この討論欄は、第22回党大会に向けた、決議案、規約改定案、をはじめとする文書類、各種会議や機関紙での大会向け討論、および、前大会から今大会までの党活動など、大会にかかわる問題全般を論じるコーナーです。党員限定とさせていただきます。
10月15日づけの投稿でJ.D.さんが報告された、「全国青年支部・学生支部学習交流会」で自衛隊問題について決議案に反対意見を提出したのは私です。これまで「さざなみ通信」は興味をもってROMしてきましたが、本サイトに投稿するという行為が、規約上、また実践的にいかなる意味を持つかという点について判断が難しかったので投稿は控えてきました。が、今回私のことが言及されていましたので、自分の立場を明らかにするために投稿に踏み切りました。
自衛隊問題についての現時点での私の見解については、これまで「さざ波通信」や「JCP-Watch!」で決議案に反対している方々のものと概ね同じようなものですので、ここでは述べる必要もないかと思います。
そもそも私がこの会議で発言したのは、提起されている決議案の当該箇所について私が疑問を持っており、かつ全国的な会議という格好の場で発言する機会を得られたから、という単純な理由によるものです。しかし、実際には疑問を持っている少なくない党員の見解というものは、問題として全党的に真剣に討議されることはまれです。これまでの党の歴史では、第七回大会から第八回大会までの期間の『団結と前進』や各大会ごとの評論特集版などの例外はありますが、真の意味で党内で闊達な討論がなされることは減っている傾向にあるといって大過ないでしょう。
各種会議では「討論」の時間が設けられていますが、その内実は、多くが「活動報告」にとどまっているというのが現状だと思います。もっとも、私は活動報告に意義がないとは思いません。私自身この会議でも、入党間もない支部長が各地で困難のなかで奮闘している経験を聞くことができて本当によかったと思っています。したがってJ.D.さんの「全体的にはオメデタイ頭脳の持ち主が多かったように思います」という感想には与することができません。ただ、ここでJ.D.さんが本当に言いたいことは理解できるように思います。すなわち、党の基本的な政策についていささかも批判的な観点から検討していない党員が少なくないのではないか、ということです。
私は今回の決議案の自衛隊問題についての新見解には、現時点では反対です。したがってその立場から党内の会議で疑問を提出することは、党員としての権利であるばかりか義務であるとも思っています。しかし自分の見解が正しいという保障は、もちろん一切ありません。討議のなかで自分の見解が誤っているということが明らかになれば、直ちに自説を撤回し、発展された方針の立場の正当性を訴えたいと思います。その場合でも弁証法の見地からするならば、私が疑問を提出したということ自体は、私にとっても党にとっても有意義なことであると言うべきです。否定の媒介を経ない単なる措定的な立論というものは実に脆いものだからです。また反対意見の持つ積極的意義を説くJ・S・ミルの観点からもこのこと重要です。つまり、党が自らの見解の強固さを保障するためには、テーゼとアンチ・テーゼの真剣な対決、端的に言って討論が不可欠です。
私が先日の会議で発言したのはそうしたことを念頭に置いてのことでした。会議が大きくなればなるほど討論が事実上活動報告に還元されてしまいがちな現状は改善を要する問題でしょう。それには分散討論をしたり、テーマ別の討論時間を設けるなどすれば一定の改善になるのではないかと思います。また今回の自衛隊問題のように強固な反対意見がある問題については、党の団結を守るためにそれこそ全党の知恵と叡智を結集することに力を尽くすことが必要です。党内シンポジウムを開催するとか、『赤旗』紙上で反対意見も含めて議論させるといったことを行なえば、認識の発展だけでなく党の活性化にもつながるでしょう。
正直言って、自分や自分の支部のことを棚に上げて偉そうにものを言っていることにたいへん気が引けています。党は討論クラブではない訳ですから、ただ叫んでばかりいるのでは党員失格でしょう。しかし全党的な課題はすべて中央の仕事で末端はただ実践あるのみ、というのでは民主集中制ではなく、単なる官僚的中央集権制です。すべての党員は発言する権利があるし、義務があると思います。そうしたことを保障しないならば党は必ず窒息します。
私は「さざ波通信」を読むことによって多くのことを学ばされます。が、同時に本当に建設的に党の発展を願っているのか疑問に思うような見解を目にすることもままあります。自分としては、あくまで謙虚な姿勢を失わないように自制しつつ、厳しい党内闘争も恐れずに議論を進めていきたいと思っています。