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「北朝鮮問題」討論欄

今だからこそ、日朝交流をーー

2003/11/4 長壁満子、40代、金融

 キム様、こんにちわ。
 私は、一月からこのさざ波に参加している新米の共産党員です。共産党のことはさ ほど分からず、、従って、このさざ波の多くの先輩党員のような、歴史も関わりも皆 無に近い、共産シンパ程度の身分といっていいかもしれません。
 しがらみを感じない分、素朴に思う疑問や質問を、党中央にも最初からぶつけて、 現在にたっています。5年ほどまえには、小学生の息子は、武道館で不破委員長(当 時)に直訴し、握手したこともあります(笑い)。
 さて、北朝鮮問題ですが、私は、多くの日本人と同様に、日朝の歴史も知らず、脳 天気なまま、今日まできました。
 頭の中には、在日という言葉、尊敬する辛好玉さんの存在を意識しながら、何故か、 直接的な思考パイプというものがありませんでした。
 ですが、昨年、9・17日、拉致帰国者が「里帰り」して以来、私を取り巻く「北 朝鮮報道」に五感が反応しました。洪水のようにあふれる情報のなかで、みながみな、 ある一色に染め上げられていくのを見て、私の中にとてつもない違和感と、恐怖が起 き上がりました。
 そこで、「人権と報道」や「ジャーナリスト会議]の集会をはじめとして、いくつ か、勉強会にでかけました。
 ある集会で、パネラーの学生さんが、開口一番、今回のキムさんと同じように、 「拉致事件」について、謝罪されました。私は、「謝る必要はないのでは」といいま した。その学生さんが拉致したわけではないのに、どうして、祖国の代表のように、 謝罪する必要があるのでしょうか。むしろ、これをきっかけに、チョゴリをひきさか れたり、意志を投げつけられたり、汚物や動物の死骸を玄関前におかれたり、爆弾を しかけられたり、汚い言葉でテロ攻撃にあう最中、謝らなければならないのは、私達 日本人です。そんな、私の発言に会場からも、賛同の意見が多かったと思います。  それで、私は、今回も、その気持ちから、パソコンにむかったのですが、ここまで きて、考えが変わりました。
 もう一つのエピソードを紹介します。
 私は、3月、ある市議選候補者(無所属)を応援しました。共産党員の身で他候補 を支持するからには、それなりの理由があってのことでした。
 ここさざ波でも、意見がわかれていますが、基本は共産党候補を応援し、共産党を 内実ともに大きくすることだと思っています。批判もそのためであり、「選挙協力」 といった側面から多くの方が主張されていますが、これは、私は二次的なものと考え ています。
 ただ、共産党の候補といえども、当人の理念・熱意・人となりを納得できなければ、 積極的に支持はできません。
 当時から私は、何よりも、戦争・イラク戦争に意識が集中しており、戦争の根源= 差別に視点をもった人として、共産党候補ではなくその無所属の候補を応援したので した。結果は善戦にとどまりました。
 その後、彼とは、在日支援情報、交流会などの案内などあり、数人にも案内したり といった、交流があったのです。大学職員時代から留学生支援を通じて、日本のなか にある差別問題に体当たりで取り組んでこられたかたでした。
 そんな彼に私は、さざ波を紹介し、できれば、参加してほしい旨つたえました。  ところが、最近、私の再度の誘いに、「長壁さんは、そんな差別だらけの掲示板に、 弱い立場にある在日の人をさらし者にしたいのか」と、怒られてしまったのです。私 の言い方もよくなかったのでしょうが、私のメールも、印刷し、何点か読んでもらっ ており、私の考え・姿勢は理解していただけていると、勝手に思っていたものですか ら、酷く、衝撃をうけました。
 同時に、私のなかには、日々、情勢が悪化していくなかで、「在日の方々も連帯し てくれなかったら、この排外主義はとめようがないのに」といった、焦りが先行して いたことを認めないわけにはいきません。
 そこで、キムさん、私は、あなたに、改めて、申し上げたいと思います。
 キムさん、私達の祖父母・親等が、あなた方のご両親・祖父母・家族に言葉にはと うていできないような、むごい仕打ちをし、今もなお、その生傷に苦しんでいるかた がたにおいうちをかけるような非人間的な行為をし続けていることを、深く、深く、 謝罪します。
 個人としては、より、無知の上にあぐらをかき、鈍感・傲慢な日本政府・日本の政 治家たちを変えられない、私達有権者のふがいなさをお詫びもうしあげたいとおもい ます。
 ここさざ波でも、多くの方々がそうした思いを共有しているとおもいます。
 ただ、日朝の関係は歪みをかかえたまま、閉ざされ、互いの理解は遠ざけられた状 況でした。被害国と加害国の違い・その溝を埋める手段もないまま、今回の拉致事件 でした。
 私達日本人は、これまでのシカト状態から、この拉致という窓を唯一のめがねにし て、北朝鮮を語り始めました。朝鮮占領も、50年前の朝鮮戦争も知らないフリをす る私達が、北朝鮮の拉致だけは日本列島一色の総意になりました。
 おぞましい事件の首謀者、金正日。金政権の支配する異常な北朝鮮というレッテル は、厚く、しっかりと貼られています。あろうことか、それが、国策であるというこ とも、認識せず、戦争戦略に易々と加担します。
 今、日本は、一億総興奮状態にあるのだとおもいます。人心の荒廃、生活の破壊、 いままでの自民党政権の実体が見事にメッキがはがれ、にもかかわらず、本質に目を 向ける代わりに、亜流自民党の菅製砒素入りソフトクリームに一時の喉の渇きを癒す、 そんなところでしょうか。
 キムさんは、とても、冷静で聡明な方であろうと思います。どうか、私達のしらな い北朝鮮の素顔、北朝鮮の国のありのまま、金正日の人となりをつたえてください。 当事者からみた朝日の歴史、在日の方々の本音を語ってください。わたし自身の認識 も、キムさんによって、修正されることでしょう。本当にわたしたち日本人は、隣国 朝鮮半島の理解があまりに、薄いです。
 最終行に書かれた、韓国の友人の方の「今の日本の北朝鮮報道は30年前の韓国」 は、日朝の歪み、そして、戦争に連なる真実を物語っていると思います。
 愚等虫さんのー若き者たちへーは、私たちは今こそ、真実をかたりはじめなければ・ ・というメッセージとうけとりました。拉致という行為をひとつの教訓にして、根源・ 背景・歴史をいまこそ、公正に語り合っていかなければならないとおもいます。  ともあれ、さざ波においでくださって、ありがとうございました。今後とも、よろ しくお願いいたします。