この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
「賃金」の「学問的な定義」は、剰余価値説に関連してとても「重要なキーワード」ですので「私には、もはや煩わしいが」と言わずに、是非再度学習して欲しいと思います。『資本論』は当然読まれたと思いますが、賃金については第一巻・第六篇「労賃」の箇所です。やや難しいのでできたら最初の「商品」から読むほうが理解がスムーズになると思います。
さて、「展望台」さんは新綱領案から「賃金」という単語が全く消滅してしまったので新綱領案では資本主義や社会主義を「科学的」に「分析できるのだろうか」、そして新綱領案から「賃金」が欠落したのは共産党が日本の賃金水準が向上し、国際的にも見劣りしなくなったからと認めたためだと書かれています。
ちょっと驚いてしまいました。「展望台」さんは本当に共産党がもう「賃金」の問題は現在の日本では片付いた、もう取り上げなくてもいいから新綱領案から削除したのだと考えておられるのですか。「しんぶん赤旗」は購読されていると思いますが、連日大企業によるリストラ・賃金カット・サービス残業の横行・労働法改悪による不安定雇用、その結果ローン返済に行き詰まり、多重債務者が激増し、借金苦による自殺など胸の痛む記事が書かれています。今、日本の国民の生活がかつてなく破壊されています。これらはすべて利潤優先で、働く人々の暮らしを省みない大企業・財界のコスト削減、つまり低賃金政策の結果です。私は共産党は他のどの政党よりも大企業の攻撃に対する闘いの先頭に立って頑張っていると思っていますが違いますか。
確かに現綱領には賃金問題を含め、「行動綱領」=諸階層・諸階級の当面の要求や課題の詳細な「一覧」が記されています。なぜこれを削除したのか。これについて不破氏は「提案報告」で次のように丁寧に説明しています。「しかし、では、どういう改革を達成することによって、これらの要求にこたえるのか、という問題には触れていないのです。」(理由がつつきます。)そして「これに対して、改定案は・・・各階層・各分野の要求の一覧ではなく、革命によって実現すべき改革の内容を挙げる、ということに変わりました。」と。同時に「それは諸階層・諸分野の切実な要求を軽くみるということでは、もちろんありません。」と述べて、新綱領案の「経済的民主主義の分野」での改革を説明し、国民生活の発展と安全をはかることを柱に掲げています。
共産党が「賃金」問題を取り上げていないと「展望台」さんが考えているのは誤解だと思います。