核問題をめぐる米朝両国の相互不信は
目を覆うばかりだ。
まずは米国の主張。
(1)北朝鮮はかつて「米朝枠組み合意」を了承した。
(2)それなのに、隠れてウラン濃縮核を開発した。
(3)警告すると、何とIAEAの査察を拒否した。
(4)そして核開発を堂々と宣言。まさにならず者国家だ。
(5)だから平和利用を含む核の全面放棄を求める。
これに対し、北朝鮮の主張。
(1)ウラン濃縮核など開発していない。
(2)ウラン濃縮核疑惑は、米国のでっち上げだ。
(3)IAEAは米国の息がかかっている。信用できない。
(4)米国の謀略に対抗するには、核開発しかない。
(5)核放棄を求めるなら、まず金正日体制を保証せよ。
読み比べてみると、
論点は明確だ。
要するに、カギは
「北朝鮮のウラン濃縮核疑惑は事実かどうか」
の一点にある。
疑惑が事実なら、
北朝鮮が犯罪国家であることが確定する。
逆に、疑惑が濡れ衣なら、
米国の度し難い謀略ぶりが白日の下にさらされる。
いずれにせよ、はっきりしていることは
米朝のいずれかが真っ赤なウソをついている
可能性が極めて高いということだ。
国家的ウソは断固、暴かなければいけない。
もちろん、6カ国協議がその舞台だ。
この場で米国が
「確かに北朝鮮はウラン濃縮核開発に手を染めている」
と確証を持てるような証拠を提出できるかどうか。
これが最大の焦点だ。
米国が証拠を示し、国際世論の大勢が
「この証拠は信用できる」と判断すれば、
金正日は世界からレッドカードを
突き付けられたのも同然だ。
北朝鮮国民に対する虐待の罪と合わせ、
頼みの中国を含む全世界から
烙印を押されることになろう。
逆に、米国がまともな証拠を示せないようなら、
ブッシュに即、レッドカードだ。
イラク大量破壊兵器疑惑でっち上げ問題の責任と合わせ、
日韓両国をも含む全世界から特大の烙印を押されることになる。
第3回6カ国協議の準備会合にあたる「作業部会」が
5月中旬に北京で開かれるという。
ブッシュ政権は証拠開示に踏み切る意思を示すのか?
注目の瞬間が近付いている。