この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
『しんぶん赤旗』でも伝えられましたが、仏国民会議(日本の衆議院に相当)は、公立学校でのイスラム教女生徒のスカーフ着用を禁止する法律を左翼勢力を含む賛成494(反対36)の圧倒的多数で可決しました。『ロイター通信』や『赤旗』は、この背景に王権と結託した旧カトリック教会の権力と闘い続けたフランス革命以来の伝統が「非宗教的共和国」を宣言する憲法や厳格な政教分離法としてフランス社会に存在することを上げていますが、イラク戦争絶対反対の声が国民の8割を占める国の動向としても非常に注目されます。
現在、人口の1割弱がイスラム教国からの移民で占められているフランス社会の現状をみれば、今回の禁止法に国民の7割が賛成との報道も日本のような社会の右傾化や全体主義国家化とは一概に同一視するわけにいかないでしょう。
ここには、「表現の自由」や「信教の自由」さえも、社会的な合意に反省して取り扱われなければならないということが啓示されているように思います。わたしたちは、現在の社会の「言論の自由」や「批判の自由」も単純な民主主義理解によって絶対化してはならないということです。マルクスの「個人的所有の再建」が、たんに「生活手段の私有の保証」に貶められているような今回の『綱領』改定の現状と照らしても、将来法制化されるであろう「未来の自由」「共同社会における私権」について、考えさせられるところ多しというのがこの論争を拝見していての率直な感想です。
事態は、私的団体や社会の存立そのものへまでの問いを投げかけているようですから。
ついでに私見を記しておけば、現在党の准綱領的な位置づけを与えられている『自由と民主主義の宣言』の「生存の自由」についても、非常に胡散臭いものと感じています。
「生存の自由」とは「死(自殺)の自由」をも包含してしまうような概念だからです。
「信教の自由」が無宗教の自由をも認めているように(笑)