皆さま、こんばんは。
お約束の件、先ほど打ち込みを終えました。しかし、一度のみのチェ ックのため、誤字脱字等の間違いがあるかもしれませんが、その節はご 容赦のほどをお願いいたします。
今回はまず「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」に関連して次の記 事を抜粋で紹介します。
「インタビュー 南北対話と統一情勢」
時代は大きく 変わりつつあります
韓 時海
祖国平和統一委員会副会長/祖国統一汎民族連合北側本部副議長
南北間における和解と不可侵、協力・交流に関する合意書と非核化共同 宣言が採択され、また冷却状態にあった朝米間では高位級会談が実現する など、朝鮮半島の緊張緩和と対話の進展における北の外交活動には近年、 目を見張るものがある。ときおりしも、長年共和国の国連大使を務め現在 は祖国平和統一委員会副委員長兼祖国統一汎民族連合北側本部副議長を務 める韓時海氏が日本を訪問した。忙しいスケジュールのなか早朝時間をさ いていただき、一九九五年統一元年に向かって大きな一歩を踏み出した朝 鮮半島情勢について話を伺った。韓時海氏の歯切れのいい口調と明快な返 答は、外交畑で手腕を振るい、現在では民間レベルにおける統一対話の先 頭で積極的に活躍する精力的で知的な北朝鮮外交の姿をかいまみせてくれ た。(編集部)
――昨年末、南北合意書と非核化宣言がそれぞれ採択され、その後、統 一情勢においては新たな局面が展開され始めていますが、副委員長は南北 対語を取り巻く現在の統一情勢をどのようにとらえているのでしょうか。
昨年末に、北と南の間に和解と不可侵、協力・交流に関する合意書と朝 鮮半島の非核化に関する宣言が採択されたことは、朝鮮人民の闘いの過程 で達成された、非常に大きな勝利として評価することが出来ます。北と南 は、それまで多くの対話を行ってきましたが、根本的な路線上の差異によ ってなんら合意を見ることが出来ませんでした。
いままで、共和国は二つの朝鮮ではなく、一つの朝鮮を志向し、朝鮮の 平和統一のためには平和統一の前提を整えることが何よりも重要であり、 そのために北と南の間で軍縮を実現し不可侵を宣言し、アメリカとの間で は平和協定を締結することで軍事的緊張状態を解消しようと努力を重ねて きました。また、政治分野においては北と南が互いに相手方の体制を認 め、相互中傷・ひぼうをせず対決を解消するなど、一言で一つの朝鮮路線、政治軍事的対決状態の解消を最優先する路線を堅持してきました。南はそれとは正反対の路線、二つの朝鮮路線、対決路線をとってきました。 政治軍事的対決状態の解決を後に回し、「純粋な」南北交流だけを主張す るなどです。
しかし、共和国の一貫した努力によって去年開かれた北南高位級会談で は、北と南の間における和解と不可侵を明確にし、それを北と南が何より も優先的に解決しなければならない問題として確認しました。さらに重要 なことは、北と南の関係が二つの国の関係ではなく、統一を志向する特殊 な関係であることを明文化することによって、一つの朝鮮路線に北と南が 合意したということです。したがって、北と南の間における合意書、とく に非核化共同宣言は、朝鮮半島の統一と平和を保障する上で非常に大きな 意義を持っています。北と南の間の二つの合意書は分裂路線に対する統一 路線の勝利、戦争路線に対する平和路線の勝利、そして外勢依存路線に対 する自主路線の勝利といえます。一九七二年の七・四南北共同声明にもま さる意味を持っており、統一の展望をより明るくした歴史的な出来事だと 言えます。
共和国は、合意書と宣言がどんなことがあっても理念通りにそのまま履 行されるよう努力し、九〇年代統一を必ずや達成するという確固たる立場 にあります。
問題は合意書、宣言の誠実な履行です。振り返れば、南北共同声明は合 意した数日後には、南で維新体制を合理化するために利用され、七〇年代 の南北対話はやむなく流産し、北と南の人民を統一に向かってあのように 沸きたたせた南北共同声明は、悲しくもその効力を発揮できないままにな りました。このような経験から、私たちは朝鮮労働党中央委員会第六期第 一九回総会を開き、合意書と宣言を正確に履行するための方向を決定、ま た最高人民会議常設会議ではそのための必要な法案を審議、批准する法的 措置をとりました。
いま、私たちは五月五日から予定されている第七回高位級会談までに、 合意書履行と関連した付属合意書を北と南の間で完全に合意をみ、会談で 正式に承認・発効させるために最善を尽くしています。付属合意書が承 認・発効されれば、高位級会談はそれで自己の使命をすべて終えることに なります。以後、北と南の間における具体的な政治・軍事・経済・科学・ 文化・人道周題などは常設的に設けられた共同委員会が問題の解決、実威 に取り組むことになります。
――七・四南北共同声明が発表された時期と今回合意書採択時期とで は、内外を問わず朝鮮半九を取り巻く状況が非常に変わったと思います。 最近、ある報道によれば南の為政者のなかでも以前とは違って、今回合意 書と宣言の採決に至ってはアメリカの影響力から抜け出し、独自に南北対 話を行おうという動きがあるといわれています。それを直ちに民族自主と いえるかどうかは別にして、そのような考えについてはどのように思われ ますか。
北と南の間で採択された合意書を履行するためには、北と南が徹底的に 自主的立場を堅持し、いかなる外勢の影響も受けてはなりません。朝鮮半 島は、周辺大国などの利害関係が密接に交錯しているので、北と南のどち らか一方でも自主性を喪失するなら、朝鮮半島の自主的平和統一のいかな る問題も解決することが難しくなります。
南が本当にアメリカの影響力を排除し、独自に合意書に署名したのな ら、それは非常に歓迎すべきことです。またそうなることを私たちは心か ら願っています。しかし、合意書履行のための付属合意書作成の分科委員 会が開かれたその日に、元南朝鮮在住米大使、ジェームス・リリーがソウ ルを訪れ、そのほかにも国防省関係の人がやってきました。伝えられたと ころによれば、アメリカは合意書履行をなんとか遅延させるためにソウル に圧力を加えようとしており、その脚本がジェームス・リリーによるもの だということです。分科委員会で核査察問題を一斉に取り上げたのも、そ のシナリオにしたがったものだという報道もあります。いまなお、アメリ カは南の軍事基地に大きな意義を付与しています。ソ連が解体し世界でア メリカに挑戦する強大国がいない状況のもとで、不思議にもアメリカはい っそう南の米軍駐屯を必要だとしています。このようなアメリカの利害に 合意書や非核化宣言は徹底的に反しています。したがって、対話促進にさ まざまなブレーキをかけているのです。
――国連代表部で長い間仕事をされ、朝米関係についても影響力を行使 されていると噂されています。最近、初めて朝米間で高位級会談が開かれ るなど、共和国は南や日本だけでなく、アメリカとも関係改善に大きく乗 り出す積極的な統一外交、対外政策を繰り広げているようです。共和国の 対外政策について伺いたいのですが。
最高人民会議外交委員会委員であありますが外交関係からは離れて久し いし…、方向的、政策的には論じられても実務的にはほかの方が進めてい るので、まあ、私が知っている限りのことでよろしいのなら互いに話し合 いながら整理してみましょう。
まず、朝米関係ですが、朝米間の高位級会談については実はこちらもそ こまで予想していなかった側面があります。しかし、ここで重要なことは 朝米間でしかも高いクラスでの会談が実現するにいたった背景を考える必 要があります。去年はアメリカが核査察問題、北の核製造の危険について の一大キャンペーンを行いながら、私たちを国際的に孤立させ、さらには 軍事的威嚇も加えながら、″第二のイラク″にしようと奔走しました。私 たちはすでに七四年から朝米関係が改善されなければならないといってき ましたし、そのためには公式、非公式を問わず朝米対話が行われなければ ならないと主張してきました。その努力によって北京で参事官級の接触が もたれ、その細い糸がいままで切れずに保たれてきたのです。しかし、去 年の朝米関係は非常に緊迫した状況でした。
共和国は、アメリカに対して原則的な立場を堅持しつつも、互いに譲歩 できるものは譲歩し、合意できる点は可能な限り合意を見る方向で外交活 動を繰り広げてきました。周知のように、それが核査察問題での共和国の 立湯に現れています。つまり、朝鮮半島における核の脅威は、実際に存在 する南の米軍核兵器であり、朝鮮半島から核の脅威をなくすためには、朝 鮮半島の非核化以外にないという主張です。この目的から、国際原子力機 構に私たちは入ったということ、それは朝鮮半島を非核化することに目的 があったこと、核査察の義務を果たせば、アメリカの核の脅威を取り除き 朝鮮半島の非核化を実現できると思ったからです。
しかし、アメリカはあくまで一方的に共和国への核査察を要求するの で、いいだろう、時は来た、と北の核査察と南でのアメリカの核兵器の全 面撤収とその査察を同時にしようではないかとなったわけです。アメリカ は、私たちがそのような攻撃を加えてくるとは思わなかったのでしょう。 その時点で、アメリカとしても私たちの主張を退けることが出来なくなり ました。なぜなら、朝鮮半島の非核化そのものの正当性もさることなが ら、ソ連も崩壊し南における核の存在そのものを正当化するいわゆる根拠 がなくなったからです。
アメリカは譲歩せざるを得なくなりました。盧泰愚の「核不在宣言」は そのような譲歩の表れです。そして、私たちもその言葉を信じよう、国際 原子力機構の核査察協定に署名しましょうと。そして、南からすべて核が 撤収されたことが確認されれば、私たちも査察を受けましょうと。プッシ ュもすべて撤収したというので、実態はよくわからないけど、署名、査察 を受けることに決めたのです。アメリカは困ったようです。この外交政策 の結果を収拾するためには、いままで私たちが主張してきた高位級会談を 開く道しかなかったのです。私たちもアメリカの対面を考慮することは悪 くはないでしょう。それで「電撃」的とも言える朝米会談が開かれたので す。
かたくなに拒んできた私たちとの高位級会談にアメリカが応じたこと は、北の外交政策の勝利といえます。これからはこれが一つの足場になっ て、朝米会談は自動的にそのレベルで行われていくでしょう。さらに互い に理解し問題を解決していく方向で対話を進めていくことが大切です。朝 米関係改善の進展速度は、アメリカの態度にかかっています。私たちには なんの障害もありません。朝米関係の改善とは、朝鮮民主主義人民共和国 とアメリカ合衆国との一時的な休戦状態、法的な敵対関係を解消し、完全 な平和状態に変えること、さらには両国の政治、経済、文化などのさまざ まな関係を正常化することです。被害者と加害者の関係を清算する朝日関 係の改善とは性格が異なります。朝米関係の改善は、朝鮮半島の平和と平 和統一問題に直結しています。
いま、朝米関係の改善においてアメリカが提起したいろんな条件のうち で少なくないものが解決されました。核査察問題だけが基本的には残って いると言えるでしょう。これも時間の問題です。四月八日から開かれる最 高人民会議で法的手続きに基づいて、最高人民会議常設会議が審議した核 査察協定を正式に承認することになります(注・九日、最高人民会議は国 際原子力機構との保障措置<核査察>協定の批准を承認した)。外交部は 速やかに国際原子力機構にその旨を伝え、後は、どの様な方法で査察を始 めるのかという実務的問題だけが残るわけです。日本は、同じ様なケース でおそらく査察を受けるまで一年近くかかったのではないですか。私たち は、そんなにかかりません。核施設も研究炉しかありませんし、明細だっ てすぐに提出できます。査察も簡単に行えます。任意の時期に見ることが 出来る状態にあります。国際原子力機構で手続きさえ早く行えば済むこと です。
他方、北と南では非核化宣言に基づき核統制委員会が設けられ核査察規 定を作成します。国際原子力機構とはすぐに査察を受け、彼らは彼らなり に評価を下すであろうし、北と南の間では五月五日までに相互の査察規定 を一日も早く作成し核兵器について査察を行おうということです。国際原 子力機構で行う核査察とともに核兵器、核基地もすべて査察することが共 同宣言で明らかにされています。これは北と南の間の不信を解消する上 で、非常に大きな役割を果たすでしょう。
「『統一評論 No.324』統一評論新社 1992年6月号」より記事を抜粋
<関連情報>
韓 時海(ハン・シヘ)
党中央委副部長
最高人民会議外交委員会委員
最高人民会議第9期代議員
祖国平和統一委員会副委員長
『朝鮮民主主義人民共和国組織別人名簿 1994版』
ラヂオプレス 1994年8月
党中央委副部長
最高人民会議第10期代議員
祖国統一民主主義戦線中央委常務委員
『朝鮮民主主義人民共和国組織別人名簿 2003版』
ラヂオプレス 2003年7月
それでは失礼致します。
金 国雄 拝
2004年4月16日AM:0:11記