私の考えは「拉致問題強制送還相殺論」であるとのお説ですが、「相殺」とは、プラスマイナスで差し引きチャラにすることだと思います。私はそんなことは言っていません。どちらも緊急に解決しなければならない問題であると申し上げているのです。
曙光のきざしさんは、私が「北朝鮮という国が現在のようなひどくゆがんだ国になった経緯には、まぎれもなく、日本の過去の侵略と、その後の米国と一体化した敵対政策が強く影響したと思います。」と書いたことを、勝手に、1)日本の過去の侵略、2)その後の米国と一体化した敵対政策、の2つの部分に分割し、個々に、韓国・台湾(および日本)に当てはめると根拠として妥当ではないことがわかると解説されましたが、それは私の論理とは違います。私は、現在の北朝鮮の「ゆがみ」が、1)と2)の両方が不可分に連続したことに影響されて起こったと書いたつもりです。しかも私はそれが必要十分条件であるとは考えていないので、その一端に責任があるという意味で「影響した」という表現にしました。
曙光のきざしさんの論法で行けば、北朝鮮がひどくゆがんだのは共産主義の故である、故に、ひどくゆがんでいるアメリカは共産主義である、という結論になります。
歴史の単純な括りが任意の国家の行く末にとっての必要かつ十分な条件になり得ないのは、当然、個々の国それぞれに、さらなる過去から連なる歴史的な背景が異なるからです。それでも韓国の例を観るなら、やはり戦後の長い間、軍事独裁政権下にあり、その民主化の過程で光州事件を初めとして、幾多の民衆の犠牲を必要としました。そのこともやはり日本の侵略(朝鮮併合)が韓国の戦後史に影響してのことだと理解しています。私は、ソウルオリンピックの前年に光州事件の記念施設を訪れたことがありますが、日本人として言葉がありませんでした。