この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
生産手段の社会化と計画経済の関係について。
現在の日本の企業を見れも分かるように、資本主義経済でも、確かに個々の企業はコンピューターを駆使して生産活動を非常に高いレベルで計画的にすすめます。しかし社会全体としては、それぞれの企業が相互にはげしく競争し、限られた市場の争奪戦を展開する、まったくの無政府的になされます。資本主義経済では個々の企業は社会全体で何がどれだけ必要かということは前もっては分からず、需要と供給により結果として調節されます。基本的には過剰生産や生産縮小というムダや損失が付きまといます。それは倒産、失業などの社会問題を引き起こします。生産手段が個々の企業に所有されている資本主義のもとでは、どんな改革によっても、生産活動からこの無政府性を取り除くことはできません。
生産手段の社会化によってこそ社会的な規模での計画経済が可能となります。
エンゲルスは次のように言います。
「いったんその本性を把握すれば、協同社会に結合した生産者たちの手で、これらの生産力を悪魔的な支配者から従順な召使いに変えることができる。・・・このように、今日の生産力をそれのついに認識された本性におうじて取り扱うようになれば、社会的な生産の無政府状態に代わって、全社会および各個人の必要におうじての、生産の計画的な社会的規制が現れてくる。」(「反デューリング論」)
こうして、 資本主義的生産の盲目的な無政府性は克服されるのです。
社会主義・共産主義の経済法則とは「社会的生産過程の意識的社会的な統制や規制」「社会的理性に基づく生産の管理と規制」と言えるでしょう。
綱領案は計画経済について、次のように書いています。
「生産手段の社会化は、生産と経済の推進力を資本の利潤追求から社会および社会の成員の物質的精神的な生活の発展に移し、経済の計画的な運営によって、くりかえしの不況を取り除き、環境破壊や社会的格差の拡大などへの有効な規制を可能にする」