「東アジアの平和と繁栄を我々の手で築いていく為、前向きな意見交換を改めて希望します」とのことですが、他人の意見を求める前に、まずあなたの意見を積極的に述べられてはいかがですか。
「相変らず冷戦時代を思わせる勧善懲悪的な単純発想の御意見」とか「今の日本の北韓報道は30年前の韓国みたい」とも仰いますが、ここの意見や報道のどこがどのように誤っているか具体的に指摘していただければ、大変ありがたく思います。というのは、北朝鮮に関してはあまりにも悲観的な証拠ばかりが揃っていますので。
昨年の拉致事件では多数の生き証人が帰国しましたし、金正日自身が拉致犯罪を自白しています。それ以外にも、中国東北部を経由する大量の脱北者の存在、彼らの伝える北朝鮮の飢餓と収容所の人権侵害状況、言論の自由も通信の自由もない閉鎖的国家、核兵器開発を交渉道具にする瀬戸際外交、そして世襲制と個人崇拝の独裁国家・・・これだけの否定しがたい事実が存在する以上、かつての韓国の軍事独裁政権を我々が非難し、その1日も早い民主化を求めたとき以上に、同じように考える理由はあるはずです。
もちろん、「東アジアの平和と繁栄」を我々は求めるし、戦争なんて論外です。ただし、平和さえ確保できれば、北朝鮮国内の人権状況や拉致被害者の存在には目をつぶってよいとは思いません。また、そもそも現在の北東アジアの平和を脅かしているのは、国内の人権を抑圧し瀬戸際外交で米国を挑発し続ける金正日政権の存在そのものではないですか。ブッシュ政権は、何の利益もない北朝鮮との戦争を極力回避したがっているようにしか私には思えません。
日本と北朝鮮が国交正常化ができればそれに越したことはないし、双方に大使館を設け情報交換の窓口とするのもできればよいことでしょう。しかし、いまだに拉致被害者に公式の謝罪すら行わず、「約束違反」だから拉致被害者はいったん北朝鮮に戻れなどという非常識きわまりない発言を繰り返している北朝鮮国家とまともな国交が樹立できるのかどうか、率直に言って私は懐疑的です。