この討論欄は、第22回党大会に向けた、決議案、規約改定案、をはじめとする文書類、各種会議や機関紙での大会向け討論、および、前大会から今大会までの党活動など、大会にかかわる問題全般を論じるコーナーです。党員限定とさせていただきます。
規約改定案を見てびっくりしました。全部は読んでませんが、今気がついたところだけ急いで投稿します。
現行規約では、党員の義務と権利は別々に書かれていますが、今回の改定案では、両方いっしょくたに書かれ、しかも、現行規約の義務項目にはない次のような一文がこっそり入っています。
「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」
これはつまり、インターネットを含め、個々の党員が中央の意見と異なる意見を書き込んだりすることもご法度だという意味だと思います。インターネットでの、とりわけこの『さざ波通信』での党員の意見表明を苦々しく思っていた中央は、規約の中にそれを規制する項目がないのに気づいて(この点は私が99年6月24日の投稿で詳しく解説しました。私の投稿はどうやら彼らにとってどこをどう改正すべきなのかの指針になってしまったようです)、今回の規約改正において、そうした禁止規定を議論の余地のない形で入れたのでしょう。
もしかしたら、今回の規約大幅改正の真の目玉はここにあったのかもしれない。この部分だけを改悪すれば、あまりにも意図が露骨になる。しかし、全面改訂として、こっそりこの条項を党員の義務の中に入れれば目立たなくなります。改良主義に転落しながら、スターリン主義だけは以前にも増して強化するわが党指導部。腐敗はここまで進んだということでしょう。
ちなみに、現行規約でも「党機関」についての項目に以下のような文言があります。
「全党の行動を統一するには、国際的・全国的性質の問題について、中央機関の意見に反して、下級組織とその構成員は、勝手にその意見を発表したり、決議してはならない」(21条)。
しかしこれはあくまでも、「行動の統一」のためのものであり、「国際的・全国的性質の問題」に限定されており、さらには、「下級機関とその構成員」の資格において意見を発表するのを禁止したものでした。ですから、99年6月24日の投稿で私が書いたように、個々の党員が、こうした場所で自分の意見を発表するのを禁止するものではありませんでした。しかるに、今回の改悪では、個々の党員の義務の項目に書き込まれ、しかも、限定抜きのすべての意見表明の禁止をうたうものになっています。
では、現行の条項はなくなったのかというと、さにあらず。なんと、新規約案でも、第17条に現在のものとほぼ同じ文章が載っています。
「全党の行動の統一をはかるために、国際的・全国的な性質の問題については、個々の党組織と党員は、党の全国方針に反する意見を、勝手に発表することをしない」
ほぼ同じですが少し違います。現行規約では「下級組織とその構成員」となっているのが、規約改訂案ではもっと広い概念として「個々の党組織と党員は」になっています。「下級組織とその構成員」ならば、その「構成員」の資格による意見発表だけを禁止できますが、インターネットでの意見表明は、「何々支部所属の誰それ」という形で意見発表するわけではありませんから、この規約条項では禁止できませんでした。しかし、今回の改定案によって、インターネットであれ何であれ、とにかく、どんな形の意見発表もすべてまるごと禁止しようという意図が見えます。
しかしこの改悪によって、同じような項目が二つあるという不思議な構成になっています。簡略化といいながら、意見発表の禁止だけは、ご丁寧にも、2箇所にわたって念入りに書かれているのです。このことはまさに、個々の党員の意見発表を全面禁止することこそが今回の規約大幅改定の真の目玉、ないし、その一つであったことを疑問の余地なく示しているのではないでしょうか!
しかも、この問題に関する改悪はこれにとどまりません。さらに同じような改悪があるのです。現行規約の第21条には次のような文言があります。
「党の政策・方針について、下級組織は、党の組織内で討論をおこない、その上級機関に自分の意見を提出することができる」。
この条項が『さざ波通信』をはじめインターネットでの意見表明に当てはまらないことについて、私は、99年6月24日の投稿で次のように書きました。
これも実は『さざ波通信』にはあてはまりません。なぜなら、『さざ波通信』は党の下級組織ではないからです。たとえば支部や地区としての正式の方針論議が、何らかの大衆団体の中で行なわれたなら、この条項に引っ掛かりますが、『さざ波通信』はそもそも党の支部組織でもなければ地区組織でもないので、この条項の対象にはなりません。
おそらくこの投稿を読んだ党指導部は、今回の改定案の第15条において、次のように改悪しています。
「党員と党組織は、党の政策・方針について党内で討論し、意見を指導機関に反映する」
つまり主体を「下級組織」から、最も広い概念である「党員と党組織」にこっそり変えたのです。これによって、党員であるかぎり、「党内で討論」しなければならない、という解釈が可能になりました。インターネットはもちろん、個人的な会話さえ討論めいたことは禁止されることになります。今回の改定は、歴史上最も党員の自由を縛る最悪のものになっています。
さらにさらに、この意見発表に関して、もう一つ改悪がなされています。現行規約では、党員の権利の第一として次のようにうたわれていました。
「党の会議や機関紙誌で、党の政策・方針にかんする理論上・実践上の問題について、討論することができる。ただし、公開の討論は中央委員会の承認のもとにおこなう」
これとほぼ同じ文章は、新規約案の第5条第4項にあるのですが、微妙に文章が変わっています。
「党の会議で、党の政策、方針について討論し、提案することができる」
ごらんのように、「機関紙誌」という言葉が抜け落ちています。つまりもはや、機関紙誌での討論は党員の権利ではないということです。党員は、中央のお許しによって機関紙での討論もできるかもしれませんが、それはあくまでも、中央の「慈悲」であって、党員の権利ではないということです。ですから、「公開の討論は中央委員会の承認のもとにおこなう」という文言も消えたのです。「権利」ではないのだから、保障する必要もないというわけです。われわれの党の機関紙であるにもかかわらず、その機関紙で討論する権利さえない! これが、「わかりやすくした」という規約改定案の中身です。
今回の、決議案と規約改定を、あたかも共産党の民主化に向けた一歩であるかのように論じている右派の方々は、この事実をどう受け止めるのでしょうか? 従来の悪い条項(分派禁止など)はそのまま残しつつ、以前の規約ですら規制できなかったインターネットでの討論や個人的な会話での討論さえ全面禁止する規約改訂。これが、共産党の民主化ですか? これは、どんなひどいスターリン主義の時代にもなかった、史上最悪の改悪であり、史上最悪の統制強化です。
不破指導部は、一方では党員の、憲法で認められた権利さえ規約で禁止し、他方で、支配階級に媚を売って、自衛隊の事実上の容認に走っているのです。これが、現行指導部の正体であり、ブルジョア・マスコミや右派党員(元党員)の連中が大歓迎している「改革」の中身なのです。