この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
社会主義と共産主義は同じ意味であるということになった。マルクスやエンゲルスは二つの用語を使用したけれども、概念的に使い分けていたわけではなかった。しかも、分配論の観点から二段階に分けることは「青写真」を描くことにも繋がる。やはり生産体制の変革を中心に据えることが重要である、と不破氏は述べた。
いくつかの論点がある。
①本当にマルクス・エンゲルスはケースバイケースで使い分けただけであって、内容の区別をしていなかったか。
もし、そうであればこんな簡単なことに不破氏はなぜ今まで気づかなかったのか。
②青写真を描かないという論理を徹底追求すれば、二段階論そのものにも意味がなくなるというのが本音ではない のか。マルクスが言ったか言わなかったか、という解釈は”情勢”によっていくらでも変わり得るというこではないのか。
③”情勢”とは、ソ連崩壊以降、「市場経済は半永久的に継続する」という認識に至ったことに加え、中国・ベトナム ・キューバが「市場経済を通じて社会主義を目指している」事態が生じたということであろう。「社会主義を目指 す」というのがミソである。もし二段階論を適用すれば、すでに中国は「資本主義から離脱し」、いろいろ問題はあ っても、初期の社会主義に到達している、ということになる。そこで、「目指している」けれども、社会主義ではない ということを論理的に説明しようとすれば、二段階論を放棄せざるをえない、これが本音ではないか。
いつもと同じパターンではあるが、マルクスが言ったか言っていないか、本当はどうでもよいことであることは不破氏が一番よくわかっているはずである。