この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
S・T編集部員の綱領改定案批判論文を読みました。
簡単な感想と意見・質問です。
まず、天皇制の問題について。
私は、歴史認識論争などをとても関心を持って勉強してきたこともあり、高橋哲哉氏などが強調するように、天皇制と戦争責任の問題をきっちり整理する必要があると思うのです。
それが、共産党も強調するアジアの人たちの連帯に繋がると思うのですが、今回の改定案はその必要性に徹底して背を向けてしまったように思います。
S・Tさんの論文にもこの辺りの指摘がありませんね。
「女性国際戦犯法廷」などここ10年近く日本の運動でも大切な積み上げがあった戦争責任問題の視点から、天皇制を見る必要もあると思いました。
そこに踏み込めない、現在の支配体制と共産党には真にアジアの人々と連帯する可能性はないと言えるでしょう。
それに、天皇制自体が差別イデオロギーの元凶というフェミニズムや人権派の主張もあります。
在日の方々からもやはり天皇制に対して根強い批判があるはずです。
相変わらずの差別主義・民族主義の「左翼」政党の限界を露呈させた改定案だとも感じました。
これでは、日本の運動圏の連携もままなりませんね。
帝国主義の問題について
批判論文も指摘するように、特にアジアへの帝国主義的侵略に対する軽視・無視を決め込む今回の改定案はナンセンスだと思います。
グローバリゼーションに関しても、様々な研究が為されてきたここ10年でしたが、共産党は一体何をしていたのでしょう。共産党の中でも、二宮厚美氏や藤岡惇氏なども議論していることですが、改定案には全く反映されていませんね。
がっかりです。
アジアの民衆と連帯する気がないのでしょう。
「さざ波」の方々に期待すること
簡単な感想を記しました。今回のS・Tさんの論文はとても勉強になりました。
ところで、せっかくですから、「さざ波」の皆さんで綱領対案を提示してみてはいかかですか?
皆さん意見は異なっても、党員では一致しているわけですから、この批判論文をたたき台に作成してみては?
党内にいくつも対案が出てくるというのは外野から見ていても、とても好感を持てます。
それに、S・Tさんの立場はとっても「原則的」ですよね。
共産党がずっと野党にいて、議員数・党員数も頭打ち。
日本の左翼運動の中でもいくつもの負の側面を残してきたその党の原則を維持するのが、現在の日本の左派運動にとってどのような意味を持つのか?
原則を保ちつつ、どのような点でこれまでとは違った運動を展望しているのか是非知りたいですね。
その一環として、自由な言論の場としてさざ波通信の取り組みがあるのだと思っていますし、それにはとっても敬意を表します。
私も少なからず左派的な運動に携わっていますが、社会主義やマルクス主義にあまり拘って運動はしていません。やはり、どのような主義・主張を持っていても「左派」としてのダイナミックな連合をどう作るかが目下の関心事です。
ですから、原則的なマルクス主義用語に拘ることもあまり共感はできません。
なので、余計「対案」を期待します。
是非、ご検討下さい。
これからも応援しています。