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綱領改定討論欄

 この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。

「2つの敵」論から「1と0.2の敵」論への後退-今世紀最悪の不破議長の日本資本主義美化論

2003/7/8 えんげるす?、30代、不安定雇用

1、「植民地もどき対米従属」論の偏重と日本独占資本の格下げ

草案(五)が該当します。

「日本の現状は、発達した資本主義諸国のあいだではもちろん、植民地支配が過去のものとなった今日の世界の国際関係のなかで、きわめて異常な国家的な対米従属の状態」

 さざ波編集部がトピックスに書いたように、アジア・アフリカ諸国が大戦後に国際的・法的に、つまり形式的に独立したとはいえ、それから本当の自立を遂げた例などあるのか疑問です。日本だけが異常な従属下におかれている、他国は自立している、そんな進歩的で寛容な世界であれば、根本的に言えば南北問題など絶対に存在しないことになるでしょう。

 アメリカのアフガン戦争、イラク戦争は、アメリカの軍事力が絶対的であることを示しました。この間の戦争を見れば明らかなように、彼ら第3世界の国々が持っている政治的自立など、アメリカにとってどうとでもなるものです。このアメリカの脅迫は第三世界に効いたはずです。

 つまり、日本だけが世界で異常な対米従属下にある、というのは極めて皮相的な見方だ、ということです。第3世界の国々は、アメリカおよび独占資本諸国の利益の関心外である限り、政治的自立を享受しているだけでしょう。経済的、軍事的に、アメリカおよび独占資本諸国のクビキから免れているわけではありません。潜在的にはアメリカ中心の世界秩序での強い従属下・束縛下にあるといって間違いはないでしょう。

草案(六)では次のように述べます。

「日本独占資本主義と日本政府は、アメリカの目したの同盟者としての役割を、軍事、外交、経済のあらゆる面で積極的、能動的に果たしつつ、アメリカの世界戦略に日本をより深く結びつける形で、自分自身の海外での活動を拡大しようとしている。」

 これはまったくそのとおりです。アメリカ中心の世界秩序のなかで発展を遂げた日本独占資本にとって、それ以外に選択の余地は無いに等しい、つまり、日本独占資本にとっては、エネルギー・資源、輸出先市場の確保といった点から明らかなように、アメリカの世界支配・秩序を破壊しても何の利益もなく、むしろそれを支えてこそ自らの利益になる、という意味であれば納得です。

 しかし、それを帳消しするのが今回の草案です。

・帝国主義復活規定の削除

 日本独占資本の規定から「帝国主義復活」という文言が落とされ「軍国主義復活」だけになっています。これは現状規定において、現綱領から最も後退した点です。これは気が早いかもしれませんが、今世紀最大の誤りに決定だと思います。

 帝国主義の細かい規定には触れませんが、帝国主義復活を落としたことにより、日本独占資本の他国との関係と関与がどのような段階・状態であるのかを経済・政治・軍事にわたって全体的に問う視点が落とされたわけです。あるのは軍国主義復活だけです。しかし、軍国主義復活とは帝国主義復活の一面のはずです。だいたい、なぜ日本独占資本は軍国主義復活を目指すのか? その大本を政治的に問わなくて良いのか? これは決定的に重要な問題です。

不破報告では、この点を説明しています。

「日本独占資本主義と日本政府の対外活動に、帝国主義的、あるいは他民族抑圧的な、侵略的な要素があるかないかという問題は、独占資本主義の復活・強化がどこまですすんできたかという基準によってではなく、日本の大企業・財界および日本政府の政策と行動の全体を、事実にもとづいて調査・点検し、それにもとづいて判断してゆくことが、重要であります。」

 これだけ散々、憲法9条が踏みにじられ、自衛隊の派遣阻止が打ち破られ、軍事体制の強化が進んでいるのにもかかわらず、「事実にもとづいて調査・点検し、それにもとづいて判断」した結果、帝国主義復活(過程)ではない(!)としたのです。

 では、いったいここ10年来の軍事体制の強化は何なのか? 何だと位置づけるのか? 石原都知事や石破防衛庁長官やら小林よしのりらの軍国オヤジの台頭のせいか? はたまた、アメリカの植民地もどきの「対日支配」のせいか?

・議長の日本独占資本美化論-日本とアジア労働者階級への裏切り

 有事法制など、日本の軍国主義化の背景は、強いられた対米従属によるだけではなく、今日の日本企業の多国籍企業化がその動機となっていることは明白です。多国籍企業化は、直接に他国に進出するため、進出先国の政治、経済、社会、文化、そして治安維持、国際秩序の安定といった、その国への全体的な関心と関与を本国に強く要請します。この点が日本が国内生産-北米輸出に決定的に依拠していた時代とは異なるのです。だから自衛隊の派遣体制の強化、外交能力の強化が話題にもなるのです。

 軍事的プレゼンスによるその地域の「安定」は、その最大の要でしょうし、それをアメリカと日本がアジアで担おうとするのです。アメリカと一体となった自衛隊の海外展開の強化、これは根拠不明な軍国主義の台頭なのではなく、アメリカ独占資本のみならず日本独占資本の利益からの要請なのです。これが他国への抑圧的政策-帝国主義復活でなくて一体何だというのか?

 報告のなかでもとりわけ最悪な箇所は次です。

「アジア諸国が、日本の対外活動について警戒の目を向けているのも、日本の大企業の経済活動ではなく、軍国主義の復活につながる日本の対外活動であります。大企業・財界の対外的な経済進出にたいしては、そのなかの問題点について、個々の批判はあっても、対外進出そのものについての批判や告発はありません。」

 つまり日本の経済進出は、アジアから歓迎されている!

 これで、すべては理解できました。
 →日本の経済進出は善である(!)
 →従って日本独占資本の経済進出に反対する現状規定である帝国主義復活は落とす ということです。

 日本において、長時間過密労働、過労死を引き起こしている張本人の独占資本と傘下資本が、日本より人権や民主主義の無い国々に、労働者を低賃金で使うことを求めて進出する事態を、いったいどうして「批判や告発は無い」などと能天気な悲しいことが言えるのか?

 いったい議長は誰の立場でモノを言っているのか? これが本当にわが党の党首の言葉か?

・多国籍企業の民主的規制の事実上の放棄

 日本の帝国主義復活を落とすことで、日本独占資本のアジア進出は諸手をあげて賛成されるため、この点でのアジア労働者階級との連帯という課題は問題になりません。反対すべきは軍国主義復活だけになったために、平和の課題での連帯のみが強調されることになったのです。

 いったい、どこの誰と共同して多国籍企業の民主的規制をはかるというのでしょう。日本のアジア経済進出に、何も問題性を見抜かず、アジア労働者階級との連帯を模索しない党に、いったい多国籍企業の民主的規制の展望などもてるのか?

・草案は絶対に認められない

「非帝国主義的政策が独占資本主義と両立すると考えるのは、カウツキー主義だといった議論を、よく展開したものでした。しかし、いまでは、状況が大きく違っています。」

 この間の、アフガン戦争、イラク戦争、日本の軍事体制強化を見て、世界と日本の進歩勢力がそれらを防げなかった事態を見たうえで、何を寝言を言っているのだろうか・・・
・・・・・・・・・
 以上、草案は現綱領の改悪に他なりません。「2つの敵」論のうち、日本独占資本を格下げ美化し、反米帝のみを強調するという「1と0.2くらいの敵」論です。
 夢踊る、ロマンがどうたらなどと騙されてる時ではありません。
 私は党員として、草案を絶対に拒否します。