日本共産党資料館

韓国での軍事ファッショ政権の「血の弾圧」を糾弾する声明

1980年5月27日 日本共産党中央委員会常任幹部会

 、全斗煥がひきいる韓国軍事ファッショ政権は二十七日、野蛮な戒厳令下の弾圧と圧制に抗議し、「全斗煥退陣」「戒厳令撤廃」を叫んでたちあがった光州市民にたいし、大規模な軍隊をもって襲いかかり、残忍きわまる武力弾圧の暴挙に出た。報道管制下の現地からの報道を総合しただけでも、この「血の弾圧」により少なからぬ光州市民が虐殺されている。事態の発端は、朴正熙が倒されたあと、韓国の民主化傾向の前進を圧殺するために第二の朴として全斗煥が軍部独裁に公然とのりだして、金大中氏などの民主的人士を不当に逮捕し、いっさいの言論、表現、集会、政治的示威の自由をじゅうりんした凶暴な圧制にこそ責任がある。日本共産党は、言論の自由、デモ行進の自由など最小限の民主主義的自由をもとめる民衆に、野蛮な武力弾圧をくわえた韓国軍事ファッショ政権の蛮行を、深い憤りをこめてきびしく糾弾するものである。

 、今回の光州市における軍事政権の蛮行は、多数の政治家やいわゆる反体制運動家〟の逮捕とともに、軍事独裁者朴正熙なきあとの韓国軍事ファッショ政権が、アジアでの反共軍事拠点確保というアメリカ帝国主義の戦略のため、南朝鮮人民を犠牲にして、朴政権に劣らぬ「軍事監「獄」的支配をおこなっていることの一つのあらわれにほかならない。カーター政権は、光州市民の総決起にさいして米空母を朝鮮半島近海に急派し、武力弾圧のため韓国戒厳軍が移動することをも認めるなど、日ごろの「人権」外交についての発言とはまったく裏腹に、民主主義と自由への圧制にすすんで手をかした。これは、軍事ファッショ政権の「血の弾圧」が進行するなかでも同政権を支持しつづけた大平自民党内閣とともに、南朝鮮人民にたいする新植民地主義的抑圧者がだれであるかをはっきりと物語っている。

 、韓国における戒厳体制、軍事ファッショ支配の恐るべき実態を、わが国で再現させるようなことがあっては絶対にならない。しかしながら、一昨年来、日米共同作戦態勢の本格化とともにわが国の政府、防衛庁が、一部野党の激励をも受けて推進しつつある「有事立法」策定、戒厳令策定のたくらみは、今日の韓国|における血なまぐさい光景を、日本2に現出させる現実の危険をはらんでいる。
 わが党は、民主主義と自由、基本的人権の擁護をめざすわが国のすべての人びとが、南朝鮮人民に襲いかかっている野蛮なファッショ政権の虐殺に断固として抗議にたちあがることをよびかける。同時に、日本の軍事ファッショ体制化につながる「有事立法」をすすめる自民党やその手先の右寄り野党の反動的、ファッショ的策謀に断固として反対してたたかうことを、つよくよびかけるものである。

(「赤旗」五月二十八日)