この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
川上氏は現行綱領、綱領改定案を検討し、「いずれも、天皇制に対する批判的な視点を堅持し」「綱領改定案においても現行綱領においても、その天皇条項が肯定しがたいものであるとする日本共産党の立場を読みとることができます 」「いずれも『天皇制の廃止を展望したもの』といってよいでしょう 」と正しく分析する。
しかし、その結果、川上氏は「現行綱領(「綱領改定案」の間違い?)が『天皇制を容認したもの』と判断することはたいへん困難」だと感じる。しかし、川上氏はこれではどうしても納得できない、割り切れない。
そして、共産党が「天皇制を容認」したのだという自己の見解を何としても証明するため、現行綱領と綱領改定案が「憲法についてどのように述べているかを見てみる」。そして、ついに発見する。「両者を比較して際だっているのは綱領改定案の『現行憲法の前文をふくむ全条項をまも(る)』という部分 」を。そして、川上氏は勝ち誇って「『全条項をまもる』ということですから、日本共産党が『憲法第一章『天皇条項』をもまもる』という方針であることに疑問の余地はありません」「 日本共産党は『現行憲法の全条項をまもる』立場において『天皇制を容認』することになる 」と断定し、安心する。
ここでは、川上氏は自分自身が綱領改定案から「天皇条項が肯定しがたいものであるとする日本共産党の立場を読みとることができます」と言ったことは、忘却している。
川上氏は綱領改定案が「『天皇制の廃止を展望したもの』といってよいでしょう」と自分自身が言ったことを忘れて、綱領改定案が「君主制の廃止」を掲げないことが、どうしても気に入らない。不破氏が「天皇(制)は立憲君主制でもない」と言ったことも気に入らない。
川上氏は日本をどんなことがあっても「君主制」の国にしたい。そこで、川上氏はイギリスの「立憲君主制」は「国王の統治権は形式的なもの」だから日本の象徴天皇制 も同じ「立憲君主制」だと主張する。
ここには、イギリスが明らかに「立憲君主制」とされる、ジョン王以来、名誉革命、ハノーヴァー朝のジョージ1世に至る王権制限の歴史理解もなく、そもそも制限すべき統治権をいっさい持たない日本の象徴天皇制も一緒くたにして、日本も立憲君主制だと主張する川上氏の独りよがりさを感じます。
「定義に基づいて実態が存在するわけではありません」と君主制の定義を無視してあくまでも日本は「君主制」だと主張する川上氏とこれ以上論議をしてもかみ合うことはないでしょう。川上氏が日本は「君主制」だと考えるならばそれはそれでよいでしょう。
ただ、一つ川上氏に聞きたいことは、何故、川上氏はそれほどまで日本を「君主制」にしたいのですか。川上氏は綱領改定案が「君主制の廃止」を降ろしたことにたいして「『合法主義的に改革を進めていきたい』という不破氏の願望のなせるワザでしょう」と述べていますが、日本の象徴天皇制を「非合法」なやり方で変えてゆこうと考えているのですか。どのように天皇制を廃止しようと考えているのですか、教えてください。