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「北朝鮮問題」討論欄

がんばれない共産党員さんへ。食料援助について

2003/10/30 ウナギ犬、30代

 こちらこそ返事が遅くなってしまい、申し訳ありません。
 最近パソコンがウイルスに感染したのか、なかなか起動がしづらくなっています。
 これからも度々、返事が遅れることもあるかもしれませんが、必ず返事して行こうと思います。

 食料支援について。
 まず、私の立場を言っておきますと、やはり北朝鮮に対する食糧援助をストップするのには反対です。
 がんばれない共産党員さんの仰られてる飢餓の状況については、私が報道で知っている事とも符号するので、おそらく間違いないと思います。
 しかし食糧援助を停止して現政権を倒すのには、非常に高い危険と、大きすぎる犠牲を伴うだろう、と私は考えています。
 軍事力の暴発の危険性などはこれまで話してきたので、今回は犠牲の部分について書いて行こうと思います。 

 私は、がんばれない共産党員さんには、北朝鮮がかつての日本と同じく、厳しい思想統制を行っていることに留意してほしいと考えています。

韓国に脱出した脱北者、姜哲煥(カンチョルファン)さん(現在35歳の朝鮮日報の記者で、10才から19才まで強制収用所に収監さていた在日の孫)は、「この時期の国際支援が無かったら金正日政権は内部崩壊をしていた。この政権を延命させたのは、金大中であり、日本であり、クリントン政権だ」と言っています。わたしもそう思っています。それぐらい金正日政権は国民的信用は無いのだと思います。2500万人の人口のうち、300万人を見殺しにした政権にだれが支持をするのでしょうか。支持するのは一部の金正日一派の特権階級だけでしょう。 (10月24日付投稿文より)

 この文章からは、北朝鮮の情報鎖国と思想統制を軽視しているような印象を受けました。

 カンチョルファンという人は新聞記者だったようなので別かもしれないですが、現在北朝鮮に暮らしている人々のどれほどが、「この時期の国際支援が無かったら金正日政権は内部崩壊をしていた」という認識を抱いているのでしょうか。
 おそらくほとんどの人が、どの国から食糧援助を受けているのかさえ、知らないのではないでしょうか。
 そういう状況で援助をストップして、どれほど国民の革命気運が高まるのでしょうか。

 私ははなはだ疑問であると考えています。

 この大量餓死者を生んだ時期に、北朝鮮国内で大規模な民衆蜂起や一揆が起こったという話は聞きません。
 それは、政権側の抑圧が、民衆側の圧力を大きく上回った事を意味しているのだと思います。
 北朝鮮が内部崩壊するということは、このバランスが逆転しないと成り立たないでしょう。
 しかし、思想統制が徹底されている今の状況で、このバランスを逆転するのは非常に困難だろうと思います。
 そもそも民衆側の圧力が、情報鎖国と思想統制によって弱められているだろうからです。
 それは、戦時中の日本で、追い詰められた日本人に革命気運が高まらなかった状況と、重なるのではないでしょうか。

 戦時中の日本では、国民は現在の北朝鮮に劣らない犠牲を払ったと思いますが、それでも革命の気運は国民の間には高まりませんでした。
 完全に制空権が奪われ都市が焼け野原にされても、特攻兵器で命を散らす事を要求されても、あるいは原爆を落とされてもなお、「政府は降伏しろ」という国民の声は上がりませんでした。
 今の北朝鮮国民は、どれだけ追い詰められれば革命へと転ずるのでしょうか。

 「支持するのは一部の金正日一派の特権階級だけでしょう」とありますが、がんばれない共産党員さんは、戦時中の軍国少年の気持ちをどうお考えでしょうか。
 私は、それほど北朝鮮国内で、国家や金正日に対する忠誠心が低いとは思えないのですが…
 私は、情報鎖国と思想統制が徹底されてる状況下で、北朝鮮を兵糧攻めにすることには、やはり反対です。
 きっと、がんばれない共産党員さんが考えているより、はるかに多い犠牲を払うことになると思います。

 援助ストップに至った時、北朝鮮の外側にいる我々は「何故ストップされたのか」を知っています。
 しかし北朝鮮国民は何が起きているのかも知らされず、餓死という現実に直面するだけでしょう。
 「今の政府を倒さなくては駄目だ」という結論に北朝鮮国民が至るまでに、どれだけの犠牲を払わなくてはならないのでしょうか。

 私は兵糧攻めで政権打倒することより、経済を開放させて、情報鎖国と思想統制を緩めてゆく方が、より多くの北朝鮮国民を救うことになると思います。
 万景望号については、次回に書いてゆこうと思います。