この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
「明るい共産党をつくる会」氏は初めてなので、最小限コメントしておく。
>「君主制規定は君主扱いを助長させる」の論については
>①助長させるという言葉の用法がすでに天皇制が君主扱いされていることを前提にしている。
現状において「君主扱い」的なものがあるのは議論の前提。だから、「君主ではない」という意味がある。ただし、「君主扱い」的なものがあることは現実に天皇が統治権を少しでも有していることは意味しない。もし天皇が現実に統治権を有していることを示す事実があるなら、具体的にあげてもらいたい。
>②戦後数十年の綱領、党文献がそういう役割をになってきたのか。
そうともいえる。なぜなら、憲法改正によって象徴天皇制を廃止するまでは天皇は「君主」であるという認識からは、憲法改正までは天皇の君主扱いは主権在民のやむを得ない「例外」であるという結論しか出てこないからだ。
実際にも、君主制扱いに対して「だから天皇制は廃止すべきだ」と威勢のいい批判はするが、当面の課題でないとして言いっぱなしで終わっている人が非常に多い。現行憲法自体に基づいて君主扱い批判をきちんとやろうとする活動家が実は少ない(例えば、過去に憲法訴訟などがあまり取り組まれてこなかった)のは、廃止するまではやむを得ない「例外」と割り切って、実践的には闘いを放棄しているからだ。
>③国事行為の規定が天皇が君主然として振舞うことを規定している。それ以外の存在意義は無い。
「君主然」とした振る舞いは「君主」であることとイコールではない。憲法学上は、内閣の助言と承認に完全にコントロールされる「自動人形」と呼ばれる。
その他は、実につまらない誹謗中傷と揚げ足取りばかりだから、あえて反論する必要は感じない。
これまでのここでの議論から感じることは、天皇制廃止にこだわる人たちの天皇制観が、あたかも戦前の天皇制で止まっているかのようにアナクロニックであるということだ。
明治憲法から現憲法への変革を宮沢俊義は「8月革命」と表現したが、万世一系の神権的絶対的統治権者であった戦前の天皇制は敗戦と占領という社会的大変革の中で「廃止」されたと見る方が事態をリアルに捉えている。戦前において「天皇制廃止」というのと、現在「象徴天皇制廃止」というのでは、その革命戦略上の位置づけも重要度も全く異なることをよく考えるべきだ。
だからこそ、現行綱領においても「君主制廃止」は当面の民主的変革の課題とされていないのである。
戦前の天皇制のイメージに引きずられて現在の象徴天皇制を議論するのでは、まさに右翼と同じ。「両極端は相接する」である。