この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
不破さん、あなたは、綱領改定案の報告で、「日本は…君主制の国には属しません。」「天皇が君主だとはいえない」などと発言されていますね。
あなたの永年の研究の成果として、そのような結論に達したとすれば、それは一つの「見識」でしょう。
その事については、多くの党員が、「公開討論」版でも、論評されている事であり、憲法の解釈について、私があれこれと講釈する事は、ここでは致しません。
ただ、私は、現行綱領の「ブルジョア君主制の一種」であるという規定は、正しいと今でも思っております。
正しいと思ったから、党員になっているのであって、そもそも、正しいと思わなければ、共産党には入れないし、入れてくれない筈ではないのですか?
綱領を認めるという事が、入党条件の一つなのですから。
綱領をより良いものに改定する事は、誰も否定しないでしょう。
しかし、天皇制について、君主制と規定していたものを、君主制ではないと規定するということは、これまでの党の存立にまで関わる重大な変更であるという事が、あなたには、お分かりではないのですか?!
現行綱領決定以来、42年間、「君主制の一種」と規定し続けておきながら、それを完全に否定する報告を突然行う。
もし、この報告、および改定案が、党大会で決定されたなら、その日、その瞬間から、40万党員は、「天皇制は君主制ではない」という解釈を表明しなければならなくなる、ということではないですか?!
42年間というのは、成人してから、ほぼ、人の一生に匹敵します。
私自身に関しても、学生時代からすると、20数年になります。
その間、知人、友人、後輩達に、「天皇制は、君主制の一種であって、人間の平等と民主主義の原理に反する」と説明してきた者が、「いやぁ、ごめんごめん。実は、天皇制は、君主制ではなかったんだ。」などと言ったならば、もう、その人は、信用されない事でしょう。
「お前は、ずっと、何十年も、君主制だと言ってきたじゃないか。
それが何だって?!君主制じゃない?!
あーぁ、そう…。これだから、共産党のやつの言う事なんか信用できないんだ。
驚いてしまうよ。へーぇ。それにしても、そういうふうに解釈を変えた理由は何なんだ?」と言われて、
「実は、よく判らないんだけど、不破さんが、そう言ってるんだ。」等と答えようものなら、
「お前は、よく判らないのに、君主制じゃない、なんて言い出したわけ? 不破さんが言ってるから、そう言うわけ? お前の意見じゃないわけ? じゃぁ、お前の意見は変わっていないっていう事なの??」
「いや、その……そう言うわけではないんだけど、規約で、中央の決定に反する意見は、勝手に発表してはいけない事になっているんだ……。」
「ハア?! お前から、いろんな考えを聞いてきたけど、実は、お前の考えじゃなくって、ただ共産党の言ってる事を言ってきただけなの?!で、上の意見が変わったから、お前も、変えるっていうだけなわけ?! それって、丸っきり創価学会みたいだな。不破さんは、池田大作と一緒なんだな。よーく判った。もう、お前と話してもしかたがないな。不破さんも、共産党も、残念ながら、まったく、信用できないな。お前ともこれっきりだな。もう、二度と、俺の前に現れないでくれ!! あばよ。」
と言われても、仕方ありません。
不破さんには、共産党の人しか、お友達はいないのでしょう。
私は、そうではありません。かけがえのない友達がたくさんいます。困ったときに、みんなに助けてもらいながら、今日まで生きてこれました。それは、人を裏切らない、という当たり前の事をしてきた事に対する、みんなの信頼からくるものだろうと思います。
にもかかわらず、党の天皇制の規定・解釈が変わったからといって、それに従い、「君主制じゃない」なんて思ってもいない事を言うようなことは、口が裂けても、私には、できない。
40万党員は、こんな180度も違う天皇制規定、君主制規定が、大選挙区完全連記制という白人が黒人を支配するために使われてきた非民主的な「選挙」によって選ばれた、数百人の党大会で「承認」された場合、「君主制じゃないんです」と言うつもりなのか?!
あなたは、これまで付き合ってきた友人達に、そんな事が言えるのか?!
私は、これまで通り、「君主制の一種」だと言い続けます。そして、「だからこそ、廃止すべきなのだ」と言い続けます。
これが、もしも、どんなにコペルニクス的転回であろうとも、真実であるならば、私は、進んで受け入れることを表明する。それが、どんなに恥ずかしい事であったとしても、正しいと納得できるものであれば、これまでの友人達に、「間違っていた。許して欲しい。」と謝ることも、吝かではない。
ところが、不破さん。あなたは、現行綱領と180度異なる、丸っきり反対の規定をしておきながら、一言も、「申し訳ない。間違った解釈・規定をしていました。ごめんなさい。お詫びします。」等々の言葉を述べておられませんね。
辛うじて見つけた言葉は、「誤解を残す」というよく判らない言い訳です。
あなたは、平党員ではないのですよ。少なくとも、綱領決定以来、一貫して党の中枢におられ、現在、最高指導者の立場におられる方なのですよ。
私のような、平党員でも、あれこれと考え、万が一、「君主制ではない」という事が真実であると納得したならば、友人達に謝るべきだとも思っているのに、党の最高指導者であるあなたが、「間違っていた」とは一言もいわず、謝りもしない。
私は、誰が何と言おうと、こんな事は許しません。
あなたが、あくまで、「天皇制は、君主制ではない」ということが正しいと考え、主張されるのであれば、「現行綱領の『ブルジョア君主制の一種』という規定は、誤りである」と、はっきり明言された上で、党員に対して、42年間も、間違った指導をしてきた事を、「申し訳ない」と、謝って欲しい。
それが、共産党のリーダーという以前に、人間として、当たり前の事ではないか!!
しかし、あなたは、謝るどころか、訳の分からない弁明に終始し、誤魔化そうとしている。説明責任などという言葉は、あなたの頭の中には、いっさい無いのであろう。
あなたは、このような手法を、前回大会の「前衛規定削除」のときにも使いましたね。
そのとき承認された7中総報告において、あなたは、「いろいろ文献を読んでいて面白いことに気づいたのですが、大先輩であるマルクス、エンゲルスは『前衛』という言葉はいっさい使いませんでした」と言い切りました(前衛22回大会特集P143)。
マルクス・エンゲルスでさえ使っていないんだから、削除してもいいだろうというような権威づけにでも、したかったのでしょうか?!
しかし、あなたが、そのすぐ後に引用した「共産党宣言」(岩波文庫)には、1890年ドイツ語版への序文に、「ロシアはヨーロッパの革命行動[運動]の前衛」「そのころまだ多数でなかった科学的社会主義の前衛」などの記述があります。マル・エン全集(大月)でもほとんど同じです。
あなたは、一般の党員が、いちいち調べたりしないだろうとでも思っていたのでしょうか。あなたは、この事に関しても、沈黙されていますよね。訂正もお詫びもありませんよね。
そして、そこでも、「この『前衛』という言葉には、誤解されやすい要素があります。」として、前衛の「指導性」を抜き去り、規約前文そのものを削除してしまったのである。またしても、「誤解」である。
自分達の誤りではない。世間様の「誤解」なのだ。
よく、このような詭弁論を習得されました。あなたには、日本マヌーバー大賞を授与致します。
ともあれ、あなたの思惑通り、前衛規定は削除されました。
目的のためには、平気で嘘までついて、ばれても、お詫び・訂正どころか何の回答も無い。これが、日本共産党の最高指導者か?!!
そもそも、指導者と呼ばれたくないがために、前衛規定を削除したとでも言うのではあるまいな!!
愛子ちゃんの誕生の際の賀詞決議は、天皇に対して、
「このたび皇孫殿下のめでたく御誕生あそばされましたことは、国民ひとしく喜びにたえないところであります。ここに衆議院は、国民を代表して、謹んで慶祝の誠を表し、あわせて皇室の御繁栄をお祈り申し上げます。」
となっている。
驚いた事に、党国会議員は全員一致でこの決議に賛成してしまった。
徳仁くんと雅子さんの結婚の賀詞決議の際には、中央は、
「国民あげて喜びにたえない」などと賛美……「国民を代表して……皇室の御繁栄をお祈りもうしあげます」などと、国民のうえに皇室をおく重大な内容となっています。国権の最高機関がそれを祝ったり、皇室の「繁栄」を祈る議決をすることは、憲法の主権在民原則に反するものとして反対しました。(赤旗・1993年6月4日)
と言っていたのにである。
同じ文言・内容の決議に対する、この180度の転換に理論的発展性などという言葉が通用するのであろうか?!
あなたをはじめ、党中央委員および党国会議員という連中には、「良心」というものがないのか!!
あなたは、そして、党指導部は、党と人民をどこへ向かわせようとしているのか!!
あなたは、「質問・意見に答える」のなかで、ぐだぐだと言い訳にもならない事を述べている。「衆議院では、党の代表は…文案そのものの吟味はおこなわず」「当事者は、内容は参院の賀詞とほぼ同じと思って」「原則的な態度が取れなかった、という結果になりました。」
なんだ、この他人事のような言葉は!!
文案の吟味をやってない?!二千数百万円の給料をもらっておきながら、国民の代表としての意識があるのか!!
「党の代表・当事者」とは誰のことを言っているんだ!!
あなたは、かたや天皇の政治利用を許さず、憲法の条項と精神を厳格に守らせると言いながら、犯罪的にも「皇室の御繁栄をお祈り申し上げ」た、衆議院議員の一人であり、他の党国会議員を指導する責任のある、まさに党の代表・当事者ではないのか!!
あなたの罪状を並べ上げたらキリが無い。
「右向け右」の国会議員団も情けないが、その最高責任は、不破哲三、あなたにある。
私は、民主主義と人民の利益に反するあなたの行為を許す事はできない。
即座に、あらゆる役職を辞任し、特権的議員年金を放棄し、別荘と寄進された土地を投げうって、日々、死に直面しているホームレスのために、献身することを要求する!!
それが、永年、労働者階級の前衛として自らを規定し指導してきた党の、最高責任者の採るべき、せめてもの罪滅ぼしというものであろう。