日本共産党資料館

是認できないポーランドの事態

1981年12月14日 西沢富夫国際委員会責任者談話

 、十三日午前、ヤルゼルスキ首相によってポーランドに戒厳令が布告され、「救国軍事評議会」が全権を掌握した。「救国軍事評議会」は同日発表した布告で、その行動が国家に脅威をあたえるすべての労働組合、組織の活動の停止、休校、党と軍の機関紙をのぞくすべての新聞の発行禁止など一連の規制措置を発表し、多数の労働組合幹部などを逮捕した。解放後三十七年をへた社会主義ポーランドで社会主義の名でこのようなことがおこなわれたことは、まことに言語道断な事態であり、苦痛と驚きを禁じえない。

 、今日の事態をひきおこした根源的要因として、まず第一に指摘しなければならないのは、この国の歴代の政治権力者たちの官僚主義、腐敗、自主性の欠如の結果である。その結果、経済的な困難、労働者の政治的経済的不満の深刻化がひきおこされたのである。
 第二に、昨年夏の歴史的な意義をもつ発足にもかかわらず自主労組「連帯」内部の過激分子や国内の反社会主義分子の策動と結びついて、社会主義にふさわしい民主的な仕方で現在の混乱した状態を解決していく道に重大な障害がつくりだされ、今日の事態をひきおこす誘因になっていたことも見ておかなければならない。
 第三にあげなければならないのは、ソ連その他の干渉主義的態度である。その中には、軍事干渉をほのめかした威嚇だけでなく、政治的な干渉行為からジャーナリズムをつうしての干渉主義的発言までがふくまれている。現在のヤルゼルスキを中心とする党と国家の指導部が成立してのちも、ポーランドの党と政府にたいし、ソ連などから強硬措置をとるようますます強く圧力が加えられていた。

 、成功裏に社会主義社会を建設するためには、科学的社会主義の見地にしっかりと立脚しつつ、外部からのいっさいの形態の干渉を排し、自国の条件に適合する社会主義の道を自主的かつ民主的に切りひらく以外にないことを、わが党はあらためて強調する。

(「赤旗」一九八一年十二月十五日)