日本共産党資料館

「朝鮮時報」の日本共産党非難に反論する

1983年12月8日 「赤旗」論文

 在日本朝鮮人総連合会傘下の日本語新聞「朝鮮時報」十一月二十八日付は、「謀略に同調する行為」と題する、金圭昇署名の一文を掲載し、ラングーン事件に関連して日本の「某政党」をつぎのように非難した。

「マスコミの一方的報道を真実とするかのような前提に立ち、この事件に共和国が関係しているかのようにきめつけ、非難する談話などが某政党の機関紙にもつぎつぎと発表されている。
 これは真実を追究する態度でなく、マスコミに追随する態度であり、反動派の謀略に同調するものであって、きわめて遺憾といわざるをえない」

 ラングーンの爆弾テロ事件にかんして、今日までに堂々と公式見解を発表している政党は、日本では日本共産党だけである。したがって「朝鮮時報」のこの非難は、あきらかに日本共産党にむけられたものである。わが党はこのような非難を断固として拒否する。

  ラングーン事件での見解表明は党の責務

 十月九日、ビルマ・ラングーンの国立共同墓地で爆弾が爆発し、韓国の閣僚をふくむ多数の死傷者を出し、全世界に衝撃を与えた。ビルマ政府は十一月四日、これを朝鮮民主主義人民共和国の工作員の犯行と断定し、同国との外交関係を断絶した。ビルマ当局の発表によれば、十一月二十二日からラングーンで、捕らえられた二人の犯人=朝鮮民主主義人民共和国軍人ジン・モ少佐、カン・ミン・チョル大尉の裁判が始まり、まもなく判決が下ると伝えられている。
 この事件をきっかけにして、わが国では、個人テロや暗殺があたかも社会主義、共産主義の必然的産物であるかのようにする反共宣伝が猛烈におこなわれている。総選挙でのわが党の前進を妨害しようとする反共・反動勢力にとって、この事件は最大の宣伝の材料になっているのである。このような状況下で、わが党が事件にかんし必要な見解を発表することは、きわめて当然のことであるばかりか、国民にたいする義務でさえある。
 たとえばわが党は、十一月十七日第六回中央委員会総会での不破幹部会委員長の報告のなかでつぎのようにのべた。

 「わが党はビルマ政府が彼らの調査にもとづく結論をだして、朝鮮民主主義人民共和国と断交したとき、ただちに、こういう個人テロや暗殺は社会主義、共産主義の運動とは無縁のことであって、ましてや外国にテロを輸出するなどは、いかなる勢力、いかなる国がやったとしても、許されない行為だとする見解をあきらかにしました」
 「テロや暗殺を否定する科学的社会主義の原則的見地は一貫したものであります」

 わが党はまた、ラングーンでの裁判に関連して捕らえられた犯人の供述が大きく報道された段階では、立木国際部長の談話を発表して、不破委員長が強調したのと同様の原則的見地をかさねて表明した。
 このように、わが党が必要な時期に必要な見解を公表することは、まったくわが党の責任と権限に属することである。

  日本共産党は事態の全体を検討している

 「朝鮮時報」もまた、みずからの立場をあきらかにするため、この事件にかんし、文字通り毎号にわたってその主張を表明している。今回の金圭昇論評もその一環である。それらの主張は要するに、金論評の言葉を借りるなら、事件は「政治謀略」、「反動派の謀略」であり、ビルマ政府のとった措置は「根拠のない資料にもとづい」た、「一方的な措置」であり、事件への朝鮮民主主義人民共和国の関与うんぬんは「デマ情報」、「一方的報道」である、等々というものである。
 これらは、まさに一つの主観的な主張というべきものであって、日本国民および世界各国民の多くを納得させる具体的諸事実によって裏づけられたものではまったくないと、われわれは判断している。金論評の日本共産党にたいする非難は、結局のところ、日本共産党がこれらの一方的な主張に同調していないということにつきており、それが「謀略に同調する行為」だという単純きわまるものである。
 日本共産党は、科学的社会主義の党として、また自主独立の党として、ラングーン事件にかんしても、もちろん、ビルマ側の発表やマスコミの報道だけでなく、朝鮮民主主義人民共和国当局の公式見解その他にも十分な注意を払って事件を検討し、そのうえで党の見解を節度をもって公表してきた。
 朝鮮民主主義人民共和国の公式通信である朝鮮中央通信は十月十日付の第一報で「全斗煥が……ビルマのラングーンで強力な爆弾の洗礼を受けた」と報道し、この事件を非難しはしなかった。「朝鮮時報」(十月十三日付)もこの報道を「ビルマで爆発事件全斗煥一派に爆弾の洗「礼」の見出しで、一面左肩四段で掲載した。同国の報道機関や「朝鮮時報」などが、さきに引用したような主張をくりかえすようになったのはその後のことである。
 日本共産党は、こうした経過等も注意深く見ており、「マスコミの一方的報道」しかみていないかのようにいう金論評の非難は、まったくのいいがかりでしかない。

  みずからを絶対化する不そんな態度

 金論評は、ラングーンでの裁判の経過にかんして、「いわゆる『証言』は矛盾と不合理性にみちていて、まさに噴飯もの」となんらの具体的論証もなしに頭から否定している。しかし、伝えられるところのカン大尉の自白調書の内容は、その具体性、重要性からいって、たんに「噴飯もの」ですませるような性質のものではない。
 自白調書についての報道によれば、この爆破事件は、朝鮮民主主義人民共和国の開城地区特殊工作部隊のタイ・チャン・ス司令官の命令のもとに実行されたもので、全斗煥・大統領一行をラングーンで暗殺するため、ジン少佐以下三人の実行班が組織され、この三人はビルマ到着後、在ビルマ朝鮮民主主義人民共和国大使館のチョン・チャン・フィ参事官宅にかくまわれて、爆弾の設置と爆破を実行したとされている。これが事実とすれば、事件はたんに一部のハネあがり分子の犯罪といったものでさえなく、まさに社会主義国家の公権力の指揮と関与のもとでなされたということになる。ビルマ政府は、これを事実と認めたからこそ、外交関係断絶という、もっともきびしい措置をとったのである。
 朝鮮民主主義人民共和国の司令官や参事官の氏名まで具体的にあげた、この自白調書の重大な内容が報道されてから、すでに十日以上が経過しているが、同国の公式機関は今日にいたるまで、この内容についてなんら具体的な反論や論評をおこなっていない。名ざしされた人物の存否という初歩的な事実についてさえ、言及されていない。日本共産党は、この「自白」をたんに「噴飯もの」と決めつけて片づけようとするような粗雑な主張に、断じて同調するものではない。
 日本共産党が、「朝鮮時報」その他の主張に無条件で「同調」したり、「追随」したりしないことをもって、「謀略に同調」だの、「マスコミに追随」だのときめつけて非難する金論評の立場は、「真実を追究する態度」などとはまったく無縁であるばかりでなく、自己の一方的主張絶対化してわが党におしつけようとする覇権主義のごう慢不そんな態度である。
 日本共産党は、このような攻撃を断固として拒否し、科学的社会主義料本来の立場にたって、テロや暗殺などは社会主義、共産主義とは無縁のものであることを重ねて強調するものである。