへの経済援助の復活を中止するなど、独立した主権国家であるベトナムをソ連の〝属国〟ででもあるかのようにあつかっている。しかも、ベトナムを侵略した中国にたいしては、「制裁」どころか、おおいに経済協力を約束するなど、まったく矛盾した態度をとっている。
 わが党は、日本政府が、カーター政権の干渉政策に日本をまきこむアメリカ追随の態度をあらため、自主的立場からこの問題に対処することを、つよく要求するものである。

(「赤旗」一九八〇年一月十一日)