見解の相違、あるいは民主主義や人権に関する感性の相違といってよいのかもしれませんが、一応コメントします。
「拉致被害者」の問題は、昨年帰国した人たちとその子らだけの問題ではありません。死亡したと発表された人たち、拉致された疑惑が濃厚であるとされる数百人の人たちのことも含まれます。韓国の軍事独裁政権やチリのピノチェト政権時代の人権問題が、軍事独裁政権が民主化されるまで闇の中に葬られていたように、拉致被害者の問題が本当に明らかにされるのは、拉致犯罪を実行しその責任をできるだけ小規模なものに留めておきたいであろう現政権が存続する限り、不可能だと私は思います。
拉致被害者の親が子供をなぜ迎えに行ってはいけないのか? 暴力的に拉致され長期間監視状態におかれていた拉致被害者が、なぜ一時的とはいえ加害者の権力支配の及ぶところに戻らねばならないのでしょうか。その感性は私には全く信じられないものです。
また、日本では憲法で移動の自由、国籍離脱の自由が保障されています。本人が望めば、誰も北朝鮮に戻ることを阻止できません。これに対して、北朝鮮で親子が話し合ったとしても、子らに自由な意思決定ができるでしょうか?
いずれにせよ、北朝鮮自身が認めた拉致被害者に対しては、北朝鮮は誠意をもってあらゆる被害回復措置をとるべきであり、子らをいったん来日させることもその内容に含まれます。信じがたい犯罪行為を認めておきながら、約束だから北に戻ってこいなどという非常識きわまりない要求をなぜ考慮しなければならないのか。これは「反北朝鮮」などという問題ではなくて、人道と正義に基づく当たり前の議論です。
北朝鮮が国交回復を望むなら、少なくとも自らが認めた拉致被害者に対して、あなたも言うようにもっと誠実に対応すること、子供たちを無条件でいったん来日させること、それだけでも日本国内の世論は大きく変わるでしょう。
「北のミサイルが飛んでくる」とは私は思いませんが、現に北朝鮮が日本を射程としたミサイル発射実験を繰り返している以上、マスコミがそれを報道し、国民が危惧を持つことは責められません。原因を作っているのは誰か、よく考えてもらいたいものです。
ご指摘の「北の子ども達のサークル活動や文化、朝鮮式の子どもの笑顔」が何を指すのか具体的にわかりませんが、子供が画一的に金正日を礼賛したり忠誠を誓ったりしている映像を指すのであれば、私自身グロテスクであると感じます。それは子供たちや国民への侮辱ではなくて、物心つかない子供たちにそのような行為を強いる権力に対する嫌悪感にほかなりません。君が代斉唱を強いる日本の学校教育への嫌悪と同じものです。
米国の核が世界の脅威であることはいうまでもありませんが、それが北朝鮮が核開発することを容認する理由にはなりません。
その他は特にコメントする気になりませんが、
>金政権を倒しても親米親日的な「民主国家」を創るためには数百万の共産主義者を、殺すか収容所に叩き込む事になるでしょう。下手をすれば金正日より酷い政権が出来 るかも知れません。内戦になる可能性も充分有りますよ。
これがあなたのお立場でしょうか。ほとんど脅迫ですね。私は、周辺関係諸国が英知を尽くして「ソフトランディング」の方策を考えるべきだと言っているのに、端からその努力を考えようとしないということですか?
また、そもそも北朝鮮に「数百万の共産主義者」がいるかどうかは措くとしても、この間の社会主義諸国の崩壊(例えば東ドイツの西への併合)であなたの仰るような酷い事態が生じたでしょうか? いかなる根拠でこのような脅迫的言動をされるのか、是非お聞きしたいものです。
「北にとっての脅威」とは独裁者が独裁体制を正当化するために作り出したものであって、独裁体制が続く限り永遠に作り出されるものです。非人道的政策を続ける独裁国家が挑発的な瀬戸際政策によって利益を得、独裁体制が保障されるような結果は、国内の人権状況にとって決してプラスでないと私は思います。