日本共産党資料館

民主連合政府綱領についての日本共産党の提案 第一部

(『赤旗』一九七三年十一月二十二日)


 現在、日本国民の大多数は、支持政党や思想、信条のいかんにかかわりなく、国政の革新をつよく要求しはじめている。戦後二十八年のほとんどの期間、政権をにぎりつづけてきた保守党、自由民主党の政治のもとで、あらゆる分野で矛盾がはげしくなっているからである。
 日本の独立と安全の問題をみてみよう。わが国は日米安保条約によってアメリカ帝国主義にかたくしばりつけられ、朝鮮戦争、ベトナム侵略戦争の最大の拠点とされ、いま空母ミッドウェーの横須賀母港化など、核武装した第七艦隊の出撃拠点とされつつある。憲法違反の自衛隊の増強もすすみ、日本軍国主義の全面復活の危険が迫っている。
 国民生活も、深刻な問題にさらされている。対米従属の「日米経済協力」のもとで、大資本中心の「高度成長」政策がとられた結果、日本は経済「大国」となった反面、低賃金と劣悪な労働条件、低福祉が改善されないばかりか、異常な物価上昇と重税、土地と住宅問題、公害と自然破壊、都市問題、農業危機、食糧不安など、国民生活の悪化と国土の荒廃がすすんでいる。
 ところが自民党政府は、国民の希望にこたえて政治の転換にむかうどころか、逆に自民党の一党独裁の強化をねらった小選挙区制など、民主主義破壊の暴挙に訴えようとし、国民に挑戦している。
 こうしていま、国民的な緊急課題を解決する能力をすでに失った自民党政治を打破して、国民の利益をまもる新しい革新政治を実現するために、

  1. 日米軍事同盟と手を切り、日本の中立をはかる
  2. 大資本中心の政治を打破し、国民のいのちとくらしをまもる政治を実行する
  3. 軍国主義の全面復活・強化に反対し、議会の民主的運営と民主主義の確立をめざす

という革新三目標に賛成するすべての勢力が革新統一戦線を結成し、総選挙で多数を獲得して民主連合政府を樹立することがどうしても必要になっている。
 今日の情勢は、こうした革新統一戦線の結成をますます緊急のものとしている。革新三目標については、すでに今日、多くの革新勢力のあいだで客観的な一致が生まれている。各種の世論調査にあらわれているように、国民の大多数が平和、中立、民主、生活向上の方向への政治の転換を切実に求めていること、またすでに革新地方政治のもとに、わが国の総人口の三分の一をこす三千七百万人が生活している事実がしめすように、その客観的条件は熟しつつある。
 民主連合政府とは、現行憲法のもとで、革新三目標、すなわち日本の主権と安全、平和・中立、政治的民主主義と経済的民主主義という、現段階における国民的目標の実現をめざす、国民生活防衛と民主的改革の政府である。この政府は、革新統一戦線を構成する諸政党と政治勢力が一致して作成する共同綱領にもとづき、一致して承認する国民的諸政策のみを実行するであろう。
 革新統一戦線と民主連合政府は、議会制民主主義の諸原則をまもって国政の革新をすすめ、国会でいっそう安定した多数を獲得して、共同綱領を完全に実現することをめざす。同時に、いうまでもなく総選挙による国民の審判を尊重し、万一国民多数の支持を失うような場合には当然政権を交代して、野党としてさらにあらたな努力をつづける。
 「民主連合政府綱領についての日本共産党の提案」は、自民党政府にかわる新しい政府が実行すべき内外政策をしめした共同綱領案である。
 この共同綱領案が実行されれば、日本は、戦後ずっとしばりつけられていたアメリカ帝国主義の軍事的くびきから解放された平和、中立の日本となり、戦争と侵略のとりでから、アジアの平和をまもるとりでに変わることができるだろう。国民のいのちとくらしと営業はまもられ、大企業中心の「高度成長」でなく、日本経済のつりあいのとれた発展があらわれることになるだろう。憲法の平和的、民主的条項はその生命をとりもどし、国民の自由と民主主義的権利の保障が確立されるだろう。
 革新三目標にもとづく共同綱領を実行する民主連合政府こそ、国政革新を求める国民多数の希望にこたえ、平和、中立、民主、生活向上の新しい日本への道をすすむことのできる唯一の政府なのである。

第一部 日米軍事同盟と手を切り、日本の平和・中立化で安全を保障する

 民主連合政府の対外政策の基本は、なによりもまず、主権の回復と平和と安全の確保におかれる。すなわち、日本をアメリカ帝国主義のアジア侵略のための最大の策源地にかえ、日本の主権をおかし、日本国民の生活と権利を圧迫してきた日米安保条約を廃棄して日米軍事同盟を解消し、いかなる軍事同盟にもはいらない平和・中立の国として、自主外交をすすめ、すべての国と平和五原則にもとづく外交関係をむすぶ。
 同時に、民主連合政府は、国際紛争を解決する手段として戦争と武力行使を放棄した憲法第九条をまもり、憲法違反の自衛隊増強の中止をはじめ、軍国主義の復活・強化を阻止するための必要な措置をとる。
 これらの措置は、自民党政府の対米追随、日米安保条約堅持、自衛隊増強の政策の根本的な転換であると同時に、明治以来の日本資本主義の進路と日本の国際的な地位の、歴史的な転換の開始を意味している。日本の平和・中立化は、七割近い国民が表明している中立の希望にこたえるものであり、日本の平和と安全、日本の真の独立をもっとも確実に保障する道である。そして平和・中立日本の実現は、アジアの情勢を大きく変え、日本は歴史上はじめて、アジアの真の平和と諸国民の独立の達成に、大きく寄与することができるようになる。

 第一章 日米安保条約廃棄と中立化

 一 日米安保条約の対米廃棄通告

 民主連合政府は、日米安保条約第十条第二項の規定にもとづき、国会の承認をえて、アメリカ政府にたいし、日米安保条約を終了させる意思を通告する。この通告は適法なものであり、アメリカ政府がこれを拒否するいかなる国際法上の根拠もない。日米安保条約はこの通告後、条約の規定どおり一年後に終了する。
 日米安保条約廃棄と同時に、基地提供をはじめ米軍に特権をあたえた「米軍地位協定」、日本の「自衛力」増強と対米軍事協力を義務づけた「日米相互援助協定」(MSA協定)など、日米安保条約に関連する諸協定をすべて廃棄する。
 国際法に違反し、不当な口実をもうけて日本に米軍をいすわらせようとするいっさいの策謀を許さず、不法行為にたいしては、国民の支持と国際世論の支持のもとに強力な対米交渉をおこない、安保条約終了の完全履行をかちとる。

 二 米軍基地撤去とその平和利用

 安保条約廃棄通告にもとづき、百五十八ヵ所(一九七三年六月三十日現在)の在日米軍基地の全面撤去、六万四千人の米軍の全面撤退の具体的な段どりについてアメリカ政府と交渉し、一年以内に実現する。
 米軍基地の跡地・施設は、自衛隊はもちろん大企業本位の利用を許さず、住民の生活向上と環境改善のために平和的に利用する。
 米軍基地撤去にともなう駐留軍労働者の転職の保障、生活安定をはじめ、基地撤去による打撃をうける中小企業、商店の経営を保障するために必要な措置をとる。
 基地によってゆがめられた地域経済の復興などの計画立案のために、基地所在市町村および都道府県に「特別復興計画協議会」をつくる。国の特別復興計画は、こうした計画を尊重し、そのつみ重ねのうえにつくる。

 三 中立法制定と中立の国際的保障

 日米軍事同盟を打破した日本は、いかなる軍事同盟にも参加せず、いかなる外国の軍隊の駐留、軍事基地の設定をも許さず、戦時と非戦時を問わず軍事的中立をまもることなどを規定した中立法を国会で制定し、平和・中立国家としてすすむ決意を内外にあきらかにした中立宣言を採択し、発表する。同時に、外国軍隊の日本駐留を許すことを規定したサンフランシスコ「平和」条約第六条の当該条項の廃棄を関係各国に通告する。
 民主連合政府は、国際法上の中立国家としての地位を確立するため、国会で採択した中立宣言を世界各国に送付し、その承認と尊重を要請する。また、日本に隣接する諸国をはじめアメリカ、中国、ソ連など関係諸国との個別の不可侵条約、中立条約、アメリカ、中国、ソ連をふくむ関係諸国全体の国際条約の締結など、日本の平和・中立にたいする有効な国際的保障をかちとるよう努力する。
 平和・中立国家として非同盟諸国会議に参加し、反帝・平和の連帯を強化する。

 第二章 平和五原則にもとづく自主・平和外交

 民主連合政府は、領土主権の相互尊重、相互不可侵、内政不干渉、平等・互恵、平和共存の「平和五原則」にもとづき、社会体制の相違を問わず、世界のすべての国、すべての国民と平和関係を確保し、友好関係を発展させる。自国の主権と安全をきびしくまもるとともに、諸民族の民族自決を支持し、独立と主権、自由と平和のためにたたからすべての国および国民と連帯して、アジアと世界の平和・諸民族の独立のために奮闘する。

 一 対等・平等の日米関係の確立

 日米安保条約の解消とともに、平和五原則にもとづいて、対等・平等の日米関係の確立、アメリカ国民との友好をはかる。
 日本経済の従属・依存構造を改革し、日米間の平等・互恵の経済交流を発展させる。

 二 千島問題の解決

 日本の平和・中立化をはかるとともに、ソ連と話しあって千島列島の返還のために努力する。千島列島を放棄したサンフランシスコ条約第二条C項については、千島列島の部分の廃棄を関係各国に通告する。日ソ平和条約が民主連合政府樹立までに締結されていなかった場合には、日ソ平和条約を締結して、ハボマイ、シコタン、千島列島の返還をはかる。
 領土問題解決以前にも、勤労漁民の安全操業を確保するために、日ソ漁業協定をむすぶ。

 三 アジアの平和をめざして

 ベトナム協定、ラオス協定などインドシナにかんする諸協定を尊重し、ベトナム、ラオス、カンボジア三国の平和、統一、独立の実現を支持する。ベトナム民主共和国と平等・互恵の経済・文化交流を発展させ、その復興計画を援助する。南ベトナム共和臨時革命政府と通商、貿易など外交関係を樹立する。
 アジアでただ一つのこった国交未回復の社会主義国である朝鮮民主主義人民共和国と国交を樹立し、平等・互恵の経済・文化交流、日朝両国民の友好関係の発展をはかる。朴政権を「朝鮮にある唯一の合法的な政府」とした「日韓条約」を廃棄する。南朝鮮からの全米軍撤退を要求し、朝鮮人民自身による自主的・平和的統一を支持する。朝鮮にかんする不当な国連決議の廃棄を要求し、朝鮮問題討議のために国連総会への朝鮮民主主義人民共和国代表の無条件招請を支持する。在日朝鮮人の生活、教育、権利を保障し、自由な帰国を援助する。
 平和五原則にもとづく諸協定をむすんで、日本と中華人民共和国間の経済・文化交流を発展させる。自民党政府が台湾の政権とむすんだいっさいの軍事関係をなくす。日本の民主運動にたいする干渉をやめることなど、内政不干渉の原則の厳守を求める。
 アメリカ帝国主義のアジア支配政策とむすびついた帝国主義的な「経済援助」や資本進出をやめて、アジアの発展途上国にたいし、自主的、民主的、平和的な経済・技術協力をすすめる。  アジアのすべての軍事同盟の解消、米軍撤退をめざす諸国民の要求を支持する。

 四 世界各国との対等・平等の友好関係の確立

 すべての資本主義諸国と、対等・平等の友好関係をすすめ、文化・経済・科学技術の交流を発展させる。ただし、クーデターによる軍事独裁政権、ファシズム政権などとの関係は個別に検討する。
 すべての社会主義諸国とも平和五原則にもとづく友好関係をすすめ、文化・経済・科学技術の交流を発展させる。適切な条件のもとでは、必要な経済協力もおこなう。
 事実上、NATO(北大西洋条約機構)と日本をむすびつけようとするキッシンジャー構想(新大西洋憲章)に反対し、NATOとワルシャワ条約機構を解消して、ヨーロッパ集団安全保障体制をめざす諸国民のたたかいを支持する。
 アメリカを先頭とする帝国主義諸国の新旧植民地主義に反対し、アジア、中東、アフリカ、ラテンアメリカなど諸民族の民族自決、経済的自立をめざすたたかいを支持する。

 五 国連での活動

 国連が、国連憲章にうたわれた「国際の平和及び安全を維持する」ための国際機構という本来の目標にそくした機能をはたさせるよう、積極的に努力する。

 第三章 安全保障と自衛隊政策

 日本の安全をおびやかしているものは、アジアの第三国からの侵略の危険などではけっしてなく、日本をアメリカ帝国主義の侵略政策にかたくしばりつけている日米軍事同盟であり、そのもとでの日本軍国主義の復活強化である。日米軍事同盟の解体と、いかなる侵略戦争にも加担しない日本の中立化は、日本の独立と安全のもっとも有効な保障となるだろう。
 平和、中立の日本は、当然、民族の主権と安全をまもる自衛権をもっている。しかし、戦争放棄、戦力不保持を定めた憲法第九条により、現憲法下では国は軍隊をもつことを禁止されているので、民主連合政府は、憲法第九条をあくまで厳守することを基本とする。
 干渉と侵略の危険にたいしては、国民の団結と、それに支えられた政府のき然たる態度、中立の国際的保障に依拠して、国の独立と安全をまもりぬかなければならない。
 そして民主連合政府は、真に日本の安全をまもるためにも、アジアにおける真の集団安全保障体制の確立、さらに根本的には全世界的な集団安全保障体制の確立をめざして、積極的に奮闘する。

 一 自衛隊政策

 今日、自衛隊は陸海空三軍二十六万、社会主義国をのぞくアジア諸国中第一位をしめる強力な軍隊に成長した。この自衛隊は第一に、その装備、編成、用兵、訓練、教育のすべての面からあきらかなように、米太平洋軍の補完的部隊としての役割をおわされた対米従属の軍隊であり、第二に、長沼裁判が糾弾したように、憲法九条に違反した違憲の軍隊であり、第三に、「間接侵略対処」、「治安維持」と称して民主的な運動の弾圧にもつかわれようとする国民抑圧の軍隊である。しかも、四次防にみるように、対米従属のもとで日本軍国主義の復活強化を推進し、アジアの平和と日本の安全をおびやかす、きわめて危険な存在として増強されている。
 民主連合政府は、なによりもまず、当面、革新統一戦線として一致できる範囲で、日本軍国主義の復活を阻止する効果的な措置をとる。そして国民世論が成熟し、統一戦線を構成する政党間の一致がえられた場合、憲法の規定にもとづく自衛隊解散を実現できるようにすべきである。

 軍国主義復活を阻止する当面の措置

 日米安保条約廃棄にともなう措置の一環として、いっさいの日米軍事とりきめを破棄し、いっさいの日米両政府間の軍事協議機関を廃止する。自衛隊と米軍との協議、連絡、交流、共同演習などいっさいの関係もうちきる。膨大な日米間の秘密軍事とりきめと、自衛隊の米軍支援・「治安出動」などの各種作戦計画の内容はすべて国民に公表する。
 四次防計画は中止し、年間一兆円に達する「防衛」予算を大幅に削減する。新規装備や増員、基地の新・増設計画をやめることはもとより、自衛隊の縮減と基地の縮小をおこなう。スパイ基地・情報部隊などを廃止する。沖縄派遣自衛隊は撤退させる。転職希望者にたいしては、政府が責任をもって平和産業や官公庁への転職を保障する。
 隊内においていっさいの軍国主義的、反動教育を禁止し、憲法にもとづく民主的代議制度への忠誠心をもつよう隊員を再教育する。隊員の思想、信条、政治活動の自由、基本的人権を保障する。
 三菱グループをはじめいっさいの軍事産業と防衛庁、自衛隊との癒着にメスをいれ、軍事産業の暴利をおさえる措置をとる。

 統一戦線として一致した場合の自衛隊解散

 防衛庁設置法、自衛隊法を廃止し、違憲の自衛隊をすべて解散させる。  転職を希望するすべての隊員にたいし、階級、地位のいかんにかかわらず、平和産業や官公庁への転職を政府として保障する。退職金は全額支給することはもちろん、官公庁、自治体、企業側の万全の受け入れ態勢を法制化する。

 二 中立日本の安全保障

 民主連合政府は、憲法第九条の平和条項をまもり、①反帝平和、民族自決の擁護の立場にたった平和政策の積極的推進、②独立・中立を擁護する国民の決意と政治的団結の強化、③中立日本の国際的保障をおもな手段として、どのような国からのものであっても、外国からの圧迫や干渉、中立の侵犯、領土主権の侵害、侵略の危険に対処してこれを防止し、日本の主権と平和、中立をまもる。

 三 核兵器の完全禁止

 広島、長崎、ビキニと、三度原水爆の被害をうけた、世界で唯一の被爆国の政府として、民主連合政府は、核戦争阻止、核兵器禁止をめざす運動の先頭にたって奮闘する。
 核兵器を持たず、つくらず、持ちこまさずの「非核三原則」をきびしくまもり、核兵器および核運搬手段のいっさいの使用、実験、製造、貯蔵と、外国からのあらゆる形のもちこみと通過を禁止する「核兵器禁止法」を制定する。
 日米安保条約終了以前でも、「核兵器禁止法」にもとづき、核兵器の有無について米軍基地立ち入りなど厳重な調査をおこない、核兵器と核運搬手段の完全撤去を実現する。核攻撃空母ミッドウェーをはじめ、原子力潜水艦、原子力空母、核攻撃機、原子砲などの日本への配備、寄港、駐留を許さず、即時撤去させる。
 核兵器完全禁止の国際協定の締結を求め、世界の核兵器開発と核軍拡競争の悪循環そのものに終止符を打つようはたらきかける。五つの核保有国がすべての核実験をやめ、核開発競争を停止することを求める。
 国家補償の立場をつらぬいた原子爆弾被爆者等援護法を制定し、被爆者の医療と生活の全面的な保障をおこなう。
 原子力の平和利用については、原子力基本法にもとづき、平和と安全のための「自主、民主、公開」の平和利用三原則をきびしくまもる。濃縮ウランをはじめプルトニウムなどの核物質をきびしい国家管理のもとにおき、その保有量と使途をすべて公表させる。

 四 真の集団安全保障体制の確立

 自民党政府は、これまで日米軍事同盟を集団安全保障であるといいくるめてきたが、本来、仮想敵国をもつ軍事同盟は、集団安全保障体制とはまったく別のものであり、外国軍を常駐させ、その侵略の拠点となるような日米安保条約にいたっては、集団安全保障とまっこうから対立するものである。真の集団安全保障体制とは、いっさいの軍事同盟を解体してつくられるものであり、仮想敵国をもたず、いっさいの外国軍隊の基地を許さず、社会体制のことなる諸国をもふくむすべての関係諸国が参加して、相互に侵略や干渉を抑制しあい、安全を保障しあう体制である。国連憲章が理想としてめざしているのもこの集団安全保障体制である。
 恒久平和のために、社会体制のいかんを問わず、世界のすべての国が参加する国際的集団安全保障体制の確立をめざす。さしあたり、アジア・太平洋地域、ヨーロッパなど、地域的な集団安全保障体制の確立をめざす。
 国連憲章第五十一条の個別的、集団的自衛権にもとづくとされるもの、あるいは同百七条の旧敵国条項にもとづくものとを問わず、すべての軍事同盟を解消するために努力する。
 核兵器および通常兵器をふくむ全般的軍縮協定を締結する。そのために五つの核保有国をはじめ、すべての国の政府が参加する世界軍縮会議をひらくことを、全世界によびかける。

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