この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
8月4日、23回大会に向けての綱領「改悪」案に関する公開討論用の『赤旗』別冊が発行された。
前回22回大会時に発行された『赤旗』別冊と比較して、私が気になった「変化」を指摘しておきたい。
まず値段である。
前回は、この別冊は4号(第4号が2分冊なので都合5冊)まで発行され、全部で200円だったのが、今回は1冊200円!に大幅値上げされている。現時点で第何号まで発行される予定かは判明していないが、発行回数が増えれば増えるほど読者負担は倍加していくことになる。政府に向かって「国民負担増反対」などと言う割には、実は自分たちも似たようなことをやっているのである。本当にふざけた代々木大本営(あんなもの「党」中央とは呼ばない)である。
また、体裁が変わった。
前回はタブロイド版の新聞紙形式だったものが今回はパンフレット形式になっている。活字も大型化されている。党員の高齢化への配慮であるならば評価点をあげられるが、完全な視覚障害者向けの点字や音声版はないのだろうか。
しかし、活字の大型化はともかく、体裁や紙質のような「見栄え」の部分を良くする「変化」は、みんなが望んだものだったのだろうか。政治的討論(ごっこ)に関して日本共産党に対する社会の認識は今日きわめてシビアなものになっている(党規約による言論の自由に対する敵対など)。
はっきり言おう。討論問題に関してみんなが共産党に求めているのは、討論紙の見栄えの向上などでは決してない。討論運営全体における党内民主主義の徹底である。組織財政も厳しくなっているのだろうから、ここらへんの支出を削減し、党職員の賃金未払い(労働基準法24条違反!)解消にでもまわすべきです。ましてや、不破や緒方のようなダラ幹「外遊」に多額の費用をかけるなどとんでもありません。いまに労働者の怒りの鉄槌が連中の脳天に打ち下ろされるぞ。(物理的暴力を意味するものではありません。)
そして、今回私が最も疑問持っている変化が、第3種郵便としての取り扱い対象からはずされていることである。
現物を見る機会があったら皆さんも確かめてみてください。
第3種郵便は、当該印刷物(この場合「赤旗」別冊)が事前に第3種としての認可を受けていても、郵送する現物に「第3種郵便物認可」など、定められた事項が記載されていなければ適用を受けられず、第1種郵便物として扱われ、当然料金も第3種と比較して高いものにならざるを得ません。だから朝日新聞も読売新聞も毎号この事項が印刷されているのです。
余談ですが、あるミニコミ紙が送料削減のために厳しい条件をクリアしがんばって第3種の認可をとった。その結果送料コストを大幅に削減することに成功したが、それでも経営は火の車だった。
あるとき、委託先の印刷会社が些細なミスをしてしまった。それは素人が見てもほとんどわからないもので、ついでにプロでもわからなかったくらいのでもあった。担当者はいつもどおりにミニコミ紙に印刷物を納めたが、これを見た編集長は顔面蒼白になった。
大急ぎで読者に発送しなければならないミニコミから、「第3種郵便物認可」の文字が抜け落ちていたのだった。
当然、第3種扱いでの発送はできない。もし気付かずに発送していれば郵便局の厳しい局内チェックですぐに見つかり、不正行為と判断され、捜査・逮捕権をもった郵政監察局から郵便法違反事件として摘発され、認可を取り消される恐れもあるのだ。
零細ミニコミ紙にとって第3種認可取り消しは致命的打撃になる。
死活問題ということばでは甘いぐらい重大なのだ。
編集長は言った。
「全部刷りなおしてくれ!」
今度は印刷会社が顔面蒼白になった。
スッタモンダの末、印刷会社が責任をとる形で全数再印刷となった。
たったこれだけの文字が印刷されているかどうかの違いなのだが法律とはこんなもんである。
で、わたしが何を言いたかったというと、第3種郵便物認可を受けている媒体(赤旗)からあえて法律で記載が義務づけられた事項を、今回の公開討論の『別冊』だけがなぜ記載しなかったのか、である。通常の日刊・日曜版は従来どおり記載されている。なぞは深まるばかりだ。
なお、党内の担当部局レベルのミスの可能性も捨てきれなが、実際にはその可能性はきわめて低い。赤旗編集局に限らず、共産党関係の印刷部門は、誤植や校正ミスといった実務上の能力は高いからだ(あそこに批判的な私だが、不当な非難は一切していないつもりだ。客観的に見て評価すべき点は評価する)。したがって今回の「第3種問題」は、目的意識的にその記載を削ったと判断すべきだろう。その目的とは「特定人物への販売拒否」である。
本サイトでも暴露されていたが、「ぶどうちゃん」氏への購読差別事件のような事態を念頭に置いて(つまり代々木大本営は購読差別を防止するのではなく、また起こっても法的責任が発生しないように考えた)、合法的に購読差別をしようとしたのではないか。
この点以外、経済的負担をする読者はもちろん、発行者である共産党にもメリットはない点からも、そう判断するのが妥当だろう。
日本共産党中央委員会からの責任ある反論を期待します(無理だろうが)。