朝鮮問題とは、朝鮮人民が解決すべき問題です。日本人民は、もちろんインター
ナショナリズムを前提にしつつ、足元の日本問題を解決すべきではないでしょうか。
これは、狭い民族主義ではなく、民族自決、相互不干渉の立場からも当然の帰結だと
思います。
しかし、北朝鮮が日本人を拉致したとすれば、日本人の拉致問題は、もはや北朝鮮
だけの問題ではなく、正真正銘、日本の問題にもなることは当然です。日本問題であ
れば、日本人は、拉致問題の全面的な解決のために、この時代が許すすべてのカード
を使うべきではないでしょうか。
要するに、過去の日本帝国主義による植民地支配、強制連行、慰安婦、その他の蛮
行の事実と、現在の北朝鮮による拉致問題とは別問題だという認識が必要なのではな
いでしょうか。
戦後日本の歴代内閣は、アジアの人民や国家に対して、侵略戦争の反省を意図的に
避けてきました。そのために、心ある日本人民は、アジアの人民に対して、うしろめ
たさを感じてきました。それは、戦後60年にもなろうといのに、いまだ、まともな政
府を生み出せない反省でもあるわけです。
世界史は、いつの時代も、瞬時の停滞もなく前進しています。第二次世界大戦、ア
ジア太平洋戦争以降も、さまざまな曲折はあったとしても、巨視的に見れば、世界史
は前進してきたはずです。
しかし、微視的に見れば、停滞、あるいは後退ともいえる現象があっても不思議で
はありません。北朝鮮については、日本の植民地支配、米ソ対立の犠牲者だという事
実とともに、世界史から目を逸らし続けてきたという事実も軽視することはできませ
ん。
いまこそ、私たちは、拉致被害者の救出、拉致問題の解決にむけて、すべてのカー
ドを持ち寄るべきではないでしょうか。そして、この時代が許すすべてのカードを使っ
て解決すべきではないでしょうか。
朝鮮労働党と誰が懇意であったとか、金日成や金正日と誰が親友であったとか、帰
還事業を誰が推進したのかとか、その類のすべては、現在の被害者救出にとっては、
無意味な空論ではないでしょうか。
なぜ「救う会」に右翼がはびこるようになってしまったのか。左翼としては、よく
よく考えてみる必要があるような気がします。
横田めぐみさんの悲しみは、誰にでも理解できるはずです。ゆっくりとしてはいら
れません。いまの瞬間も、地球は回り、時間は過ぎていくのですから。