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「北朝鮮問題」討論欄

第43回衆議院選挙の結果について

2004/1/2 社会主義者、40代、派遣アルバイター

 はじめまして。「アフガン・イラク・北朝鮮と日本」というサイトの管理人をしている「社会主義者」(HN)と申します。「さざ波通信」に北朝鮮問題の討論欄が開設されたのを知り、昨日から討論欄の各投稿をざっと拝読させてもらったところです。

アフガン・イラク・北朝鮮と日本

 私は拙サイト「アフガン~」で、『アフガン・イラク戦争の帰趨から北朝鮮問題全般と日本の現状・将来について見ていこう』と思っています。
 当HPでは、北朝鮮・拉致問題を、
・「北朝鮮の拉致・飢餓・人権抑圧糾弾!」「北朝鮮危機を口実にした日本の有事法制・改憲・ネオコン政治阻止!」
・「北朝鮮の抑圧体制と日本の排外主義的潮流が共に克服されれば、日本と朝鮮・アジア諸国との関係は非核・非同盟・民主の方向に大きく転換し始める。」という視点に立って
・「広く北朝鮮のジェノサイド政策に反対する人権運動の視点で、日本と東アジアの平和・民主・共生関係の構築まで展望する中から」とらえていくつもりです。
 とりあえず初投稿という事で、私の過去の拙稿をこちらに転載させてもらいます。

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第43回衆議院選挙の結果について
(2003年11月20日、「徒然自由通信」№10より) 

■今回の総選挙は保守二大政党制への一里塚

 自民党は圧勝の前評判にも関わらず議席を公示前より10議席減らし、与党合計でも議席を減少させている。小泉構造改革の進行とも相まって、自民党の支持基盤崩壊は確実に進んでいる。(資料①「議席」参照)
 選挙後、保守新党はいちはやく自民党に合流し、与党内での公明党の比重は高まった。公明党は小選挙区制の下で、権力に擦り寄る事で自身の生き残りを策してきた。今回の選挙が従来と違う点の一つは、公明党のこの姿が政治評論家の間だけでなくマスコミや国民にも広く認知され始めた事だ。

 財界は自民党を時に分裂させ、公明党を取り込む等して保守政治の延命を図ってきたが、その上で自民支持基盤の崩壊を見越し保守二大政党制(第二自民党作り)の布石を打ってきた。それが日本経団連の意向で京セラ会長が動いて実現させた民主・自由両党合併と、それを契機とした民主党の完全取り込みである。

 この戦略は功を奏し、保守票の増加とともに(資料①「得票率増減」参照)、かつて革新票として社共両党に流れていた票の一定部分を民主党に振り向けさせる事に成功した(資料②参照)。かつて中選挙区制の下で自共対決選挙を演じてきた京都での共産党票の凋落がそれを如実に物語る(資料④参照)。しかしこの民主党の変節公然化は支持基盤である連合など労組勢力や何よりも労働者との矛盾を顕在化させていく。

■護憲・革新勢力の退潮と北朝鮮問題

 「与党安定多数確保」「民主党躍進」と併せてマスコミを賑わせたのが共産・社民の凋落に代表される「護憲政党の退潮」である。(資料③参照)
 選挙後、この二党は相次いで選挙総括を行った。私の目から見る限り、残念ながら満足な総括がなされたとは言い難い。
 「護憲政党の退潮」には北朝鮮・拉致問題が影を落としている事は確実である。9.17で金正日が拉致について謝罪し5人の被害者が帰国した時、北朝鮮が引き続き拉致犯罪の調査・被害者への保障に一歩踏み出していれば、その後の展開はまた違ったものになっていただろう。しかしそうはならなかった。9.17以降の北朝鮮非難キャンペーンの中で「護憲政党」2党は弁明に終始した。2党の中でも社民党がより大きな打撃を蒙ったのはある意味必然でさえあった。共産党も、過去の北朝鮮覇権主義との闘争は言うが、今の北朝鮮・拉致問題について主体的なアプローチはなされなかった。両党を見る国民の目はかつてとは異なる。

■反転攻勢の足がかり

 では我々国民はこのまま財界による保守二大政党制を黙認しなければいけないのか?
 「保守二大政党制」とは「財界による政治支配」を別の言葉で置き換えたものである。アメリカではラルフ・ネーダーのような中道リベラルの候補者ですら選択肢から弾き飛ばされ、大統領選挙は一種のお祭りと化している。共和・民主2党の下で財界ロビーが力を振るい、公的保険制度のない弱肉強食の銃社会・犯罪大国が広がっている。
 イギリスでもイングランドでは労働党が、スコットランドでは保守党が葬られ、有権者の4割票が死票となる「選挙砂漠」が広がっている。

 「護憲・革新勢力」の反転攻勢は可能か?それは可能であるし、またそうしなければ我々の未来は無い。

 (1)情勢が反転攻勢を求めている。

 イラク派兵では確実に死者が出るだろう。消費税UP('08年には最終税率16~18%に)・年金の負担増給付減も必至。'05年には自民党が改憲(9条改悪)案を公表する。その時、翼賛勢力・商業マスコミがどう動くか?我々がどう対峙するか?反転攻勢に打って出れるかどうかはこの闘い如何で決まる。この闘いはまさに正念場となる。

 (2)北朝鮮問題へのアプローチが問われている。

 隣国北朝鮮における拉致・核・食糧・人権問題は直接日本の世論に跳ね返ってくる問題である。本来左翼は資本家や国家権力による人権抑圧に対するアンチテーゼとして出発した。その左翼がイラクやパレスチナでの抑圧・搾取に反対するのと同様に、北朝鮮における人権抑圧・不正義について目を瞑っていて良い筈は無い。
 勿論今の「救う会」指導部のネオコン志向・排外主義・「つくる会」史観イデオロギーは「護憲・革新」の立場とは相容れない。しかしこの事で北朝鮮の人権抑圧に目を閉ざす事を正当化してはならない。左翼もこの問題に主体的にアプローチすべきである。「救う会」との関係は拉致・人権問題解決の課題では共闘し、路線面では対立・競争の関係になるだろう。

(3)選挙連合の結成も視野に入れるべきではないだろうか。

 確かに社民党は社会党時代に安保廃棄の旗を投げ捨て自民党と連立した。現在の社民党も民主党に擦り寄っている。また実態的にも社民党は地方政治では多くの場合オール与党に相乗りしその補完物に成り下がっている。
 しかし今回、財界が政治献金までちらつかせて露骨に選挙介入し、小選挙区制の悪弊と相まって二大政党制への転落が始まった。もはや事ここに至っては、仏伊やメキシコの様な「護憲・革新勢力」による選挙連合もひとつの選択肢として考えなければならないのではないか。(但し社民党も民主党に擦り寄り始めており、現実的に共闘できる条件は限られる。現状では特定区での選挙協力ぐらいか?)
 「護憲・革新勢力」にはまだ500~1000万票の支持があり、反転攻勢の結果如何によっては改憲・ネオコン勢力との力関係は再び変える事が出来る。

>何故、わざわざ好き好んで、この泥沼に入り込まなければならないのでしょうか。二大政党制とイラクでの戦争という泥沼に……。(五十嵐仁の転成人語)

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※注:文中の資料①~③は表形式の資料の為、この投稿フォームでは表示できません。割愛させてもらいます。資料も含めた上記投稿記事は拙HPの下記URLを参照していただけたら幸甚に存じます。(当該ページを下にスクロールしていけば見れます。)
 http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/2807/turedure.htm