この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
1、現行綱領には
「サンフランシスコ平和条約の主権を侵害する諸条項の廃棄……のためにたたかう」とあるだけであり、廃棄のやり方について一方的であるかそうでないのかについては、何ら規定していません。
また、サ条約には改廃規定がないので、改廃は不可能という主張ですが、これはいささか形式論理的な主張でしょう。それはまた改廃の形態をどのようにするかの問題でもあります。どのような形でサ条約の反動的条項を改廃するのか(事実上そうした意味を持つ措置を含む)については、それこそ自分の手を縛るべきではないでしょう。
2、「主権を回復した以上、いかなる国とも条約を結び、外国軍を駐留させる権利も国際法上は保有しています。しかしその権利を行使して、実際に外国軍を駐留させることが、国内法である憲法9条に違反するということです。ですから、サンフランシスコ条約6条a項は違憲ではなく改廃の必要もありません」とのことですが、憲法はその国にとっての最高法規であり、当然、憲法に反する条約を結ぶことはできません。国の行なう行為に関しては憲法が最高法規であり、国際法であれ何であれそれに優越するものではありません。憲法9条があるかぎり「外国の軍隊を駐留させることができる」という内容の条約を結ぶことができないのは言うまでもありません。
3、「仮に日本へのいかなる外国軍の駐留も禁じるような条約(そんな条約がありうるとは考えられませんが)を結ぶとすれば、革命政府の手を縛ることになるだけでしょう」とのことですが、誰もそんなことは主張していません。そんな条約を結ぶことなどまさに馬鹿げたことです。そもそもいったいどの国とそんな条約を結ぶのか?
4、「仮に日本革命政府が外国(米国など)の侵略の危機にさらされているにもかかわらず、十分な自衛力がないとするならば、外国軍の駐留を求めることは想定できることです」とのことですが、いったいどこの国の軍隊に駐留を求めるつもりですか? 資本主義化しつつある中国? まさか北朝鮮だとでも? まったく馬鹿げた主張です。そのような行為は、サ条約の改廃以上に、アメリカ帝国主義に戦争挑発の口実を与えるだけです。
5、「革命政府が樹立された場合、憲法9条を廃棄することになります。将来廃棄する条項に基づいて、将来の革命政府の手を縛ることは愚かなことです」とのことですが、「廃棄することになる」と断言することはできませんし、少なくとも日本共産党の現在の立場はそうではありません。
6、「日本帝国主義はロシア革命に敵対して、シベリア出兵を行いましたし、また第二次世界大戦の最中においても、偽「満州国」で関東軍特別演習を行うなど、ソ連に対する侵略・挑発行為を行ってきました。このことから考えて、ソ連が日本にたいして賠償を求めるかあるいは日本の領土を併合することは当然であったといえます」とのことですが、賠償については議論の余地があるとはいえ併合が当然というのは、議論するのも馬鹿馬鹿しい主張です。
7、「日本共産党が『自主独立の立場』という名の民族主義的堕落を深めて行く以前は、日本共産党はソ連の千島併合の正当性を認めていました。この立場に立ち戻るべきでしょう」とのことですが、「自主独立」以前は、単にソ連追随だっただけのことです。スターリンを崇拝していたのと同じ次元で、あるいは、ハンガリー革命を反革命と規定していたのと同じ次元で、併合を認めていたのにすぎません。