2006年1月に共産党は24回大会を開催し、党首不破哲三氏
は議長から引退した。このことおよび氏の功績について、当サ
イトでも多々論じられている。しかし、共産党の21世紀初頭の
路線との関係で論じたものは少ない。そこで、私なりの感想を
述べる。皆様からのご批判を仰ぎたい。
(1)政治路線:社会民主主義 社会主義革命や前衛党の否定。
一方、氏の党首時代に、米日安保凍結(容認)、自衛隊活用論
、日の丸・君が代は法制化されていないので強制反対論(つま
り法制化すればよい)、石原都知事是々非々論、海上保安庁法
改正賛成と北朝鮮工作船との銃撃戦、象徴天皇制積極支持、消
費税は小幅増税容認などの、右傾の政治路線が明示された。
(2)運動路線:国政レベルでは自民ー公明連立与党の存在を前
提とした「確かな野党」路線。そのため、衆議院小選挙区全区
立候補戦術をとり、自民ー公明の当選に陰ながら寄与。他方、
「国政レベルでは共闘の条件無し」、と社民党等との対話を拒
否。不破氏が党首になって以後、他の政党との党首レベルの公
式会談がない。地方議会では、社会民主主義的な政策提示に徹
し、新自由主義的改革に切り捨てられる保守勢力の一部をひき
つけ、市町村合併ともあいまって、議席占有率が向上。大衆運
動では、共産党中心主義が続き、九条の会運動も迷走気味らし
い。
(3)理論活動:旧ソ連崩壊後の、共産党内で、理論を発展でき
る幹部の養成がなされなかった。また、党員が自ら学ぶ独習指
定図書も近年は明らかではない。不破氏の言説をまねることは
党内でかなり流行した。その一方で、外国の「共産党」政権へ
のいれこみは強く、北朝鮮・朝鮮総連と和解し中国共産党と理
論会議を開催するに至った。しかし、中国共産党との理論交流
の詳しい報告はまだなく、機関紙しんぶん赤旗での紹介は意外
なほど小さかった。
(4)組織運営:旧来の民主集中制を堅持。党機関紙読者、党員
数は減少の一途。また、中央委員で、労働者、労働運動経験者
、中小企業経営経験者の比率がひどく低くなった。「支部が主
役」といいつつ、支部間の交流は厳しく取り締まった。高齢化
および若年層からの参加者の減少傾向は止まっていない。
(5)技術革新:IT技術の進歩に否定的であり、当サイトのよう
に、IT技術を前提とした自由な意見交流に反応が乏しい。