この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
6月30日付しんぶん「赤旗」に掲載された、「質問に答える(7中総 不破議長の発言)のなかで、「国会での『賀詞決議』をめぐる経過と問題点」との見出しで、次のような発言が掲載されました。
「《前略》私たちは、その点で、国権の最高機関である国会が、皇室との関係で、特にへりくだったり、いたずらに相手がたをあがめ奉ったりする態度(用語を含めて)はとるべきではない、ということを、その都度、国会のしかるべき場所で主張してきました。例の賀詞問題では、経過的に見て、一つの問題が起きたのです。最初に参議院の案が提示され、その案を元に検討し、党は賛成の態度を決めました。ところが、衆議院では、党の代表は、基本的な態度は述べたのですが、文案そのものの吟味はおこなわず、結果的には言いっぱなしということになりました。当事者は、内容は参院の賀詞とほぼ同じと思っていてのことでしたが、衆院の賀詞には、参院のものにはなかった文言、『皇室の繁栄』を望むという趣旨の文言が入っていたのです。これは日本の将来にも関わる問題で、天皇制に対する党の考え方からいって、賛成しえない問題でした。こういう経過から、衆議院では、党の立場にふさわしい原則的な態度がとれなかった、という結果になりました。《中略》 今回、天皇制の現在と将来に対する党の基本的な態度を、綱領であらためて明確化するということもあり、ことの性質におうじた正確な対処をするように、努力したいと考えています。」
要するに、ここで不破議長は何を一番言いたかったのでしょうか。参議院で賛成の態度をとったのは「党の立場にふさわしい原則的な態度であった」のだが、衆議院での『賀詞』決議に賛成したのは、ちょっとした『党の代表』『当事者』(名前も人数も明らかでない)のミスであった。手違いであった。それも『皇室の繁栄』を望むという文言だけがNGだったのである。将来こういう問題が再び起こったときに、もっとうまく言い訳できるように「ことの性質に応じた正確な対処」をできるように、綱領を改定するのだ、と。率直に言うとこのような本音が見えてこないだろうか。皇室の一人の子供の誕生を「国民ひとしくよろこびにたえない」だの「国民を代表して慶賀の誠を表し」だのふざけた決議に賛成するという、恥ずべき行為に対するこの、『軽い』言い訳は何だろう。一昨年12月、一党員として、胸が痛くなるほど怒り、恥じ、悲しんだ人たちがいたことなど、この人は想像すらしていないのだろう。
この一例を見ても、不破議長の感覚、党中央の感覚がかなりずれてきていることがわかる。問題なのはその感覚をおかしいと気づかない党員が多数いることである。かつて、『○○中総』討議と称して単なる読み合わせ、あるいは上級役員の一方的な説明を聞くだけの「討論会」に何度も出くわしたことがあるが、それは「討議」「討論」とは全く無縁のものであった。本気で『全党討論』をするつもりがあるのなら党中央は、赤旗にどんどん、反対意見、修正意見も含めて掲載していくべきである。それに対して、侃々諤々と議論をおこして掘り下げ、吟味していくことで、一般党員の関心も、自覚も深まり、主体的な力も付いていくのではないだろうか。
※ また、今回『賀詞決議』に当たって、このような問題(衆議院での手違いのこと)があったことを私は初めて知らされたが、党中央は、これ以前にこのことを公にしていたのだろうか。さざ波通信編集部の方、またはこのHPをごらんの方で、ご存じの方はご教示ください。