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「北朝鮮問題」討論欄

寄らば大樹の陰さまに

2004/1/14 がんばれない共産党員、50代、労働者

寄らば大樹の陰さま、はじめまして。以下私の意見です。

> この国と同じレベルでの不正もあるかも知れません。

 このことには到底同意できません。少なくとも、日本では天皇や小泉を批判しても 捕まることもないし、殺されることもありません。
 北朝鮮に帰った在日帰国者や日本人妻はあまりの異常さに、「この国で丸まる太っ ているのはお前(金正日)だけだ」と、つい本音を知合いに漏らしてしまって収容所 に送られた人がいます。このことは脱北者から直接聞いています。北の人権状況は私 たちの想像を超えています。決して「同じレベル」ではありません。

> 私たちは日本政府の対北朝鮮への鎖国的政策によって公式の情報を殆ど知らされ ていない

 ほんとう、にそうなんでしょうか。すでに韓国には3000人以上、日本にも50人以上 の脱北者が帰ってきてます。本当に生の声を聞く気になればいくらでも聞けますヨ。 日本政府や北朝鮮政府の公式声明や、マスコミ報道よりよっぽど確かです。いろんな 集会に行って、直接脱北者から聞いてください。彼らがウソを付いている、かそうで ないかは聞いてから判断してもいいのではないでしょうか。

> 「工作活動」なんて北朝鮮の専売特許でもなんでもありません、CIAの活動を 見るまでもなくイラクでの日本の外交官2人の殺害で表面化したように、この国もス パイ工作活動を盛んにやっています。

 アメリカが世界中で「工作活動」を行っていることは十分知っています。この分野 の書籍も十分呼んでいるつもりです。特に南米関係には昔から非常に関心がありまし た。私はチリのアジェンテ政権やニカラグアの革新政権を熱烈に応援していたからで す。しかし、少なくとも日本は現在北朝鮮に対して「工作活動」はしていません。一 法的に北朝鮮からの工作活動です。アメリカがやっているから北朝鮮がやっても仕方 が無いという意見には同意できません。

> 貴方の様に同じ様な傾向の本ばかり読んだら、誰でもオルグされ、思い込まされ てしまいます

 これも違います。私は30年間共産党系の本しか読んでこなかったし、新聞も赤旗だ けしか取っていません(今も)。脱北者と接する中で「共産党の言ってることと違う」 と感じはじめたので、他の「ブルジュア」新聞や書籍を読み始めたのです。

> 紹介頂いた本の大半は、この間の拉致問題を背景にした排外主義の機運に乗って 「儲ける為」に書かれた本です、またそのなかの人には韓国に帰国又は亡命しながら、 余りにもいい加減な言説で韓国では相手にされず、もっぱら日本での本の販売とマス メディアへの売り込みによって生計を立てている人もいるように思います

 決してそうは思いません。正直言って著者に失礼です。

 わたしは、姜哲煥(カンチョルファン)『平壌の水槽』(ポプラ社)の著者にお会 いしています。祖父母と親が在日なので、何処とはなしに日本人の雰囲気を持ってい ます。全くかざりっけの無い北朝鮮の素朴で頭のいい好青年です。10歳から20歳まで 強制収容所で生活をし、今なお北には母親と妹がいます。彼は金正日を憎んではいる が決して反共ではありません。物静かな青年ですが、今、強制収用所廃止の運動の先 頭に立って戦っています。

 安明哲(アンミョンチョル)『北朝鮮 絶望収容所』(ワニ文庫)にもお会いしま した。彼はあなたが思われているような、そんなに器用な人間ではありません。収容 所の警備隊員をもうこれ以上続けることが出来なくなって脱北を決意したのです。韓 国に逃れて「自分は弾圧をした側なので脱北者と会うのが怖い」と、姜哲煥に初めて 会うときに感想を述べています。今は2人とも協力して活動をしています。この本は 拉致問題が起こる前に書かれています。

 チャン・キルスとその家族『涙で描いた祖国』(風媒社)を寄らば大樹の陰さまは 本当に読まれたのでしょうか。これが「余りにもいい加減な言説で韓国では相手にさ れず、もっぱら日本での本の販売とマスメディアへの売り込みによって生計を立てて いる人」の本でしょうか? 著者は今韓国に住んでいる少年です。

 ノルベルト・フォラツェン『北朝鮮を知りすぎた医者』(草思社)の著者がなぜ北 朝鮮で活動しなければならないのですか? 彼は医者としてドイツで立派に生計を立 て尊敬されて生きていける地位の人です。正義感から北朝鮮の人道支援に入っただけ です。そこで事実を知ってしまったのです。命がけで活動しています。

 安哲・朴東明『北朝鮮飢餓ルポ』(小学館文庫)『コッチェビの叫び 秘密カメラ が覗いた北朝鮮』(ザ・マサダ)の著者、安哲氏(仮名)の家族はすでに飢えで死に 絶えました。金正日打倒のために命をかけて北朝鮮の飢餓を世界で始めて映像で知ら せたのです。これも拉致問題の前に書かれています。

 アンドリュー・ナチオス『北朝鮮 飢餓の真実』(扶桑社)著者は冷徹に北朝鮮を 分析しています。それはアメリカよりでもなく北朝鮮よりでもない事実のみを書いて います。

 寄らば大樹の陰さまは本当にこれらの人たちと面と向かって反論できるのでしょう か。彼らは直に北朝鮮を知っている人たちばかりです。会ってみてはどうですか?  「いいことはいい、悪い事は悪いとけりをつけていかなければ、それこそ「木を見て 森を見ず」になります」よ。

 なお、不破さんの対談は何回も読んでいます。心配なさらないでください。感想は これから書きますが、正直言って失望していますし、やっぱりな、という思いです。  「過去の自慢話はもういい。共産党は北朝鮮問題で、これから何をするんだ!」に 尽きます。このまま行ったら参議院選挙も敗北しかないでしょう。(決してそれを望 んでいるのではありません。多くの党員からそう思われていますが、わたしは、共産 党よ、もっとチャンとしろ! という思いからです。)

 私の発言はいつも具体的事実から発言しているつもりです。決して右翼やマスコミ に騙されていないつもりです。