ラングーンの爆殺事件についても、わが党はビルマ政府が彼らの調査にもとづく結論をだして、朝鮮民主主義人民共和国と断交したとき、ただちに、こういう個人テロや暗殺は社会主義、共産主義の運動とは無縁のことであって、ましてや外国にテロを輸出するなどは、いかなる勢力、いかなる国がやったとしても、許されない行為だとする見解をあきらかにしました。
この点は歴史的にもきわめて明瞭であります。
ロシア革命のなかでも、レーニンは、ロシアの党の創立の時期から、社会革命党というナロードニキのあとをついだ政党と大きな論争をしましたが、そのさい、論争の最大の焦点の一つになったのが、テロリズムの問題でした。社会革命党はツァーリの専制政治を倒す手段として、暗殺やテロをしきりにもてはやした。それにたいしてレーニンは、くりかえし批判しました。こういう問題をあつかった論文のなかで、彼は、ツァーリを百回暗殺することよりも、数万のはたらく人たちが、集会をもって政治の真実の姿について討論することの方が、社会をかえる大きな力になる、そういうテロ愛好者や爆弾主義者ほど、革命運動にとって有害なものはない、と強調しています。
そして、ロシアの党の事実上の創立大会となった第二回党大会(一九〇三年)は、この問題で「大会は政治闘争の方法としてのテロル、すなわち個人的な政治的暗殺の方式を断固として否定する」という決議を採択しましたが、これも、レーニンが執筆したものです。
このように、テロや暗殺を否定する科学的社会主義の原則的態度は一貫したものであります。
日本の問題でも、右翼のテロやニ「左翼」の暴力も絶対に容認せず、これに反対したのはいったい、だれだったか、また、中国がニセ「左翼」を扇動して武闘をけしかけたときに、これを内政干渉として抗議した政党はだれだったか、これらをふりかえるなら、日本共産党こそが、こうしたテロや暴力の一貫した反対者であったことは、明瞭であります。
一、ビルマ政府は十一月四日、先のラングーンでの爆破事件を朝鮮民主主義人民共和国の将校によるものとして、同国との断交を発表した。同時に五日、朝鮮民主主義人民共和国外務省は、これをねつ造されたデッチあげと反論し、ビルマ政府の措置を非難している。
一、事件の真相なるものについては、われわれは独自の調査でうんぬんするわけにはいかないが、どの国によるものであれ、この種のテロ行為には絶対に反対である。
一、どの国における変革も人民の意思と大衆的な運動によって進めるということが、われわれの原則的立場であって、国内の変革でのテロはもとより、外国へのテロリズムの輸出をも拒否する。
ラングーン爆弾テロ事件の犯行についての朝鮮民主主義人民共和国のカン・ミンチョル大尉の供述にかんするラングーンからの報道が伝えられた。この供述が事実であるとするならば、わが党は、この供述で明らかにされたテロ暗殺行為をあらためてきびしく糾弾するものである。
第三国に人を送りこみテロ暗殺をやらせることは、人道上も国際法上も許されない蛮行である。ましてや社会主義国がこのようなテロ行為を組織するなどはまったく言語道断であり、科学的社会主義、共産主義の立場からも絶対に容認しえないものである。