この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
中国やベトナムが「市場経済を通じて社会主義」を目指しているという恐るべき現状認識はどこからくるのか、まえまえから疑問であった。今回の改定案を読みある種の疑問が払拭された、ような気がした。
「市場経済を通じて社会主義に進むことは、日本の条件にかなった社会主義の法則的な発展方向である」
日本も同じ仲間だといいたかったのだろう。「市場経済→社会主義」か「市場経済→民主主義革命→社会主義」という違いがあるものの、「社会主義の法則的な発展方向」であることには変わりはない。前者は上からの革命であり、後者は下からの革命である。前者は「遅れた社会状態から出発」という点でレーニンと同じ課題を抱えている。後者は世界史的にみても前例のない試みである。こういう解釈もありうるだろう。
だが別の解釈もある。中国やベトナムは「社会主義」というイデオロギーのもとで市場経済の矛盾をオブラートしているだけだ、と。日本共産党は、当面の課題ではないとして社会主義革命そのものの課題を放棄しているのだ、と。
社会主義そのものが、(共産党の)体制擁護の論理に利用されているのではないかという疑問は晴れていない。