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「北朝鮮問題」討論欄

「北朝鮮」を論議する前にー

2004/1/27 寄らば大樹の陰、50代、苦闘するフリーター

NHKテレビで北朝鮮から脱出し、今韓国で暮らす「脱北者」の文字通りの苦闘振り を見た。
やつとの思いで北朝鮮を脱出したどり着いた、「同胞」のいる「自由で豊かな国の韓 国」は彼らにとって「天国」などでは全くなかった、厳しい現実が彼らを待ち受けて いたのだ、50余年の分断の歴史はそう簡単には修復されない。
韓国政府の支援策はほんの一部で厳しい条件付、それだけでは喰ってもいけないし、 働こうにも働けない生活風習や言葉の違い、そして認知されない学歴、冷たくまるで 見世物を見る様な人々の目に、更に当局の厳しい「スパイ監視の目」が襲いかかる。 頼りにしていた肉親は既に死亡し、その家族も自分の生活で一杯で「突然訪れた肉親」 にもそれを受け入れる経済的余裕も、心のゆとりもない、ここは「同胞の住む、別の 国」でしかないのだ。
 祖国統一を願い劇団を結成して、習得した「北の文化」を紹介しようとする人達に も、企業活動で利用される事はあっても資本の論理が支配する南では殆ど受け入れら れない。既に四千人にも及ぶ「脱北者」に韓国の現実は非常に厳しいものだ。
 既に中国東北部やシベリアに脱出している膨大な人々を受け入れる余地など、韓国 にも中国にもないというのが現実である。
 過日、ソウルで脱北者を支援する韓国の市民団体が、「脱北者」から一人当たり2 00から300万ウオン(日本円にして20万から30万円)を脅し取ったとして、 6人が逮捕されたと報道されていた。
 まだ真相解明には至らないが、全てとは言えないものの、どっこいこちらの「人道 支援」にも、やはり薄汚い「裏」があったと言うべきなのだろうと思う。
 はっきり言えば「北朝鮮問題の解決」とは何よりも正規に早期の国交回復を図り、 経済的交流を深め、人的交流が文字通り自由になる環境が作られて初めて、全ての面 で(拉致問題も含めて)やっとスタートラインに立てると言うことだ。
 「がんばれない共産党員」さんのように北に関する本を読むこと(もつと幅広く、 偏らずの条件付だがー)も必要かも知れない、韓国や中国そして日本のNPOの方々 の脱北者の支援(これにも当然条件付きだ)努力も必要だろう、しかしこれらはほん の枝葉に過ぎないし、根本的解決には決して結びつかない。
 逆の立場にたてば考える事もなく分かることだが、これらが進めば進むほど北の監 視体制は強化され、苦しむ人々への抑圧はより強まる、また体制として余裕を失って いる北朝鮮にとって、体制を揺るがす程の大量でなければ、脱北者や不満分子「厄介 者(ママ)」が国外に出れば出るだけ負担は減少する(既に中朝国境沿いの河川では、 その傾向があるのではないだろうか、マスコミがしばしば報道しているように厳しい 休戦ラインの状況とは明らかに異なっている)金正日体制にとってあらゆるものを利 用する事は第一級の統治手段なのだからー。
 そしてこれらを実現できるのは、やはり第一には南・韓国の人々の同胞への、分離・ 離散させられた人々への心温かな支援を含めた、韓国政府の粘り強い北への「太陽政 策」の継続と強化であり、そしてふたつ目には、我が小泉政権の朝日合意・ピョンヤ ン宣言に基づく「根本的な政策転換」しかない、小泉純一郎の責任はブッシュや金正 日以上に重い。
 もし、どこかの身体が大きく焦点のない目をした「戦争お宅」が日々妄想するよう に、日米による朝鮮への先制攻撃・朝鮮侵略戦争が開始されたら金正日体制の崩壊は おろか、この国も崩壊の危機に瀕するだろう。何百万人もの北朝鮮難民を受け入れる 余地など、この日本に存在しない。もう「朝鮮戦争特需」などありはしないのだ。
 国民の年金や福祉すら否、私たちの命すら保障出来ないこの国に、いくらあがいて も「真の朝鮮有事体制」など構築できる訳がない。
 また、「朝鮮有事」となったら心ある人たちはそれこそ「祖国敗北主義」を掲げて 立ち上がるだろう、それしか自分の命は守る事が出来ないのは目に見えている。
 私たちに金正日体制批判は必要だが、もつと必要になのは、今尚、「近くて遠い国」 でしかない北朝鮮で苦闘する人々に思いを馳せると共に、排外主義もろだしの反動的 北朝鮮政策を行なって羞じない小泉政権に、徹底的にNOを突きつけ闘う事だ。
 破産に瀕するアメリカ・ウルトラ資本(ブッシュたちの背後にうごめく)がその延 命間の為に次に狙っているのは間違いなく北朝鮮なのだからー。
 「アメリカの戦争」は決して自由や抑圧からの解放ではない、他国を侵略し人々を 殺して、はじめて成立する最悪の帝国主義戦争以外の何ものでもない。