この討論欄は、第24回党大会にかかわる問題全般を論じるコーナーです。
日本共産党は1922年7月、コミンテルン第4回大会
でコミンテルン日本支部と認められ発足した。
古本屋で下積みにされていた古書の中に、国民文庫で市川正
一著による「日本共産党闘争小史」があったので買って読み始
めている。
古本屋のオヤジによるとこのような変色著しい古本は、殆ど
店頭で販売される事なく廃棄の運命にあると言う。
今はやりの「BOOK・OF」では色があせるだけで価値な
しと判断され買い取られることもなく、そのまま廃棄の運命と
言うから、私のようにこれからも過去史を勉強したいと思うも
のにとって危機的状況ではある。
これも小泉構造改革路線の結果なのだろうか?
さてこの本は日本共産党発足時の指導者で、投獄されていた
市川正一氏が1931年7月「日本共産党事件」で逮捕され公
判中に「代表陳述」のひとつとして書かれたものである。
戦後、日本共産党書記長であった徳田球一と日本共産党アヂ・
プロ部の文書を補足する形で1954年4月発刊されている。
改憲の危機が迫る情勢の中、日本共産党の第24回党大会が
開催され、更なる路線的後退と統一戦線の放棄、そして議長退
陣のオマケまでつけて、展望と明るさのないまま終了した。
小泉政権の危機と行き詰まりが明確になる今、この絶好のチ
ャンスを生かさず、この国の伝統だった「左バネ」すら動かす
こともなく静かに終了したこの大会は、後日歴史の厳格な判定
によって厳しい判断を下されるだろう。
「あの時もっと闘う方針が出され、広範な統一戦線が呼びか
けられ、大衆的な結束が行動として提起されたなら憲法改悪は
されなかった」等と聞きたくはないものだ。
さてこの小史で気にかかったことを書き添える。
プロレタリア階級は資本主義社会の産物である。現在の日本 の社会は資本主義社会であり、資本主義の社会はブルジョワジ ーとプロレタリアート、この二階級の階級対立を根幹とする社 会である。ブルジョワジーは社会的な生産手段を私有独占し、 国家権力を掌握し、これによってプロレタリアートを搾取し隷 属させている。プロレタリアートは、社会の全ての富を生産す るにかかわらず、自分では労働力のほかなんら売るべきものを もたない。主人にして搾取者たるブルジョワジー、被搾取者に して賃金奴隷たるプロレタリアート、このあいいれない階級の 対立している社会が今日現にある日本の社会である。かくのご とき階級社会の根底的否定者、反対者、徹底的な革命的階級は すなわちプロレタリアートであって、資本主義社会を根底から 掘りくずす歴史的任務をもっているのである。したがつてプロ レタリアートは過去の階級ではなく未来の階級である。未来は プロレタリアートのものである。プロレタリアートの党たる共 産党は、ブルジョワジーのいっさいの支配の転覆、プロレタリ アートの独裁の樹立、社会主義の建設と言う歴史的偉業の指導 者である。それゆえに、共産党はプロレ・・・(文字化け )・・・。共産党がプロレタリアートの党たることはつ ぎのことを意味する。第一、人類の歴史おいて最後の階級社会 である資本主義社会そのもののなかにふかく根をおろしている ために、共産党は勝手気ままにつくったりこわしたりすること はできないものである。第二、共産党は労働者階級の前衛であ り、広範な労苦大衆のもっとも信頼すべき味方であるとともに 、ブルジョワ、地主らいっさいの搾取者の徹底的な敵であるこ と、第三、共産党はブルジョワジーの規律、現在国家の法律に 服従するものでなくこれに敵対するものであり、ただ国際的プ ロレタリアートの規律(略)にのみ服従し拘束されるものであ ること、すなわち共産党がブルジョワジーに対して非合法であ るのは、全くプロレタリア階級本来の性質であり、自国のブル ジョワジーに反抗して万国の労働者が団結することは、いずれ の国のプロレタリアートにとっても無条件の信条である。(序 論より抜粋)
(日本共産党中央委員会アヂ・プロ部のはしがきの一部)
共産党にたいしてますますたかまりつつある労働者、農民全体 の理解と信頼と支持とを極端に恐れるがゆえに、そのためにこ そ、常に逆宣伝と事実の虚構とで、党の面貌を描き出すことに 腐心している支配階級にとって、この党史は大きな鉄槌である 。と同時に、プロレタリアートとその党にとっは、真にひとつ の力である。
この党史は現在でも十分通用するものと思う、情勢はより厳
しい。
しかし、かつては獄中においてさえ、このようにきっぱりと
基本路線を明確に出来る共産党指導者が存在していたのである
。
これでも当時はスターリンの誤った指導が貫徹されていたし
、コミンテルンの一支部という拘束があった。
同じ歴史は繰り返されない、今の日本共産党指導部はこの小
史をどう読むだろうか?
「真のプロレタリアートの党」とはなんなのか聞いてみたい
ものだ。