この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
反論権云々など討論の仕方についてよりも、もっと実質的な討論をした方がよいと
いう趣旨の投稿があり私も同感ですが、2月20日付のdemocratさんの投稿やそれ以
前のものを見ると、やはりひとことは申し上げておいた方がよいと思いますので、何
とか時間をやりくりして投稿させていただきます。
democratさんのこの投稿は、大鷹さんの投稿に対するものですが、内容的には私の
認識は大鷹さんとほぼ共通するものがあります。ただし、私はいまそのことについて
述べるゆとりがありません。従来からこれに関連するような投稿も見かけたような気
もします。何らかのご意見がある方はどうか投稿していただけないでしょうか。
■ 「左翼狩り」のごとき印象 私がたいへん不快な思いをしたのは以下のくだりです。
犬丸氏はそうした実情を知っていてあえて党中央に対する抗議のために「自著の出版 を断念せざるを得ない」と言っているのでしょうが、私はとてもいやな感じがしまし た。(「大鷹さん(democrat)」04/2/20)
これについて述べるには少しさかのぼらなければなりませんが、余計なことから始
めます。
democratさんの投稿を見ていると、ご自身に対する批判投稿への反批判をのぞく
と、綱領改定をめぐる天皇制問題等で中央の方針に対する批判投稿に対するもの、ま
た、たとえば長壁さんなどに代表されるアメリカ帝国主義の侵略に対するラジカルな
批判に対するものなどに集中しています。democratさんの投稿には、あることがらに
対してみずから積極的に自説を展開するというような傾向がほとんどみられません。
少なくとも私はそう思っています。卑俗な言葉を使うと「左翼狩り」という感じがし
ます。
日本共産党に、現在はこのような機構はありませんが、私の率直な感想を言わせて
もらえば、democratさんは「統制委員会責任者」(イメージとして)というような印象
を私は受けます。私がそういう印象を受けるのは、投稿者と私の政治的見解や思想的
な相違に起因するものではありません。たとえば、democratさんにラブレターを書い
た人文学徒さんなどに対して私はかなりの隔たりを感じますし、愚等虫さんの投稿に
も共感を覚えるものがたくさんありますが、私はその愚等虫さんともかなりの相違が
あると認識しています。s.kさんにたいしても同様です。しかし、私はこれらの方々
に対して「統制委員会責任者」というような印象を受けることはありませんし、その
投稿を「左翼狩り」などと思うこともまったくありません。
統制委員会という言葉で私が表したいイメージは、分派活動にとどまらず、異端、
異論までも対象とした取り締まりを仕事とするようなもののことです。少し党歴の長
い人であれば、宮本時代の都道府県機関の「組織部」を思い浮かべていただけばいい
でしょう。私の偏見だといわれるかもしれませんが、率直に言って私はdemocratさん
の投稿に対してはそういう印象をぬぐい去ることができません。
democratさんの投稿の多くは批判、反批判の性質が強いのですが、長い間私は投稿
していませんでしたから、私自身が直接の論争対象になっているわけではありませ
ん。しかし、democratさんの投稿を読み、私がその論争対象者の位置に身を置いてみ
ると、「投稿意欲をなくすほど」の後味の悪い思いをされた方がいらっしゃるのでは
ないか思うことがあります。
democratさんが指摘したs.kさんの投稿には、第三者から見てやはり適切ではない
表現があったと思いますが、democratさんの投稿にも、たとえば愚等虫さんに対する
批判投稿の中で節度に欠ける表現があるし、その他の方々に対してもどうかと思うよ
うな表現をしているものがあり、社会科学に関する常識さえ疑わせるような非難をし
ているのではないかと感じることがままあります。
何らかの建設的な結果を期待する討論と、ともあれ論争相手をうち負かす討論とは
おのずと違うものです。後者のようなものが必要なときもありますが、このサイトで
行われる討論は基本的には前者であるべきだと私は思っています。もしこのことに同
意をされるならば、討論の相手が「投稿意欲をなくす」ことがないような配慮をされ
るべきではないでしょうか。
次に、democratさんの投稿にはディベート技術の濫用が多すぎます。ひとつ例をあ げましょう。democratさんはs.kさんに対して以下のように書いています。
少なくともさざ波通信員の川上氏はあなたのようには考えていないようですが(2月 11日)、あなたももう少し冷静に考えられた方がよいでしょう。 (「説明は無視です か?:S.Kさん(democrat)」04/2/14)
democratさんは、私の2月11日付投稿を念頭においてこのように書かれたので
しょうが、なぜ「さざ波通信員」の「肩書き」を添えたのでしょう。私はさざ波通信
定期号に投稿するとき以外は「通信員」という「肩書き」を使った記憶がありません
し、2月11日もまったく個人のハンドルで投稿しています。democratさんが「さざ
波通信員の川上氏」という表現をしたのも後にも先にもこれ1回かぎりです。どうい
う意図でこのような表現をされたのでしょうか。「S.Kさんとの論争で『さざ波通
信』の見解は我にあり」とでも思われたのでしょうか。念のために申し上げますが、
私はさざ波通信編集部とは、「サイトの主宰者と投稿者」という関係以上のものは
まったく存在しません。時間があって自分の勉強を兼ねて書きためたものを定期号に
2回ほど載せていただいただけのことです。(それも最近ではできなくなったことが
残念ですが。)
討論の本筋には関係のないことをそっと持ち込むことによって、討論に影響を与え
ようとするテクニックはあまりフェアなことだとは思えません。ここは法廷ではない
のですから、裁判官の心証を得るために使うような技術を濫用されない方がよろし
い。討論の誠実さとはそういうことをしないで、討論の本筋について語ることだと思
います。
※ S.Kさんへ。お忙しいならやむを得ませんが、そうでなければ遠慮なく引き続き
討論に参加されたほうがよろしい。
■ 反論権の問題
私は公開された綱領討論について論表すること自体には問題はないという見解で
す。ただし、その後、法田さんから指摘があった「公的言論空間といえるか」、「匿
名・実名」の問題については、率直にいって語るほどのものを持ち合わせていません
から、この点すなわちdemocratさんのいう「市民法上の権利義務」レベルの問題とし
ては意見を保留します。
「論評すること自体には問題はない」と私が考えるのは、democratさんがいうよう
に「反論権の有無は念頭にない」という次元での話です。しかし、私が問題とする反
論権云々はもともと「市民法上の権利義務」レベルでの話ではありません。
日本共産党には「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」(現行
党規約第5条)という内部規律があります。これ以前には別な文言で同趣旨(と中央が
解釈した)の規制があり、22回党大会前に、さざ波通信やJCPWに投稿した党員
が除籍処分にあい、また、さざ波通信に投稿していた党員が除籍された事件がありま
す。この事件は、当時さざ波通信やJCPWにアクセスしていた人なら知らない人は
いないでしょう。除籍の理由は反党活動や分派活動ではありません。たしか名目は
「内部問題の外部への持ち出し」ということだったと記憶しています。私が匿名でい
るのはこの制約があるからでもあります。公開される討論報で実名で意見を発表した
以上、「党の決定に反する意見」を公表することは日本共産党員であることと両立し
ないことは論を待ちません。このようなことは日本共産党員であればイロハのイで
す。私が「氏には反論権は保障されない」と言ったのはそういう意味です。現行規約
によるこの制約は最悪のものであり、最低限この条項だけでも撤廃すべきだと私は考
えますが、そのことと現行規約による制約の存在は別の問題です。
氏への批判投稿をした人が、日本共産党員ではなく、そのような内部規律の存在を
知らないとか、あるいはそのような内部規律に留意する必要はないとする立場の人で
あれば話は別ですが、日本共産党員であり、そういう内部規律の存在を知っておりな
がら、相変わらず氏への批判を続けるとすれば、それは「人間として卑怯だ」という
ことです。たとえば、日本共産党員がさざ波通信へ投稿する場合、この内部規律に照
らせば「等しく平等」というわけにはいかないのです。私のような内容の投稿は「党
の決定に反する意見」ですから処分の対象になるでしょう。かりにdemocratさんが党
員であったとしても、この人の意見は「党の決定に反する意見」ではないので処分の
対象にはならず、むしろ「表彰もの」かもしれません。
びっくりしましが、2月11日には綱領欄に10本の投稿がありました。この中で
democratさんがお答えになっていない投稿があります。「democratさんにお尋ねしま
す(TOMOKO)04/2/11」です。律儀なdemocratさんはときどき「ご指名ですの
で……」というレスを書かれます。この投稿もご指名なのですが、democratさんから
はまったく反応がありませんでした。理由は「答える必要がない」からでしょう。そ
れで結構です。にもかかわらずこれを問題として取り上げたのは、反論権云々で、こ
れが私の重要な論点になったからです。お答えになる必要はありませんが、democrat
さんが日本共産党員であるかないかを知っているのはご本人だけですから、もし、
democratさんが日本共産党員であるとすれば、「あなたが批判対象とされた学者党員
には反論権が保障されないということを承知で」、相も変わらず節度に欠ける批判を
していることになり、人間としてこれ以上「卑劣なやり方はない」とだけ申し上げて
おきましょう。節度を欠く批判はしたくありませんので言葉を選んだつもりですが、
私の最大級の批判であることをご理解いただきたい。
■ 批判の仕方も考えて 論評といっても批判性の強弱によるのであり、論評の対象になった人が反論をした くなるようなことがらを論評する場合には節度を持つことは当然のことであります。 その後のdemocratさんの投稿の中には、犬丸氏が公開討論報で述べた意見の内容に はおよそ関係のないことまで述べています。たとえば以下。
○ 彼は自らの知名度と知識人としての影響力を当然意識して、実名で綱領改定案に 対する意見を公表したはずです。(「本当にわからない人だ:S・Kさんへ (democrat)04/2/9」)
○ 犬丸氏はそうした実情を知っていてあえて党中央に対する抗議のために「自著の 出版を断念せざるを得ない」と言っているのでしょうが、私はとてもいやな感じがし ました。
もし彼が本気で、研究者党員は「党の決定に違反するものはだすべきではない」と 考えているのなら、その発言自体が学問研究の本来もつ進歩的・批判的性格を否定 し、学問研究を政治に従属させるものとして厳しく批判されるべきですね。(「大鷹さ ん2004/2/20」democrat)
① 「彼は自らの知名度と知識人としての影響力を当然意識して」。どうして
democratさんにそんな断定ができるのでしょう。democratさんの思い込みではありま
せんか。
② 「犬丸氏はそうした実情を知っていてあえて党中央に対する抗議のために」。ど
うしてこのような推測ができるのでしょうか。
③ 「その発言自体が学問研究の本来もつ進歩的・批判的性格を否定し、学問研究を
政治に従属させるものとして厳しく批判されるべきですね」。democratさんは不思議
な人ですね。共産党員であることと学問研究を両立させたいという氏の願望が公開討
論報から読みとれないのでしょうか。これもディベート技術の濫用「論理のすりか
え」です。
これらの①~③の判断は、私は、あまりにも独断的であり合理性が認められないの
ではないかと思います。私が犬丸氏ならばとうてい納得しがたいものがあります。こ
の程度のことはいくら言おうが、法律上何の問題もないのでしょうか。私が引用した
部分は「被批判者の人格」を傷つけることになりませんか。しかもdemocratさん自身
は匿名で書いているのです。
弁護士のdemocratさんが「公開言論空間」で書いているのですから、間違いないと
は思いますが、念のため、TOMOKOさんがこの投稿を見ていらっしゃったら、お
父さんに聞いてみてください。法田さんは1回限りとのことでしたからお願いできな
いでしょうから。
もし、法的には問題がないとしても、見方によってはたいへんな恣意、悪意を感じ
させるものとして受け取られかねないような文章をあえて書く必要はありません。ど
うしてもこの内容について語りたいのであれば、文章の書き方としてはいくらでも方
法はあります。私が引用した部分をもっと一般化して叙述することもできるはずだ
し、固有名詞を出すことなく討論することもできるはずです。