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綱領改定討論欄

 この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。

「教条的でなく実践的で柔軟な議論を」へのコメント

2003/8/6 澄空、30代、会社員

 基本的に論争は終結したようですので、簡単なコメントのみとします。

1、私はこれまでネット上の現指導部の評価をみてきて、「柔軟路線」を支持する人でも、その路線転換が綱領や大会決定や党内民主主義を無視したやり方で進められていることについては批判するだろうと思っていましたが、そうでない人がほとんどなので失望しました。これでは右派・左派が共同できる民主主義的な党の実現は不可能だという気がします。
 今回の綱領改定は、根源的な変更を伴なうものであるにもかかわらず、これまでと同じだと詐欺的にすすめられている点に嫌悪感すら感じています。

2、天皇制問題の「実践的意義」について私は無視するどころか、それを述べたつもりです。私が舌足らずだったと自省しますが、それにしてもdemocrat氏の議論は私の考えとはあべこべなのには驚かされます。
(1)S・N生氏が丁寧に述べていますように、現行綱領は天皇条項を含めた憲法を丸ごと擁護する「完全護憲論」の立場ではなく、天皇制の廃止を展望し、憲法の平和的・民主的条項だけを擁護し、それを徹底させる立場です。
 綱領の立場で言えば、私たちは、天皇の政治利用などに対して、それが憲法の規定を逸脱するから批判するというよりも、それが憲法の国民主権や平和主義、民主主義、基本的人権等に反するがゆえに批判するのです。それが、天皇制条項を克服する立場=天皇制を廃止する立場なのです。天皇制を廃止する立場=無媒介に天皇制廃止を掲げた運動でないことは言うまでもありません。
 憲法の天皇条項は矛盾に満ちたものです。天皇は象徴とされ、その役割は極めて限定されてはいるものの、認められいてる国事行為だけをとってみれば、内政に関しては「立憲君主制」並みの役割をもっています。それに天皇及び皇室が行なうものは憲法に規定された「国事行為」だけではありません。皇室には独自の制度があるし、国事行為以外にさまざまな「公務」が行なわれています。そのそれぞれに、国家予算が使われ、大衆動員がかけられ、メディアも動員される。いくらdemocrat氏が天皇は象徴だと叫ぼうが、制度として存在する以上、常に「君主としてあがめられる」行事が行なわれ続け、代替わりの一連の時期に生じた「自粛」の名による市民的自由の広範な侵害等の現象はいつでも起こりうるのです。
 そうした「天皇を君主とあがめる」各種行事に対して、democrat氏は、なぜわざわざ憲法の天皇条項というプリズムを通して屈折した批判をせよというのでしょうか? 確かに、象徴は象徴らしく“つつましくやれ”と言うのも「批判」には違いないでしょう。しかし、それらを批判する一方で、なぜ「国事行為」そのものは批判しなくてよいと考えるのでしょうか? このような不徹底な“屈折”批判を正当化する「実践的意義」こそ是非明らかにしてもらいたいものです。
 democrat氏の立場こそ、憲法を「金科玉条」のようにして、「教条的」に適用しようという立場で、柔軟に現実を変革していこうという運動の立場ではないと私は考えます。
(2)綱領が「天皇制の廃止」を掲げてきたからこそ、「完全護憲論」ではなく平和的・民主的条項を徹底させる立場をとってきたからこそ、共産党は天皇の「国事行為」に対しても批判的立場を維持してきたのです。ところが現指導部は、天皇制廃止の看板を下ろすことによって、天皇の「国事行為」に跪こうとしています。私を含めた批判者は、これを「容認」だと言って批判しているのですが、“もとから直接運動に掲げていない”から立場は変わっていないというのは、反論と言えるのでしょうか。
 要するに、democrat氏の立場は、「国事行為」は認めて当然という現指導部を支持する立場です。それが「容認」でないと強弁したければ、それでもよいでしょう。しかし、それが現行綱領からの転換であることには違いありません。これまでどおりと言わずに、正々堂々とその転換を主張してください。
(3)川上氏が指摘した天皇制の政治的危険性に関連しても、democrat氏の言い分は、反論のていをなしていません。川上氏が指摘したことは、「国事行為」という憲法の規定の枠内で天皇制が「道具」として、政権転覆に利用される可能性についてです。「絶対君主」として利用される可能性があるなんてどこにも書いていません。
 現在の天皇制が「ソフトなイデオロギー支配の装置としての役割」をもっているなどともったいぶっていないで、天皇条項を守りさえすれば、上記の「皇室制度」や天皇の「公務」が憲法の国民主権・民主主義・基本的人権と調和できるとする論拠をぜひ披露していただきたいと思います。