この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
「批判のあり方」に偏せず内容討議も、ということなので、内容についても投稿させ
て頂きます。
私は「日本は、国家政体としては、象徴天皇制という君主制の残存物をともなったブ
ルジョア民主主義の国である」とする編集部の見解を妥当と考えます。
(http://www.linkclub.or.jp/~sazan-tu/sazanami/033/10.html の末尾にあります)
しかし、編集部が同時に象徴天皇制を「君主制の一種」と規定していることはおかし なことです。「君主制の残存物」すなわちかつて君主制を構成していた要素の断片的 残存物に過ぎぬものが、一つのシステムであるはずの「君主制の一種」と規定される のは言葉の上で既に矛盾しています。
問題は、政体批判とイデオロギー批判の区別にあると考えます。
政体批判として言えば、「君主制の残存物」=象徴天皇制は民主政体の部分的欠陥と して対応すればよい問題です。しかし、「君主制の残存物」は政体論としての問題以 上に、「残存」そのもの(「残存物の内容」ではなく「残存してきたこと」が孕む問 題)が問われなければなりません。これは未だに決算されない日本人のイデオロギー 問題(主として戦争責任や政治反動に関わる)に絡んでいます。両者を区別せずに単 眼的な「科学の目」をもってこれを「政体論」に還元してしまえば、「君主制の一種」 規定の消滅がイデオロギー問題の消滅のごとく観念されざるを得ません。党中央が戦 後天皇制問題を専ら政体論として扱ってきたため、今回の規定削除への抵抗が生じて いるものと思われます。抵抗の背景に健全な天皇制批判があることは疑いませんが、 批判が上滑りしないためにも問題を整理する必要を感じます。