この前、朝鮮(北朝鮮。朝鮮民主主義人民共和国)の日本軍性奴隷(軍隊慰安婦)とされた女性との会見をビデオにしたフオトジャーナリスト伊藤孝司さんの「アリラン峠を越えて」の試写会と講演会に行ってきました。
拉致問題を取り込んで排外主義的勢力がのさばっている街ですから、来る人は少ないかなと思っていましたが金さん!会場に入れ切れず通路に座り込む人も出る程の盛況だったのです。
韓統連、総連系など在日の人たちと、それを様々に支援する日本の人たち、落ち込むことなく元気で大集合したのです、後半の質疑応答の時間は全く足らないくらいでした。
北の慰安婦とされたの人たちの名乗りは、共和国政府の支援にもかかわらず、韓国と比べたらまだ少ないそうです。
伊藤孝司さんはもう30年以上フオトジャーナリストとして各方面で頑張ってこられた方で、様々の視点で「現場での写真集」を出されており、ジャーナリストとしては率直で色の付かない(ごめんなさい伊藤さん!)活躍をされている人です。
北には2度しか行かれていない(各々10日間程度)そうですが、このビデオは殆ど当局の制約を受けることなく、北の生活のありのままを映したものでした。
彼女は「もと慰安婦だった」と名乗り出た事によって、初めは家族にも大きなショックを与えたそうですが、今はがんの治療を受けながらも(これも後遺症ではないかと医師は言っています)子供からひ孫までの大家族に囲まれ、そして政府からそれなりの援助もあり、まず幸せに老後を過ごしています。
いかにも朝鮮らしい精一杯のもてなしの料理(これは北も南も同じですね)を前に明るく元気に歌を歌う人々ー。
しかし当時15才の少女を、最初は甘言によって連れ出し、慰安所に閉じ込めると暴行し、翌日から1日20人30人もの兵隊の相手をさせる日本軍の慰安婦制度は、どう弁明し否定しても人間として絶対許されてはならない蛮行です、私が関わっている勤労挺身隊訴訟(工場での強制労働)と重なるところもあり、途中で涙を何回も拭うしかありませんでした。
伊藤さんは率直に言っていました、「今、日本の商業ジャーナリズム・マスメディアが盛んに流している”北の真実”は興味本位、視聴率稼ぎの為に、捻じ曲げられ歪んでしまった物になっている、あれは本物ではありませんよ」と、それは私の席の横に座っていた、北への食料援助のため10回も訪問しているという女性も同意していました。
やはり真実は現場に行かないと見えないのです、これは私の数少ない韓国訪問でも実感できるものです。
そして伊藤さんはしみじみ言っていました、彼女ががんの放射線治療を受けている病院に行ったとき、ビックリさせられたそうです、その治療機器は日本ならとっくに博物館入りするくらいの古いものだったのです。
しかし本当にピカピカに磨かれていて丁寧に扱われていたそうです、そしてビデオでも医師の患者に対する接し方は、この国でいま流行りの「インフオードコンセント」等と言う前に、心温かくそして明確で、人対人の交流をうかがわせるものでした。
かつて経済制裁下のイラクで薬不足に悩みながら、懸命に治療に当たるイラク人医師を思い出してしまいました。
私たちはこの後、この「ありらん峠を越えて」のビデオをイラク写真展等と併用して人々に訴えかけていく予定です。
戦時下イラクの次は北朝鮮なのですからー、今度こそ「皆の力で戦争なんか止めてやる」の意気込みで頑張ろうと思っています。
金国雄さま、そう嘆かないで下さい、排外主義が吹き荒れる中、確かに物足りないと思われても仕方ありませんが、まだまだ私たちは負けるなど全く思っていません。
労働者の、民衆の力は、お互いを信じあい団結し闘うこと、闘い続けることだと思います、それには民族の壁などありません。
私たちにとって今、負け続けることは余りにも当然なのです、負け続け、負け続けて、その先に何にも代えがたい勝利があるのです。
投稿が少なくなったなんてことで落ち込まないで下さい!
私たちが負けるなんてありえないのですから、信頼してください。