この討論欄は、第23回党大会に向けた、綱領改定案にかかわる問題を論じるコーナーです。
あなたの2月11日の投稿は、やや中途半端であるように感じます。
もちろん、ここでの天皇制問題に対する基本的スタンスが違うから致し方ない点はありますが、「犬丸氏に反論権は保障されない」と断言されるのはいかがなものか。
もちろん、私が最初に犬丸氏の発言にコメントしたときは反論権の有無ということは念頭になく、公的言論に対するごく普通の論評という意識で行ったわけですが、あえてS・K氏のように「犬丸氏に反論権があるのか」と言われれば、一般市民法上の問題として「反論権はある」と言わざるをえないでしょう。党員であるとか、党の決定に反することができないということはそもそもプライベートな領域の問題であって市民法上の権利義務に影響するものでないことは明らかです。
こう言うとあなたは、それは形式論であり「人間として卑怯である」というのかもしれません。しかし、「私は意見を公表するが(党員の立場という)個人的事情で反論は差し控える(「反論できない」ではありません)。にもかかわらず、あなたが私を批判するなら、人間として卑怯である」などという論理がどれだけ説得力があるでしょうか?
公的言論として自由に論評してよいのであれば、相手の立場を知ろうが知るまいが、それによって論評が「卑怯」になるなどということはないはずです。
もう一つ。犬丸氏のこの投稿について、私は「研究者には自由な研究と発表が不可欠」というあなたの感想とは全く違った感想を持ちました。
犬丸氏はこの投稿で、あえて「非君主制説が決まれば現在準備している天皇制についての著書を断念する」と述べています。
彼がこれまで民主集中制に対していかなる態度をとってきたのか私は知りませんが、少なくとも研究者が自らの研究成果を論文や著書として発表する場合には、積極的な反党攻撃に及ぶなどの場合でない限り党の見解と異なっても規約違反として問題にされることはありません。このことは研究者の間では常識に属することではないでしょうか。経済学や歴史学など、社会科学系の研究者党員はそうして自由に言論活動を行っているはずだし、今回の綱領改訂後も「君主制説」の人ががらりと自説を変更することはないでしょう。また、「ブルジョア君主制の一種」という61年綱領の下で、党員研究者が「非君主制説」を公表できなかったとも考えられません。
そうした事情を十分知っているはずの犬丸氏があえて民主集中制の規定をタテにとってこのようにいうことは全く理解に苦しむことであって、言わずもがなのことでしょう。党外の国民がこの投稿を見れば、党員研究者は党の決定や綱領に反した研究成果は公表できず、自己の学問的良心よりも党の指示や決定を優先するのかと感じるに違いありません。
この点についてあなたはどう考えますか?