この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
いわゆる青写真についてひとこと、
「共産党宣言」に次の一節があります。第2章 プロレタリアと共産主義者 のところです。
http://jcpw.site.ne.jp/bbs/bbs25.cgi?id=&md=viw&no=1193&tn=0971
プロレタリアートは、ブルジョアジーからしだいにいっさいの資本をうばいとり、いっさいの生産用具を、国家、すなわち支配階級として組織されたプロレタリアートの手に集中し、生産力の量をできるかぎり急速に増大させるために、その政治的支配を利用するであろう。
もちろんこのことは、はじめは所有権とブルジョア的生産関係とへの専制的な侵害を通じてのみおこなわれる。したがって、経済的には不十分で、長もちしえないように見えるが、運動がすすむにつれて自分自身をのりこえて前進し、しかも全生産様式を変革する手段として不可欠であるような諸方策によってのみおこなわれるのである。
これらの方策は、当然、国によっていろいろであろう。
しかしもっともすすんだ国々では、つぎの諸方策がかなり全般的に適用されるであろう。――
一 土地所有を収奪し、地代を国家の経費にあてる。
二 強度の累進税。
三 相続権の廃止。
四 すべての亡命者および反逆者の財産の没収。
五 国家資本によって経営され、排他的独占権をもつ一国立銀行を通じて信用を国家の手に集中する。
六 運輸機関を国家の手に集中する。
七 国有工場、生産用具の増加。共同の計画による土地の開墾と改良。
八 万人にたいする平等の労働義務。産業軍の編成、とくに農業のためのそれ。
九 農業と工業の経営の結合。都市と農村の対立の漸次的除去。
一〇 すべての児童にたいする公共無料教育。現在の形の児童の工場労働の廃止。教育と物質的生産との結合。その他。
これって、未来社会の青写真じゃないのですか?
辞書(三省堂版広辞林)によると
【青写真】1:設計図などの複写に使う青字、白抜きの写真2:完成の予想図。計画図。
とあります。まあ、完成の予想図、計画図てことでしょう。AFやデジカメになれた人間にはピンとこない言葉ではあります。
青写真という言葉自体あいまいなことばですが、青写真主義となるともうどんな辞書にも載っていないでしょう。
不破さんは「前衛」誌10月特大号、「ゴータ綱領批判」の読み方、という文章でこう説明します。
「マルクスは、空想的社会主義者達と違って、未来社会の詳細な青写真を描くことは、決してしませんでした。」p17と、
「実際、マルクスやエンゲルスが、この立場を守らないで、自分達が活動していた19世紀の情勢に対応する青写真をえがいたりしていたら、21世紀に活動する私たちは、時代遅れの青写真を目の前にして、たいへん困った立場に立たされることになったでしょう。」p18
「今日は、その問題をもっとよくみるために、青写真主義をいましめたマルクス、エンゲルスの文章から、二つの代表的なものを紹介します。」p19
言わんとすることはわかります。
私は、マルクスやエンゲルスが青写真主義をとったと、主張するものではありません。
青写真や青写真主義という言葉自体があいまいなのです。
未来社会の基本構想は「空想から科学へ」「反デューリング論」「共産党宣言」「家族、私有財産、国家の起源」「ゴータ綱領批判」「国家と革命」などの著作に示されています。
資本主義やそれのもたらす毒素を批判するのは大切ですが、未来社会を描くのを禁止しないでください。
「ロマン」を私たちから奪わないでください。
私たちは歴史的思想家ではありません。
「21世紀に活動する私たちは、不破さんの言葉を目の前にして、たいへん困った立場にたたされることになっています。」と指摘せねばなりません。
また当たり前ですが、「ゴータ綱領批判」批判を批判することが、ゴータ綱領への支持を表明するわけでもないのです。
ややこし・・・