11月2日付のがんばれない共産党員さんの投稿文ですが、私の「情報鎖国・思想統制を軽視していませんか」という問いには、あまり納得ゆく説明はなかったように思います。
なので、そこの部分をもっと掘り下げて話していこうと思います。
まず、また事実確認しておきたいことがあります。
もう情報封鎖は出来ないようになってきているというのが現在の情勢です。(11月2日付投稿文より)
という文章なのですが、本当にこれは客観的事実を書いたものなのでしょうか?
私が報道などで知っている情勢とは、大きな差があるように思えるのですが…
私には、まだ北朝鮮国内の情報封鎖・思想統制は強固であるように見えるのですけども。
「情報鎖国・思想統制がどこまで崩れているか」ということは「経済制裁によってどれだけ犠牲者が出るのか」ということに、深く関っている問題だと思うので、無視する事はできません。
また、私の20日付投稿文での
もし日本のみが援助を停止するようなことになっても、事態は膠着するばかりで、ただ北朝鮮の餓死者ばかりが増えるだけ、という危険性が高いのではないでしょうか。
という意見に対し、
餓死者が増えた要因は、国際支援が有ったのか無かったのかという、そういう問題ではないのです。金正日政権の問題と私は思います。どうでしょうか? (10月24日付投稿文より)
というお答えだった訳ですけども、これについても私は、非常に強引な論法だと思います。
イラクへの経済制裁を見てもそうなのですが、経済制裁というものは必ず民の犠牲を生み出す方法です。
それも、経済力の低い者の方から犠牲が強いられる方法です。
犠牲の点で経済制裁が正当化されるには、政権崩壊に至るまでの犠牲が、制裁しないよりはどれだけ犠牲が減らせるか、それを示さなくてはいけないはずです。
日本のみが経済制裁しても他国が援助していれば、崩壊に至るまでの時間が長くなり、かならず北朝鮮国民の犠牲は甚大なものとなると思います。
それに対し、貴方の上記の意見は、私は無責任なものだと思います。
それに、犠牲の点でいうなら、「経済制裁から崩壊に至るまでの時間」だけでなく、「経済制裁の包囲網を作り上げるまでの時間」についても考えなくてはいけないはずです。
今のアジア地域の外交で、「北朝鮮を孤立・崩壊させよう」という運動が広まっているとは、私にはどうしても思えません。
むしろそれとは逆に、「北朝鮮を対話の席に引き出そう」という方向性になっていると思います。
私は、北朝鮮を経済的に開放させる方が、他国の協力も得られやすいし、経済制裁の包囲網を作って崩壊に至らせるまでよりも、犠牲が少ないだろうと思っています。
次に、万景望号について。
やっと今、関税や警察、外務省が普通の業務を追行し始めたのです。40年間やりたい放題の北朝鮮に対し普通のことをやり始めただけです。(10月24日付投稿文より)
とありますが、私はこれにも納得できかねます。
まず、私は万景望号が、程度は分からないですが拉致や工作員に関係してきただろうと考えています。
麻薬やミサイル材料の密輸についても、おそらくは関係しているでしょう。
ですから、関係者への事情聴取や運搬物資への検査など、捜査や防犯の手続きについては、私も賛成です。
しかし、「検査基準に満たない限り寄港を認めない」という措置は、どう考えても犯罪捜査や防犯の見地とは、異質なものです。
「検査基準に満たない限り寄港を認めない」というのは、たしかに違法ではないでしょう。
しかし日本に来る全ての船が、あそこまで厳正な措置を受けているとは思えません。
あの時の措置には、どう考えても「厳正な検査」以上の、政治的意図が込められていたと思います。
それも、過去の犯罪への捜査でもこれからの防犯が目的でもなく、現在の日本の、反北朝鮮感情に基づく措置だったろうと思います。
そしてあの措置は、経済制裁へのステップになり得る性格のものだった、とも思っています。