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「北朝鮮問題」討論欄

■北朝鮮問題から見えてきた日本共産党5

2003/10/26 がんばれない共産党員、50代、労働者

■北朝鮮問題から見えてきた日本共産党5

 さざ波通信の一部の人には、私がまるで右翼のように思われているようですが、決してそうではありません。私は今も共産党員であり、党費も納めビラ配りやいろんな活動にも消極的ではありますが参加しています。

 なにせ、私の周りは共産党員がほとんどで、もし私が共産党の方針を批判(決して中傷ではありません)をすれば、多くの友達を失ってしまうことになりかねないのです。私の妻も、その友達もほとんど共産党員です。

 北朝鮮問題で妻と口論をすることもしばしば有りますが、最後に出てくることは「そんなに嫌なら共産党を辞めたらどう?」です。聞く耳を持たないとはこういうことなのでしょうか。わたしは共産党を辞めるつもりも、非難するつもりも有りません。ただ、北朝鮮問題、拉致問題、人権問題での共産党の消極的な態度が納得できないだけです。

 私は、労働組合の幹部をしていますが、アメリカ、イスラエルの横暴に対し怒りを持って活動しています。組合員にもアメリカのイラク侵略戦争に反対しようと毎日、ニュースの発行や壁新聞を作り、また森住卓氏らの写真展の呼びかなども進んでやってきました。連日のデモへの参加を多くの若者に訴えてもきました。私の家族にもデモへの参加や分かりやすい書物も読んで欲しいと訴えてきました。
 そして、ブッシュやネオコンに対しても、ありとあらゆる書籍をむさぼり読みました。決して北朝鮮問題だけに心をとらわれているわけでは有りません。

 ところで、ヨーロッパでは数十万のイラク戦争反対のデモが数回行われましたが、日本ではせいぜい1万人位の集会しか起こりませんでした。私は業を煮やす毎日でした。日本では大きな戦いを組織できなかったのです。
 私の周りには日本共産党員が一杯いますが、上からの支持が無い限り自ら運動を作り出すことはしませんでした。イラク戦争に反対するのは分かっていても、頭では理解しているが心と体で理解できてないように思われました。上から言われないと足が出ないのです。「何月何日、いつどこでデモをするぞ!」と言われれば動き出すのです。そして、それから組合などの下部に号令をかけるのです。でも下部はビクとも動きませんでした。心がこもっていないのです。熱くはなっていないのです。

 今回のイラク戦争では、日本共産党員とは全く関係の無い一般市民が私たちの知らないところで毎週デモをしていたり、アメリカ大使館に数十名のデモを繰り返していたのです。わたしの組合員の中にもそういうNGOに参加し、デモに参加していた若者が2人ほどおりました。共産党員の組合役員たちはびっくりし「わースゴイ」喜んでいました。

 私も役員である以上、全労連や、安保破棄実行委員会のデモには全て参加しましたが、正直いって、ここに一般大衆が参加することは難しいだろうと思います。なんというか、感覚がずれているのです。20年前、30年前のデモの姿がそこにありました。こんなことでは共産党員と熱烈な支持者、または、いやいや動員された諸団体の構成員しか入れない、通りからデモを見ているサラリーマン・OLが「私も参加したい」とは決して思わないでしょう。

 ヨーロッパのデモはみんな自分の意思で参加しています。その結果50万以上の結集が出来たのです。決して日本のような動員ではないのです。しかし、その裏には労働組合の周到な準備があったのです。労働組合と、未組織労働者、学生、高校生にも呼びかけているのです。

 今回のイラク戦争では日本の多くの若者も真面目な反応を示してくれました。その力を日本共産党は結集できなかったように私は思っています。たとえば、テレビで「何月何日どこどこのデモに参加しよう」とか、インターネットでデモの呼びかけ、携帯メールを活用すれば、多くの若者は参加したのではないでしょうか。一般の人にとって、組合旗や諸団体のぼりなどは、それだけで「私たちとは違う世界の人」と思われてしまうでしょう。
 なんともはや、感覚がずれているのだとしか思われません。魅力が無いのです。鮮度が足りないのです。従来の組織だけを頼りに運動していては、多くの人には訴えられません。

 そういう意味で北朝鮮問題もまさに「現在の問題」なのだと思います。日本人の多くの人には、北朝鮮問題を棚上げするような行為はもう許さないでしょう。過去がどうあれ、国家主権の侵害、基本的人権の侵害と見るでしょう。

 北朝鮮問題は、日本共産党ののど元に引っかかった小骨だと思います。この問題を無視すれば、大きな禍根を残すことになると私は思っています。拉致被害者、北に渡った日本人妻(夫)や在日韓国・朝鮮人帰国者問題は100%日本の問題です。この問題をとりあげないことは、人権無視をしていると言われても仕方が有りません。私にはそう思われます。なぜ、この人権問題で戦わないのか! と。

 最近、私は日本の中の人権擁護の認識の弱さを痛感しています(それは、日本共産党も含めてのことですが)。大企業の中には思想信条の自由が存在することは有り得ないし、ここで多くの日本共産党員が戦ってきたし今も戦っています。
 しかし、パート、アルバイト、派遣労働者の擁護のために日本共産党はどれだけ戦ってきたのかと言われると、困ってしまうのです。
 正直言って、私の参加している労働組合は、パート、アルバイト、派遣労働者を本当に組織しようとは思っていません。口では未組織労働者を組織しよう! と言っていますが、実際それをすると経営側と全面対決になるし、企業の存続にも影響します。結局企業の枠から出られないのです。ここに企業別労働組合の弊害が出てきているのだと思います。

 これらの矛盾が最大限に現われているのが、ホームレスであり、パート・アルバイト・派遣労働者、フリーター問題です。

 そのなかでも一番の被害者は過労死・過労自殺を受けた人たちだと思います。彼らは今でこそ共産党や全労連の力を受けることが出来るようになりましたが、20年近く孤独に戦ってこられました。だから今も、共産党や労働組合に対して快く思っていない人が沢山おられます。なぜかと言うと「彼らは助けてくれなかった」の一言に尽きます。

 私は、日本人と日本に住む外国人も含めた1人1人の人権を守れるような日本共産党でなければ、大きな支持を得られないと思います。北朝鮮問題は、日本人妻、在日、韓国・朝鮮人の人権を守っていくことだと思います。